【コラム】目標によってうまく行く人は限りなく少ない #034
最近話した人何人かが同じことを言っていたので。
■まず、現実をくまなく見てほしい
目標を設定してその通りのゴールに到達する人がどのくらいの%かよく見てほしい。どこかのノート術を駆使してTODOを作り、そのうちの『いくつか』の成果を上げてもそれは「目標到達」とは言わない。
そのTODO全てが、今日なり今週やり切るべき内容だったのだろ?
複数ではややこしい。ひとつの目標に絞ろう。
よく現実を見てほしい。到達できた目標の多くの割合が、その到達点やゴールが成果にとって不十分であることがよくある。成果のための行動であるはずが「できることをやる」にすり替わり、そもそもの成果にいたらないということがある。
つまり目標設定の方法が間違っているのだが、実際には成果の想定が間違っている。能力が低いにも関わらず、高い成果を求めすぎたのだ。
しかしはっきりしているのは、成果の取れない目標など杵と臼のない餅つきと同じだ。
いや、そんなことはない。目標を設定し到達し、かつ成果も得られている。そういうこともあるだろう。ごくわずかの%だが。
そういうことがあるのは肯定しよう。だが、目標と成果に到達できる「ほとんどの人」が低くしょうもない成果を想定して、ハードルを下げて『到達できるために目標を設定する』。本末転倒なことが起こっている。
もちろん本人は気が付いていない。
いや、そんなことはない。
知り合いの経営者にひとつひとつ目標に到達し、成果のレベルを上げる人がちゃんといる!・・・・その通りだろう。で、そのような人はあなたの知り合い人数の何%になる?
【目標】は道具でしかない。ある種の道具は上手に使える人と、さほどでもない人、下手な人に分かれる。
■自分自身を見ろ
毎年新年の目標を立てて、年末にその通りになっていない人が世界人口のほとんどだと言っても言い過ぎではない。
ほとんどの人は未来を想定する力が著しく欠けている。そういう力がある人も、物事や状況は読むことができても、自分自身のことになるとたちまち外しまくるということが多い。これにはそもそも時系列のどこに長けているかとか、未来の不確定要素、モノの見方となる視点や視野、概念の持ち方、フィードバック法の習得などが影響する。つまりかなり複雑で上手くできるには相当な訓練が必要になる。
つまりあなたは、そもそも目標など定める力に欠けているのだ。
いや、でも「やりたいこと」「自分が良いと思えること」はやろうとしてもいいじゃないか。やろうとするなら書き出したり、目標だ!と思って何が悪い?別にいいじゃないか、と思うこともあるだろう。
大悪だ。
そもそもそんな考え方自体頭が悪いことを証明している。
あなたのやりたいことは、しょうもないことだ。
なぜなら、未来想定する力がなく、外部状況を創造する力がない。その自分が求めるものは、目先の欲求で満たしても満たしても本当の意味で自分自身を納得させる種類のものではない。
であれば、そういうものは目標にしなくても、書き出さなくても簡単にできる。簡単にできることを目標にする。それはつまり、目標という「ちょっと頑張らないとできないぞ」という位置付けにしている。
簡単な物事を、ちょっと難しいとするのだから、物事に対するスタンスを一段下げることになる。一段下がっているのにそれが標準になるのだから、つまり【レベル下げ】をしているのだ。
目標を作り、自分のレベルを下げている。
ロールプレイングゲームは経験値を獲得して、能力を高め、より強い魔物を倒しに向かう。レベルを上げる。現実の自分は簡単なことを難しくして、能力を下げ、より弱い魔物を倒して「とったどー」と叫び上げる。
弊害しかない。
■ならなぜ目標設定がこんなに叫ばれているのか?
