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サービスコラム 第5~10章

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第5章 Step.1ハードを作る 第6章 Step.2基本サービスを形作る 第7章 Step.3サービスの歯車、しくみを作る 第8章 Step.4接客を作り上げる 第9章 ブラン… もっと読む
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03.接客力を高めるブランドの展開

03.接客力を高めるブランドの展開



これまでの展開はサービスの量を増やし、質に変化をもたせることで物理的にサービスを広げる方法だったが、コンセプトを反映したハードと基本サービスを中心にして、接客がそのコンセプトをお客に伝達する心理的な展開がある。

ブランド作りでの接客の役割は、「コンセプトの反映」と「お客の理解」の一致を促すことにある。
そして不一致している部分を一致させるように、お客に正しく伝えることにある。
この作業によっ

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02.新しい意味を生みだす質の展開

02.新しい意味を生みだす質の展開



他のサービスと組み合わせることによって、新しい意味を持つサービスを生み出すことができる。

これまで提供してきたサービスは、これまで通り何の変更もしない提供を行う。
別のサービスと組み合わされた今のサービスは、全体として新しい意味を持って提供される。
これまでのサービスは別のサービスと組み合わせたとしても、根本的な提供の方法と内容は変わらない。
しかし

これが質の展開のひとつ目になる。

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01.サービス提供を増やす量の展開

01.サービス提供を増やす量の展開

基本サービスが改良や改善を重ね、より良いサービスになることはない。
あるとすればそれはプロセスであるしくみと接客の改善(つまりサービスを手渡す方法の改善)であって、基本サービスの改善ではない。

もし本当により良くなるサービスが存在するとしたら、1年前にそのサービスを利用した人と、1年後に利用する人の間に差ができてしまう。
差ができるということは、もはやそれは同じサービスではないということで、違う

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06.強いブランドのパラドックス

06.強いブランドのパラドックス



強くなってしまったブランドは、ブランド作りやブランドの促進とは異なった、ある新しい特徴が生まれる。
それはブランドに対する接客の無効化である。

ある年の正月が明けた1月3日。
私の知人が母親と一緒に革製品とスカーフで有名なブランドショップに買い物に行った。
新年とはいえ店内は足の踏み場もないほど込み合っていた。
知人の母は以前から購入を考えていたアクセサリーを探したが見つからなかった。
店員

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05.新しいサービスのブランド

05.新しいサービスのブランド

新しいサービスを提供しはじめたとき、同時にブランドが生まれることはないので、一からブランド作りを行わなくてはならない。
それは遠く長い道のりだけども、ブランドはそうやって毎日作られるものだから、結局はブランドが作られる歯車を回し続けるしか方法がないということになってしまう。
しかしそれだと、新しいサービスはブランドなしでサービスを提供しなくてはならなくなってしまい、図式として既にブランドのあるサー

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04.ブランド促進の歯車を回す 継続で生まれる強いブランド

04.ブランド促進の歯車を回す 継続で生まれる強いブランド

ブランド作りと促進は、必ずしも同じではない。
ブランドの作りのほとんどはハードと接客にコンセプトが反映されているかどうかによって決まる。

これに対してブランドの促進に必要なことは、個別コンセプトの反映を強めること、基本サービスを正確に提供すること、接客者のサービス理解、の3つ歯車を回す必要がある。
全ての歯車がかみ合い動力となって働くと、サービス提供者のコンセプトの反映と、お客の理解が広がりを見

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03.ブランド作りの入り口 ハードと接客

03.ブランド作りの入り口 ハードと接客

サービスがブランドを作るということは、私たちはまず、お客のイメージに注目するのではなく、サービス提供者として何がブランドを作るのかということを正確に知っておく必要がある。

