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【社員のホンネ】GIGAスクール構想で変わるICT教育ビジネスの未来

4ESS_山本真也様

「人を育てる仕事に携わっている」という自負を持って仕事をしたい。

GIGAスクール構想に基づき、全国の小中学校で一人一台端末とネットワーク環境が整備されたことにより、2021年度からICTを活用した授業や学校運営が本格的に始まりました。ICT支援員が教育の現場に入ることによって、どのような課題が浮き彫りになり、どのような変化があったのでしょうか。遠鉄システムサービス(以下、ESS)で教育ビジネスの営業を担当するS.Yさんにお話を伺いました。

SE経験を経て念願の営業職へ

7ESS_山本真也様

― 入社何年目ですか?

2016年に入社したので今年で6年目ですね。入社して2年間はSEを経験し、営業に異動して4年目になります。

― 現在のお仕事について教えてください。

私が所属する教育ビジネスの部署では、教育委員会様や学校様向けに、ICT機器の導入・メンテナンスやICT支援員による授業支援・トラブル対応など、教育現場でのICT活用のサポートをしています。

私自身は営業として、学びのために最適なICT環境を教育委員会様や先生方と考え、提案から導入までトータルでサポートしています。

急ピッチで進めたGIGAスクールの整備

― 2020年度はGIGAスクール構想の対応で大変でしたか?

そうですね。ESSではGIGAスクール構想に基づき、静岡県内10市町に9万台を超えるタブレット端末を納品しました。納品台数がこれまでの比にならないほど多かった事と、新型コロナウイルス感染拡大の影響で納期が1年早まったことにより、仕事の規模、納期ともに大変ではありました。

実際、各自治体が一気に動き出したことによって、お客様からも「本当に納期に間に合うのか」といった声をいただきました。私どもは、会社として専門チームを立ち上げ、これまでの実績で蓄積したノウハウを活かすことで、この局面を乗り切ることができました。

― 運用が始まることによって見えてきた教育現場の課題を教えてください。

新型コロナウイルスの影響で、急ピッチで納品作業を進めましたので、運用の細かい部分まで先を見据えた形で整備をするのが難しい状況でした。そのため、実際に運用を始めながら先生方のお話を伺い、最終的にどうしたら先生方の助けになって、子どもたちにどのような「新しい学び」を体験してもらえるのかといった提案を並行して進めているところですね。

まず先生たちの働き方改革を

3ESS_山本真也様

一つ目の課題としては、先生方の抱えている業務が多すぎて新しいことを取り入れる余力がないということです。そのような状況で導入したタブレット端末の活用方法を考えるのは、先生方に相当な負担を強いることになります。そこで、先生方の働き方改革を進める必要がありました。

学校のアンケート一つを例に挙げても、これまでのやり方では紙のアンケート用紙を作成して生徒に配布、回収したものをアンケート結果として集約し、データ入力という作業があります。アンケートフォームを作成すれば、その作業がアンケートの送信からデータ集約まで一括で終わります。そうしたICTの活用方法を提案して、業務の負担軽減に繋げています。

先生たちのICT活用状況の差

二つ目の課題は先生方のICT活用状況の差です。
先生ご自身で調べて授業にタブレット端末を取り入れようと積極的な方もいらっしゃいますが、多くの先生方が日々の校務に追われ活用が進んでいかないこともあります。

そこで、先生方を対象とした講習会を開催するなど、先生方の活用状況の差を埋めるような支援を行っています。また、現場にICT支援員を配置して、授業の事前準備、実際の授業支援、機器メンテナンスまで広範囲にわたる支援を行っています。

先生方と一緒に新しい学びを考える

5ESS_山本真也様

三つ目は、私たちが教育のプロではないということですね。
私たちはICTのプロであって教育者ではありませんので、ICT支援員は教壇に立つことはできません。具体的な活用方法については、私たちが配置するICT支援員が提案するような状況です。
整備されたタブレット端末をどの単元の、どの授業で、どのように活用するかについては、先生と一緒になって考えていきます。

たとえばプログラミングの授業だからといって、必ずしもICTを使わないといけないものではないです。論理的思考を伸ばすためにどの教科でどのような授業をするかなど、一つずつ先生方と相談しながら組み立てています。

ESSは県内に多くのICT支援員を配置していますので、現場の先生方とコミュニケーションを取る機会も多く、そこでナレッジを蓄えていくことができます。
提案数が増えていけば、先生方からの問い合わせに対して過去の事例から解決策やヒントを見出すことができるようになりますので、そこから最適なICT教育のご提案に繋げられると考えております。

教育ビジネスで20年の実績

1ESS_山本真也様

― 教育ビジネスならではの特徴とは?

