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ハンガリーでトレラン:UTH Visegrad Trail2024参加録

ハンガリーのブタペスト(正しくはブダペストにようですが以下本文中混合してます、ご容赦)といえば、ヨーロッパ、いや世界でも有数の温泉都市として名高い。そんなブタペスト近郊のトレラン大会に出れば、日本のような山を走ったあとに温泉(とビール)までセットで楽しめるのでは?と考え、去年のうちから早々に申し込んだ本大会、そして初めてのハンガリー!都市近郊の低山エリアで山自体はそう面白そうでもなさそうなので、前回のスロベニアでの大会同様さくっと30kカテゴリの短い距離にした。


結果的には天気にも恵まれ、というか恵まれすぎて低山エリアということもあり暑いくらいだったが、無事にレース後のビールと温泉まで決めることができ、なかなか良かった。日本では定番のこのコンボだが海外レースだとなかなかこうはいかないので改めて黄金の組み合わせと実感。詳細は以下に備忘兼ねてメモ(2024年5月)。

1、現地へ

本大会の会場はSzentendreという街でハンガリーの首都ブタペストから郊外電車で北に直通40分ほどのところにあるのでまずはブタペストに行くことになると思う。空港から市内へは100Eのバスでアクセス可。空港にバス乗り場ありクレカでチケット買える。SzentendreへはH5という電車にブタペスト市内のブダ側から乗ると終点がSzentendre駅であるのでわかりやすく特に難しくない。

Szentendre駅

参加カテゴリにもよるが、ブタペスト泊で十分対応できるはず。今回のレース会場は中心市街地のほうにあるスポーツセンター。

駅までいけば案内でも出てるかと思ったが特になかったのでとりあえず駅から地下歩道で大通りを潜って市街地に入る。可愛らしい市街地があり、土曜昼ということもあってか中国語話者の観光客がとても多い。

割と観光客多い

というかここに限らずブタペストでも中国人と思われる観光客はよく目立った。中国は一帯一路などの思惑もあってか、ハンガリーとの外交を重視しているようである。そうした政治的意図の結果かどうかはわからないが北京、上海、寧波からの直行もあるので来やすいのだろう。(ビザ免許?)

ということでもっとランナーが多く流れについていけばいけるかと思っていったが思いの外観光客で賑わっていてイマイチわからなかったので、街中の観光案内所でスポーツセンターの場所を教えてもらってたどり着く。ここでとりあえずBIB受け取り。

ジェルなども買えた

タイムチップは腕時計方式でエイドでタッチしていく形式だった。今回出場するカテゴリはまさかのド日中14時半スタート。開始地点まではバスで移動だがスタート地点には水はないらしいので、真昼間と今日の暑い天候も考慮して必須の500だけでなくもう一本ソフトフラスクに水を入れて持っていくことにした。ブタペストのスーパーで買ったパンを食べて、Expoのテントで売ってた塩分入りのジェルを一つ摂取、荷物整理をして裏手にある別棟の荷物預かりに残りを置いておく。今回は必携は携帯、IDカード、水500だけである。必携品チェックはなかった。念為現金クレカ、水+α、固形バーとジェルそれぞれ1つ持っていったが固形バーはスタートまでの待機時間に食べた。去年のスロバキア大会のオーガナイザーは前回スロベニアの大会で再開して(リンク)ここにもブースを出しに来ると言っていたのでひょこひょこ行って挨拶をしておく。

今回の装備、暑いのとスタート地点で補給できないので短い距離だが水多め

2、スタート地点へ


しばらく外でバスを待って大会準備のバスに乗り込む。川沿いを主に進み40分弱ほどかけてスタート地点のVisegrádへ。

ドナウ川の流れが美しいが、まじでなんもないところだった。ここで1時間ちょっと待機。天気が良くて良かったが悪かったら大変。

牧歌的

とは言え天気が良すぎるのでなかなか暑く、体力温存のため日陰でストレッチなどをして待機し、スタート前にスタート前方2、3列目くらいを確保。

3、レース所感

14時半にWaveなしの一斉スタート。適宜の案内は英語も併用してくれたが、カウントダウンがハンガリー語でわからなかった笑。高台にあるスタートから舗装路に下ってそのまま舗装路メインでしばらくゆるく森の中を登っていく。

序盤は森の中、というかだいたい森の中

スタートは団子なので先頭集団から離れず走り始めたが、すぐにペースがかなり速かったこともあり先頭集団の5、6人くらいは見えなくなり概ね第二集団くらいの位置で淡々と走っていく。そのうち人もばらけて女子トップと思われる選手の後ろをつけていくかたちになる。

走りやすい区間が多い

第一エイドはおおよそ10km地点でそこまでは基本登り基調だが基本的に走れる斜度が続く。1箇所短く斜度のある登りを歩き混ぜたくらい。女子選手もレベルの高い選手と思われて淡々とリズム良く安定して走ってくれるのでめちゃくちゃ助かる。やはりトレランにリズムは大事だなと思わされる。コースは基本スタート地点から山の中を南下していきSzentendreに戻っていくかたちでシングルトラックが大半+マーキング頻度もしっかりある。後半舗装路出てから2度一瞬迷ったが、高く基本迷うことはなかった。第一エイドの前後だけ折り返しがあり選手がすれ違うのでタイミング次第では少し走りにくいかも。エイドは水だけ補給してコーラを一杯その場で飲む。

