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サービスコラム 第5~10章

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第5章 Step.1ハードを作る 第6章 Step.2基本サービスを形作る 第7章 Step.3サービスの歯車、しくみを作る 第8章 Step.4接客を作り上げる 第9章 ブラン…
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2020年11月の記事一覧

01.基本サービスを作る

01.基本サービスを作る

基本サービスとは、提供するものそのもののことである。

銀行は融資が基本サービス、飲食店は食事の提供、タクシー会社は車を使って場所の移動を提供し、クリーニング店は衣服の汚れを落とす。
スターバックスはエスプレッソベースのコーヒーを、マクドナルドはハンバーガーを提供する。
これらが基本サービスとなる。
基本サービスがなければ、サービスは成り立たない。

基本サービスとして何を提供するかを決めるとき、

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01.サービスブランドと展開

01.サービスブランドと展開

サービスには「発展」と「改善」できないという特長があります。
サービスをよりお客の手元に届けるためには、発展ではなく展開することが必要になります。
と同時に、お客の心の中に展開する、サービスによるブランド作りを欠かすことはできません。

このトピックスでは、サービスによって作られる真のブランドとは一体何か、その論理はどのようになっているのかということと、サービスの展開に必要な4つの方法を見ていきま

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05.接客のポイント「4.接客によるしくみの改善」

05.接客のポイント「4.接客によるしくみの改善」

接客がサービスの枠を超えるときいろいろと制約が多いけれども、サービスの枠を超えた接客によってだけ、サービスをより良く提供できる場合も確かにある。

現場は、しくみでは収まりきれないことを接客に求めることがある。
そのようなとき接客者は、自分の観察と判断によって対応する。
状況とサービスを調整して、滞りなくサービスを提供しなくてはならない。
そしてその判断はうまくいくこともあれば、間違うこともある。

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04.サービスの枠を超えてはいけないケース

04.サービスの枠を超えてはいけないケース



しくみによって「サービスの枠を超えていい接客」が決まっていても、接客者がやってはいけないルールが2つある。
ひとつ目は、販売を理由に接客がサービスの枠を超えること。
ふたつ目は、自分ができることを精一杯行う接客である。

接客にはセールスの仕事が組み込まれていることがある。
販売や売上げ、売上額による社内評価が接客者の目的になってしまうと、サービスを完全に提供する意識が追いやられてしまう。

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03.接客のポイント「3.サービスの枠を超える接客」

03.接客のポイント「3.サービスの枠を超える接客」

サービスでは、コンセプトを反映する「場」としてハードが作られる。
そして実際に提供するものとして基本サービスが作られる。
サービスの原型がこうしてでき上がる。

そのハードと基本サービスを滞りなく動かすためのしくみもまた、ルールやマニュアルとして決められる。
この過程と様子は、演劇やオーケストラに似ている。

演劇にはコンセプトとなるストーリーがある。
舞台となるハードがあり、基本サービスとなる主

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02.接客のポイント「2.基本サービスを提供する接客」

02.接客のポイント「2.基本サービスを提供する接客」

接客を行う「人」が、サービス提供を直接行うことがある。

高速道路の料金所の接客者は、サービスを直接提供していない。
高速道路ではハード(道路)の利用が基本サービスで、道路を走って初めてサービスが提供され、道路を降りるとサービスの提供が終わる。
接客はサービスの一部分(しくみ)として、関所の役目を果たすにすぎない。

レストランのウエイターは、しくみと「基本サービス提供」の両方の役割がある。
接客

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01.接客のポイント「サービスのしくみとしての接客」

01.接客のポイント「サービスのしくみとしての接客」



高速道路では、道路を利用する前または後に料金を徴収する。
接客者はトータルサービスの流れの中で、料金を徴収するというプロセスとしての役割がある。
プロセスとして機能しているということは、接客を必要としないETCが、プロセスの一部として料金徴収所の役割を担うことが可能になる。
切符を徴収する改札所の接客が、自動改札に替わることと同じで、接客はサービスのプロセス、しくみとしての役割以外は果たさない

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05.演劇と台本の関係

05.演劇と台本の関係



正しいしくみを持たないサービスは、ベテランの脇役がいない演劇のようなもので、味気も色気もない。
そのような演劇は誰も見たいと思わない。

サービスを演劇に当てはめて考えてみると、ハードが舞台。
基本サービスは主人公。
しくみは脇役になる。
そしてその演劇をうまく運ぶための台本が、サービスではマニュアルとなる。

主人公が演劇で何を話しどのような動作を行うかが決まっているように、脇役の役割も台本

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04.取り入れてはならない3つの視点

04.取り入れてはならない3つの視点



他社のサービスを取り入れたり真似をしたりすると、しくみにコンセプトが反映されなくなってしまう。

サービスが良いことで有名な他者のサービスやオペレーションが魅力的に映るというのはよくわかる。
実際のところ、それを真似し取り入れることはそう難しくはない。
いとも簡単にできてしまうこともある。
ただしうまく機能したという話を聞いたことがない。

他社でそのオペレーションが上手く機能するのは、サービ

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03.しくみ作りの3つのルール

03.しくみ作りの3つのルール



もともとサービスは、コンセプトが生みの親になる。
ハードも基本サービスも、コンセプトによって作られる。

脇役であるしくみは、これらの主役とコンセプトを反映するものにする。
少なくとも、反対はしないようにする。
演劇を成功に導く、脇役の仕事は何かということを考えるようにする。

たとえばファーストフード店では、調理の方法、調理台の位置、調理前の材料の保管場所など全てが決まっている。
そして、現

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02.しくみの「改善」と「更新」

02.しくみの「改善」と「更新」



しくみにはハードや基本サービスにはない、改善され更新されるという特徴がある。

ハードは一度できあがってしまうと大幅に変更するのは難しい。
基本サービスは「これを提供する」と決めたら必ずそれを提供するのだから、基本的に改善や更新はしない。

けれども、しくみは基本サービスを提供するために何でも行う役割なので、ダメなものを捨て、より良くしていくことに力を入れていかなくてはならない。
サービスは正

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01.トータルサービスというしくみの考え方

01.トータルサービスというしくみの考え方



サービス全体をトータルサービスとして見てみると、時間軸で、基本サービス提供前、提供中(提供するとき)、提供後に分けて考えることができる。
お客は、店舗に足を踏み入れるなどして、その経験がはじまってから終わるまでを通じて、全体的にサービスを感じる。
基本サービスだけでサービスを体験することはほとんどない。

全体を通じて適切に提供されたか、されなかったかを感じて判断する。
もしくは提供途中で気分

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04.信用はこうして守られる

04.信用はこうして守られる



せっかく基本サービスを完璧に作り上げることができても、それは必死に守られなければ基本サービスは長い期間信用されない。

あるサービス業の会社のいい例がある。
多くの人にサービスを支持してもらうことができるようになった創業2年目のある日、再三の呼びかけにも応えずに、約4ヶ月間料金を支払わずにサービスを受けていたお客がいた。
スタッフは電話、メール、手紙などを使って支払ってくれるようにアプローチし

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03.基本サービスの治療

03.基本サービスの治療



基本サービスは複雑なものではない。
とてもシンプルなものである。
しかしシンプルであるからこそ、その重要性が高く、完璧に作られ、提供されなくてはならない。

それだけに、一度不完全な状態で基本サービスを提供すると、信用を取り戻したり、新しい基本サービスに生まれ変わらせたりするには、相当の時間と、手間と、コストを必要とする。
サービスが上手く機能していないという事実に直面したとき、行うことができ

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