「文科省から出た方針に対して、どのように整備を進めていったら良いのか」といったご相談から始まる場合もあります。

その他学校の中で気を付けなくてはならないルールや、先生方がどこを気にされているか。一見すると伝わりにくい部分で、特徴があると思います。

その点、私どもは教育現場の専門として20年の実績があり、県西部地区では圧倒的なシェアを誇ります。長く専門的にやってきたESSならではの蓄積があることが、ひとつの武器かなと思っています。

― 官公庁ならではの難しさとは?

予算の組み方

予算は年度ごとに組みますので、翌年度の整備に関しては基本的に前年度中に該当年度の当初予算という形で予定を組みます。
また自治体は10月頃に来年度の予算請求をするので、それまでに来年度の整備についての提案をまとめる必要があります。そこのように常に平行して翌年度の事も考えながら計画を立てます。

長いスパンで整備計画を組み立てる

また、単年度で整備を考えるのではなく、三カ年・四カ年といった長いスパンで整備の計画を立てることもよくあります。ただ、今回のGIGAスクールのように急な変更もありますし、予算に入っていなかった整備をすることもありますのでその都度ベースを見直しながら進めていきます。
お客様とのヒアリングを重ねながら、私なりに先を見据えてお客様にとっての最善な提案をしていきます。

また、受注方法が入札やプロポーザル方式などで決定するのも官公庁ならではの仕組みですね。

ゴールは一緒でも過程が違う

また各自治体による違いは意識して仕事をしています。
GIGAスクールを例に挙げますと、文科省から「全国の小中学校に一人一台タブレット端末と高速ネットワークの環境を整備する」というゴールは示されますが、個々の自治体によってそのゴールに向かうための方法が変わります。
元々ネットワーク環境が整備されているところでは、タブレット端末だけ用意すれば済みますが、ネットワークを含めて一から整備をする場合もあります。そういった個々の自治体の事情をしっかり把握しておく必要があります。


周りを見る力と先を見る力

13ESS_山本真也様

― 教育ビジネスの営業に必要な資質とは?

教育ビジネスの営業は、規模も大きく複数の業者による大人数での仕事が多いので、全体を把握するための「周りを見る力」が必要になります。
今どのフェーズで誰が困っているのかなど、自分以外の所にも目を配って動けるようになりたいですね。

また、この仕事は段取りが全てと言っても過言ではありません。理想は全て段取りを済ませておいて、ご注文をいただいたら自分は何もすることがないという状態にしておくことです。SEから質問されることもないし、お客様も理解している状態。実際そんな事はなかなかできないですけどね。(笑)

もう一つは「先を見る力」でしょうか。先を見越して計画的に整備を進める案件も多いので、常にあちこちにアンテナを張って、情報収集する必要があります。その上で仕事の次の手からずっと先の未来のことまで、先を見る力が必要だと思います。

― 仕事をする上で気をつけていることはありますか?

忙しい時ほど慌てず予定を組み立てる

仕事の進め方では、一日一回慌てずタスクの整理をしています。
一日の仕事内容を洗い出して、まず時間がかかる仕事でかつ自分一人では完結しない仕事から取り掛かり、相手に依頼を投げておくようにしています。
そのあと相手からの返事を待つ間に、自分一人で終わる短時間の仕事を進めます。
自分一人で時間がかかる仕事をする時は、逆に短時間で終わる仕事を先に片付けてからそれに取り掛かかります。そこはタスクの内容によって振り分けています。

そうやって、仕事の組み立てや段取りを意識して時間を上手く使うよう心掛けています。
新入社員の頃は書き出さないとタスク整理ができなかったのですが、今は書き出さなくてもある程度は頭の中で組み立てられるようになりました。そこは成長したのかなと思っています。