サービスはコンセプトに沿って4つのプロセスを経る。
ハード、基本サービス、しくみ、接客の4つのプロセスは、仕事上の実務であり、サービスのパーツでもある。

それぞれの実務とパーツには、それぞれの役割がある。
ハードは雰囲気を統

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02.ブランドはサービスによって作られる

02.ブランドはサービスによって作られる

サービスを作り上げることができたら、次はそのサービスを維持することが課題となる。

維持といってもそれは現状維持という意味ではなく、実活動の中で強いサービスをさらに強くするための方法を維持する。
そのために行うことは2つあって、ブランド作りとサービス展開が一体になって行う。
2つの頭を持つ強い鷲が未来に羽ばたくようにサービスを維持する。

ブランドはマーケティングや広告によって作られると広く信じら

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01.サービスブランドと展開

01.サービスブランドと展開

サービスには「発展」と「改善」できないという特長があります。
サービスをよりお客の手元に届けるためには、発展ではなく展開することが必要になります。
と同時に、お客の心の中に展開する、サービスによるブランド作りを欠かすことはできません。

このトピックスでは、サービスによって作られる真のブランドとは一体何か、その論理はどのようになっているのかということと、サービスの展開に必要な4つの方法を見ていきま

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05.接客のポイント「4.接客によるしくみの改善」

05.接客のポイント「4.接客によるしくみの改善」

接客がサービスの枠を超えるときいろいろと制約が多いけれども、サービスの枠を超えた接客によってだけ、サービスをより良く提供できる場合も確かにある。

現場は、しくみでは収まりきれないことを接客に求めることがある。
そのようなとき接客者は、自分の観察と判断によって対応する。
状況とサービスを調整して、滞りなくサービスを提供しなくてはならない。
そしてその判断はうまくいくこともあれば、間違うこともある。

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04.サービスの枠を超えてはいけないケース

04.サービスの枠を超えてはいけないケース



しくみによって「サービスの枠を超えていい接客」が決まっていても、接客者がやってはいけないルールが2つある。
ひとつ目は、販売を理由に接客がサービスの枠を超えること。
ふたつ目は、自分ができることを精一杯行う接客である。

接客にはセールスの仕事が組み込まれていることがある。
販売や売上げ、売上額による社内評価が接客者の目的になってしまうと、サービスを完全に提供する意識が追いやられてしまう。

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03.接客のポイント「3.サービスの枠を超える接客」

03.接客のポイント「3.サービスの枠を超える接客」

サービスでは、コンセプトを反映する「場」としてハードが作られる。
そして実際に提供するものとして基本サービスが作られる。
サービスの原型がこうしてでき上がる。

そのハードと基本サービスを滞りなく動かすためのしくみもまた、ルールやマニュアルとして決められる。
この過程と様子は、演劇やオーケストラに似ている。

演劇にはコンセプトとなるストーリーがある。
舞台となるハードがあり、基本サービスとなる主

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02.接客のポイント「2.基本サービスを提供する接客」

02.接客のポイント「2.基本サービスを提供する接客」

接客を行う「人」が、サービス提供を直接行うことがある。

高速道路の料金所の接客者は、サービスを直接提供していない。
高速道路ではハード(道路)の利用が基本サービスで、道路を走って初めてサービスが提供され、道路を降りるとサービスの提供が終わる。
接客はサービスの一部分(しくみ)として、関所の役目を果たすにすぎない。

レストランのウエイターは、しくみと「基本サービス提供」の両方の役割がある。
接客

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01.接客のポイント「サービスのしくみとしての接客」

01.接客のポイント「サービスのしくみとしての接客」



高速道路では、道路を利用する前または後に料金を徴収する。
接客者はトータルサービスの流れの中で、料金を徴収するというプロセスとしての役割がある。
プロセスとして機能しているということは、接客を必要としないETCが、プロセスの一部として料金徴収所の役割を担うことが可能になる。
切符を徴収する改札所の接客が、自動改札に替わることと同じで、接客はサービスのプロセス、しくみとしての役割以外は果たさない

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