【NCPR編】1次性無呼吸には刺激、2次性無呼吸には人工呼吸
NCPRの教科書に1次性無呼吸と2次性無呼吸の図があります。1次性無呼吸と2次性無呼吸とその間にあえぎ呼吸があり、心拍と血圧の変化が載っている図です。この図はもともとアカゲザルの胎仔の臍帯を結紮した際の反応が基になっています(下図)。
臍帯結紮から数分アシデミアに伴う呼吸が見られ、その後無呼吸になります。この段階が1次性無呼吸で、交感神経の活性化により徐脈ではありますが、血圧は上昇します。この段階であれば、刺激により容易に呼吸は回復します。その後あえぎ呼吸と呼ばれる短く不規則な吸気が数秒に1回くらいでみられます。これは有効な換気とはなりません。あえぎ呼吸の段階に入ると刺激では自発呼吸は回復しませんので人工呼吸が必要になります。さらに数分たつとあえぎ呼吸も消失し、最終的な無呼吸である2次性無呼吸の段階に入ります。この段階では副交感神経の方が優位となり、血圧も低下しています。もちろん2次性無呼吸に対しては刺激では自発呼吸は回復しませんので人工呼吸が必要になります。
NCPRの蘇生の初期処置では呼吸を促すための刺激を行うことになっていますが、これは1次性無呼吸である場合に自発呼吸を回復させる手技になります。ですので、刺激を行っても自発呼吸が始まらない場合には2次性無呼吸ですので、いつまでも刺激をしていても仕方がありません。呼吸を促す刺激=皮膚への触覚刺激と以前解説しました。皮膚乾燥も呼吸を促す刺激ですので、それにより自発呼吸がはじまる気配がないのであれば、それ以上の刺激を頑張ることは時間の無駄です。早々に人工呼吸を始めなければなりません。一生懸命刺激を頑張る人を見かけますが、無呼吸の場合には人工呼吸をすぐに開始する心づもりで蘇生に入らなければ、生後60秒以内に人工呼吸を開始する目標を達成できません。新生児蘇生に入る者は常に人工呼吸が必要になることを想定しておかなければなりません。
【極論かましてよかですか】
刺激に固執しても時間の無駄である。早々に人工呼吸を始めよ
いつも蘇生に入るときは常に人工呼吸が必要になり、速やかに人工呼吸を始められる心の準備をしておくべきである
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