SEを経験して気付いたこと

2ESS_山本真也様

社内で私が気をつけていることは、①仕事の依頼を文字だけで完結しないこと ②依頼するSEが抱えている仕事を把握すること ③SEと持ちつ持たれつの良い関係性を築くこと の3つですね。

新型コロナの影響もあり、会社としてもリモートワークを推奨しているので、会社でのやりとりはグループウェアやチャットを使えば、会って話さなくても済んでしまうことが多いです。ただ私自身は、文字だけだとニュアンスが伝わらないこともあると思っているので、メッセージを送るにしても、電話で自分の気持ちを一言添えてお願いするようにしています。
また、仕事を依頼する相手が、自分の仕事以外にどんな仕事を抱えているか把握し、依頼するタイミングを図るようにしています。相手が忙しい時にどうしても急ぎで仕事を依頼しなければならない場合でも相手の事情を知っていれば、依頼の伝え方を配慮することができます。

また、SEに依頼するばかりではなく、SEがお客様との交渉に困った時は自分が代わりに交渉するなど、持ちつ持たれつの関係性を築くようにしています。

このように考えるのは、私自身がSEを2年間やっていたからだと思います。当時の仕事は長期的なタスクが多かったので、計画的に仕事を進めている時に突然急な依頼が入ると、困ってしまうことがありました。その辺りのSEの気持ちは経験上分かるので、自分が急に依頼をかける時は、伝え方に気を付けています。

情報収集は地元のニュースから教育専門紙まで

― 自己研鑽として日頃から行なっていることはありますか?

情報収集は、営業に限らずこの業界の全ての人に必要なことですが、営業はICT以外の所にもアンテナを張る必要があると思っています。

例えば、地域で今何が起きているか、どんなことが課題になっているかを掴んでおくことは非常に大事だと思っています。営業先で決定権を持っていらっしゃるトップの方は、見識が広く話題も豊富です。実際、市政について意見を求められることもありました。
地域貢献・地域発展に寄与する地元企業の一員としても、地元に関心を持ち、ネットだけでなく地元の新聞に目を通すなど、情報収集するようにしています。

反対に、社会情勢や地域のニュースの中から新しい仕事のヒントが見つかることもあります。日頃から気になったことはすぐ調べて分からないことを減らすようにしています。
教育ビジネスの営業としては、教育関係の書籍・新聞に目を通したり、展示会に参加して講演を聴いたりして情報を収集しています。

責任ある仕事を任されているという自負を持って

12ESS_山本真也様

― 営業のやりがい、今後の抱負を教えてください。

営業活動を行う中で、正直辛いこともあります。お客様から厳しいお言葉をいただいたり、お客様とSE、業者との板挟みになることもあります。その中でしっかり交渉して最終的な落とし所を見つけていき、結果として課題を解決してお客様に喜んでいただけた時は、やっぱり嬉しいですね。

また、会社のフロントとして交渉できることは、やはり営業として誇りに思っています。責任重大ですが、上司からも「ミスしたら一緒に謝りに行ってやるから、まずは自分でやってみろ」と言ってもらえるのはありがたいですね。

責任という意味では、自分たちが子どもたちの教育の一旦を担っている責任は大きいと感じています。私たちの仕事はハード面の整備だけではありません。ICTの活用方法・情報リテラシー・情報モラル教育と教育支援の分野は多岐に渡ります。

デジタルネイティブと呼ばれる世代の子たちが授業でタブレット端末を扱うことは、ともすれば学校の先生方より容易い事かもしれません。ですがICTの便利な側面だけではなく、危険や責任が伴うということもしっかりと伝えて行かなければならないと思っています。

GIGA世代の子どもたちのために

私たちが学習支援をしたGIGA世代の子ども達が、10年と待たずに社会へ出ていきます。自分たちとは次元の違うリテラシーを身につけた子ども達がどんな活躍をしてくれるのか、責任を感じると共に楽しみでもあります。今後も人を育てるという責任のある仕事に携わっているという自負を持って、仕事をしていきたいと思います。

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