叫ばれているのは目標設定だけではない。
夢を持とう。ワクワクすることをしよう。やりたいことをしよう。全部「抽象的」で「やらない人の心理に訴えかけ」「なんかいいかも」と思えるワードだ。
この条件に一致することに、普段から「良い」と判断していると、自分で自分のことを考え、こういう性質の自分はどうするのがいいか?と自分の頭で考えることをしなくなる。
子供はどこどこの私立に入れるのがいい。みんな仲良くするのがいい。安定的な仕事に就くのがいい。幼稚園児か。
抽象的な良いことは他にもいくらでもある。
具体的な良いことは自分自身の性質を知り生かすこと以外にない。しかし実際には誰かの仕事の成果にだけ具体的に集中する。そしてその誰かは、集中して成果を上げてもらうための手早い方法として「目標を立てろ」と言う。
なぜなら、行動の一部分に絞った単発の成果は、集中して余計なことをせず、ただ没頭するだけで到達できるからだ。つまり世の中の目標のほとんどは「歯車の部分としてちゃんと回るようにやれ」ということを可能にするためにある。
あなたの個性と資質を十全に生かす目標などない。
■「ない」と断言する理由
目標とは集中だ。集中することで効果を上げるための方法論だ。
ところが自分が持つ資質は、仕事や目的を限定してすら複数個使われる。配分率はいつも同じではない。
また、自分の生かし方を考える時、あるひとつの到達地点に辿り着けばこの上ない成功だ、などとはならない。そもそも外の世界の不確定要素がそうさせないが、ややこしいので置いておく。
自分自身の持つ資質の掛け合わせによって生み出される成果は、実のところひとつの仕事に絞った場合でも複数ある。成果が複数生み出される。
目的、あるいは目標に目を奪われてスルーし、なかったことにしているだけなのだが、実際にはそうできている。現実を良く見ればすぐにわかる。
なら仕事や成果は『自分を有効に扱うためのひとつの基準』でしかない。
その期間に生み出した自分特有の成果のひとつひとつが何か?を細かく見ていけば、自分が何を生み出すことができるのか?の理解ができるようになる。
そして【その理解の組み合わせによって何を創造できるか】がわかる。この創造性は既存の何かに近いものにも働くが、オリジナルの創造性を発揮した全く新しいものも生み出す力がある。
この力を駆使して創造的な現実を生み出す自分、ができあがると、「集中のための目標」でひとつの目的に絞ることが【できなくなる】。
逆に言えばそういうのは簡単にできるようになるが、すでに書いたように簡単にできることをわざわざ目標にする必要はない。
では創造性を目標にするのはどうか?
だがこの考え方は矛盾している。そもそも創造的なことは確率論としての失敗を含む。さらに無から有を生み出すということは、最初に想定した形にならないことを意味する。成果ではなく結果としての有効性が基準になる。
また資質の組み合わせは無限であり、何を生み出すことができるかは実験的に取り組むことが最も有効な方法で、目標の集中性はこれを阻害する。
■創造とは拡散性。目標の集中性では発揮されない
集中が効力を発揮するのは、そうと決まっている物事に対してだ。
工程が3つあり、ABCの順でやる時、間違いがなく適切に進めるために集中する。スポーツで今が勝負どころというとき、勝つためにあらゆるパターンを想定して集中する。
それらは全て『ピンポイント』の物事で、集中とは「その他を排除する考え方」だ。
一方創造的であるとか、創造性を発揮する・・・・もっと手短に、複数の資質を使いこなすというのは不確定な物事への取り組みだ。道は無数にあり、どの道がどのゴールにつながるのか、あるいは途中で切れているのかわからない。そこがスタートラインになる。
1本の道に賭け金を全て賭けるのは愚かでしかない。
しかしこの愚かを多くの人がやってしまう。その理由の心理的に一番大きなものが安心したい、だ。複数はめんどくさい。1本が保証されていればいい。そういう安直で頭が悪い考え方が人生を限定し、安心と引き換えに全てを台無しにする。台無しを目の前にしてどうにかしたいと思う。どうにかしたい思いもまた1本でやりたい。だから目標やワクワクなどという言葉に踊る。
自分を創造的に振る舞わせる、あるいは誰にとってもある人生という物事はそもそも拡散的にできている。なら拡散的に振る舞うしかない。
好きなことをやるのではなく、好きなこととそれ以外をやる。嫌いなことは避けてもいいが、避けないことがあっても良い。その方が資質を刺激する。刺激がなければ反応しない。
さらに言うなら、目的を限りなく薄くする。つまり無目的に近づける。
たとえば通訳になりたいと考えるとやる気も出るかもしれないが、「とにかく英語に接してひとまず話せるようにする」だと通訳以外の幅広い可能性を取ることにつながる。仕事の話ではない。プライベートも心情的なものも含む。この幅広さが拡散だ。通訳になる場合も英語を習得するが、同じことをやるにしても目的に従った集中的な前提を持つことと、拡散的に可能性を想定してやるのとでは意味が違ってくる。
目標には目標のメリットがある。しかしデメリットがあり、そのデメリットはあまりにも大きい。
創造には創造のメリットがあり、デメリットがある。デメリットを避けるがあまり、創造のメリットだけではなく、自分と人生のメリットも台無しにしていることが多い。
シンプルにまとめると、誰でもやるべきことは拡散の中にあり、目標にはない。
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