人を見抜くテクニックなんてあるのか?
素人が他人の心を読むのは無理でも、FBIや軍隊の尋問官が使うような特別なテクニックを学べば、自分にも千里眼が備わるのではないだろうか?
そう思いたくなるのが人情かもしれないが、残念ながら相手を見抜く魔法のテクニックは存在しない。
微表情トレーニングを知っているだろうか?
微表情とは、人間の顔にほんのわずかな時間だけ浮かぶ細かな表情のこと。
この小さな違いを見極めて、他人の心を読もうとするのが、微表情トレーニング。
海外ドラマなどで話題になったテクニックで、作中ではこのスキルを身に付けた行動学者が凶悪犯罪者の心理を暴き、見事に事件を解決していく様子が描かれている。
しかし、このテクニックは現在では効果が否定されている。
あまりにも人間の表情は細かすぎて、どれだけトレーニングを積もうが、人間の目では見極めるのが不可能。
また、アメリカの空港セキュリティが行った調査では、微表情トレーニングを積んだエキスパートでも、正しい犯人を捕まえる確率は、1~4%の範囲でしかない。
結局いくら表情分析のテクニックを学ぼうが、コイン投げとさほど変わらない精度でしか的中率は上がらない。
この他でも、統計をベースにした観相学や視覚や聴覚を鍛えれば、人を見抜く力が身に付くなどの主張もあるが、いずれも科学的には眉唾物。
データで証明された例はない。
そのため、近年アメリカの警察などでは、自分の観察力を上げるのではなく、尋問で相手のメンタルを揺さぶって、犯人を自白に追い込むテクニックを使う方が主流なのである。