女子トップ選手はトップ争いをしているからだろうエイドも一瞬で去ったのでここで少し離れ、しばらく一人旅だが、折り返し終わって前が開けた長くゆるい登りで2人ほど遠く背中が見えた。第一エイドの後は下って登って下って登るかたちになる。今日は晴れているが、前日が雷を伴う豪雨だったこともあってかところどころドロドロしている。途中景色のいい開けたところがあるが写真は撮れなかった。しばらく一人旅で眩しい新緑の中を走っていく。一回あまりに前後がいないのと似たような景色を走っているので不安になってGPXデータを見たが合っていた。新緑の中の気持ちいトレイルをしばらく1人で走っていたが、かなり急な登りが出てきてここで前に追いつく。また別の女子選手っぽい。この登り区間がおそらく唯一物理的に走れない区間で、かなりの斜度の登りとなっている。

一番きつかった登り

幸い距離が長くないが、ところどころ四つん這いになったり手を使ったりしつつ登っていく。ここで前の選手との差を詰めてそのまま後ろをついていく。テクニカルな下りがやや苦手なようで一度詰まっていたので一回抜くかたちになりそのまま走っていたが、最後向こうが持ち直したので、もう一度前に行かせておよそ23k地点にある第二エイドまで後ろに概ね着いて行った。ちなみに前半後ろにつけた女子選手とは別の人だが結果的にこの2人が女子の優勝と準優勝になっていて僕のちょうど前のポジションで2人の女子優勝争いをしていた模様。

第二エイドでは残り6キロほぼ下り、かかって30分、水は足りると判断して、タイムロスをなくすため水分補給はせずに暑さで塩分だけ心配だったので、目に入った塩っけのありそうなプリッツ的なお菓子を掴んで食べるのみでさくっと済ます。ほぼ同時に前の選手と通過したが、その後の6kmの舗装路メインの下りの間にめちゃくちゃ離されて5分くらい差が開いてしまった。僕の25-30kmのラップが4分半/kmくらいだったので、3分台/kmで下っていったということかぁ。最後6kくらいは舗装路メインで個人的にはここが靴と路面の相性もあるかもだが、たしかにロードの下り4分/km切ってはいけるよなぁ。けどこの日の僕にはなかなかきつかった、反省。

住宅地みたいなところを抜けて、小川沿いを走っていき街に戻る。街に戻ると市街地の広場のところを抜けてゴールに向かうので地元の人や遊びに来ている観光客がいっぱい応援してくれて気持ちがいい。結局最後のエイドからは後ろの気配も感じず再び一人旅でゴール。最後2h半切れるかと思ったが、下り基調にロードで前述通り思った通りスピードに乗れず(足は動くが軽く動かなかった)、2h31分ちょっとでフィニッシュ。けどゴール前のざっくり目標としていた2h50分切りは大きく達成。割とすぐに後ろはきててエイドからの間にだいぶ詰められていたようなのでもう少しロード長かったら追いつかれていたと思う。コースにもよるが、この最後のロード区間的なの課題かも。少なくとも今回のレースは山の中は登りも下りも割といい感じで走れた感覚があったので、本レースの課題はそこ。総合11位、男子9位だったので、ちょうど僕以下が女子選手に負けた男子たちになる。僕は2人とも一定区間後ろについて走ったが2人ともリズムよく体幹もきれいに走っている印象で強いなぁと思っていた。

ゴール直前は石畳の旧市街

4、ゴール後

ゴールしてタイムチップ返還、メダルもらう。嬉しいのは冷やしタオルを貸し出してくれること。これは気持ちいい。

冷やしタオル

コーラとバナナを食べてExpoに戻ることに。このまま温泉に行こうか迷ったが20時に閉まるので、金土はやっている22時の再オープンの深夜営業でいくことにして荷物回収後Expoでシャワーを浴びる、気持ちいい。その後ビールを飲んだりゼッケン提示引き換えのレース後の食事を食べたりスロバキアのブースでおっちゃんと喋ったりして、駅までに戻る間にあったレストランで肉を食って、少し隣のテーブルのオランダ人のおっちゃんとトレラン話で盛り上がる。

Bib提示でもらえるpost race meal
とりあえずビール、右が完走メダル

今晩22時スタートの112kmレースに出るらしい。帰りも同じようにH5の電車で戻って、ルダシュ温泉へ。温泉は(たぶん)別記事にするが、水着着用とはいえレース後の身体に暖かいお湯はめちゃくちゃ最高だった......。これや、これを求めていたんだ、ってやつ。日本だとレースだろうが遊びだろうが山を走ってビールと温泉というのはいつものセット(鈴鹿なら湯の山温泉へ、奥多摩ならもえぎの湯へ、丹沢なら鶴巻温泉あたりへ......)だが東南アジアとヨーロッパでこの組み合わせができたことは今までなかった。そうそうこれやねん的にしっかり硫黄の匂いの温泉に浸かり、レースの余韻に浸りいいとこ悪いところを考える。

温泉に行く前に見たが綺麗だった


ちなみに翌日はまた別のルカーチ温泉に行ったが、クリーム色の建物と新緑がものすごく美しい入り口のアプローチが最高だった。レース翌日のアクティブレストとしてプールで1kmほどゆるゆる平泳して温泉に入ったり、とダラダラ優雅で怠惰な午後を過ごした。大会の公式写真のFacebookで無料で公開してくれるのはありがたい。   

翌日行った温泉の外観

長い距離のカテゴリもあり大会自体はスムーズに運営されている印象。ブダペストから公共交通機関でアクセしやすい点もポイント高い。ハンガリーには高い山はないのでこのエリアも森と丘メインでアルプスのような絶景はないけど、何よりも温泉があるので総合的に出やすくおすすめできるレースな気がする。

登り+1000m以下なので緩やかだが、キロ5分切って走れたのは大きい。ITRAもUTMB indexもいずれも大きく更新できた、自己ベスト。

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