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見上げた空は、青かった

お昼前、ふと会社の窓から外を見たら、雲のすきまから青空が見えた。朝は空一面が灰色がかかった雲に覆われていた中で、その青がとてもまぶしく見えた。

その空を見て頭に浮かんだのは、先日読んだ「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」のこと(今ちょうどこの本を原作にした映画「ラーゲリから愛を込めて」が二宮和也主演で上演中)。主人公の山本さんは、いつ終わるとも知れない過酷な収容所生活の中で、シベリアの空の青さを俳句に詠んでいる。そしてその俳句を聞いたまわりの人達は、それまで環境の厳しさから下ばかり見ていて空を見上げることをしていなかった、と気づき、空を見上げることによって生きる希望を見出す。ちなみにこれは、ノンフィクションであり、実際の話。

空を見ているか。それは私にとって、心の余裕の度合を図るバロメーターの一つでもある。最近どんな空だったっけって思い出せない時はたいてい余裕がない時だし(物理的にもだけれど、それ以上に気持ちの余裕がない時)、反対にどれだけ忙しい時でも気持ちの余裕がある時は、ふとした隙間で空を見ている。もしも自分が山本の立場だったとして、シベリアの地で果たして空を見上げる心の余裕を持てたのか、と言われると、まったく自信がない。山本さんは常に希望を持ち続け、希望を周りにも与え続けた。すごい人だ、ほんとうに。

明日の空は、どんなだろう。それが青空でも曇り空でも、晴れでも雨でも、空を見上げる余裕を持っていたいものである。


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