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05.接客のポイント「4.接客によるしくみの改善」

接客がサービスの枠を超えるときいろいろと制約が多いけれども、サービスの枠を超えた接客によってだけ、サービスをより良く提供できる場合も確かにある。

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現場は、しくみでは収まりきれないことを接客に求めることがある。
そのようなとき接客者は、自分の観察と判断によって対応する。
状況とサービスを調整して、滞りなくサービスを提供しなくてはならない。
そしてその判断はうまくいくこともあれば、間違うこともある。

人は成功や失敗の経験と、そこから学んだ知恵を頭の中に蓄積する。
これに対してサービスでは、経験と知恵を共通データベースに保存する。
接客者によって得た経験を、マニュアル更新によってサービスに関わる全ての人に共有する。
数ある経験から、接客でしか得ることのできない情報を、しくみとして改善し更新する流れを作らなくてはならない。
つまり、しくみの改善は接客によってされるということになる。

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しくみが改善、更新されたら、今度はそれを中心に接客を行う。
そしてまた現場で不備が出たときにはその問題と対応、結果をしくみに反映して、マニュアルを更新する。
これを繰り返して、様々なケースに的確に対応できるサービスが作られていく。

サービス作りは、この接客がしくみを更新するという作業が定着してやっと完成する。

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ある会社では、社長が人事採用のしくみの概要を作り、ヘッドハントした人材によってそれを固めた。
その方法は問題にならないほど綿密に採用する人材を選ぶ。
だから、最低限の気配りができないということはまずない。技術力はもちろん、人の話を聞く力もしっかりと持ち合わせている。
その彼ら、彼女たちにして、いい意味でお客に対して特別なことは何もしていない。

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お客の声によく耳を傾け、お客の求めるところを理解した上で、目の前の相手にふさわしいと思われる方法を提案するに過ぎない。

これは何も、手を抜いているわけでも楽をしているのでもない。サービスをうまく活用するために考えられた方法だからそうしているのである。
接客者はお客に迎合しない。
ただ単純にお客にいいものを手渡すために全力を尽くしているだけなのである。

コンセプト、ハード、基本サービス、しくみが完全であれば、接客者が無理に努力をして行うことはほとんどない。
リラックスをして、既に良いと分かっていることを行えばそれでいい。
サービス全体がそういったようにプログラムされているので、お客はサービスを受けるだけで満足してくれるからである。

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これがマーケティングされたサービスの作り方であり、このサービスを受けたお客は必ず満足してくれる。
そしてそういったお客が多くなればなるほど、今度はマーケティングするサービスになる。
お客が口コミをはじめ、ブランドが作られていく。
まだサービスのことをよく知らない(潜在的な)お客は、自分からサービスを良く知ろうとしはじめるようになる。

その動きをうまく促進するために、一度作られたサービスはどのように維持し発展していけばいいのかということを次のトピックスで見ていくことにしよう。



前話: 04.サービスの枠を超えてはいけないケース
次話: 第9章 01.サービスブランドと展開



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