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求人を見るときのポイント:有給休暇

2019年より5日間の取得が義務付けられた有給休暇。というのも、先進国の中で、日本の有給取得率は低いからです。労働者が取得してこなかったのか、雇用側が取得させてこなかったのか。どちらにせよ、今後は最低限5日は取得できるようになりました。

■そもそも、休暇・休日・休業の違いとは

さて、有給「休暇」とついていますが、「休暇」「休日」「休業」は何が違うのでしょうか。例えば、有給は休暇ですが、産前産後は「休業」と呼んでいます。その違いは何なのか。

<休日>
休日とは、就業規則などで勤務しなくてもよいと定めた日のこと。労働基準法では1週間に1日以上の休みを取ることを義務付けていますが、この1日以上の休みのことを「休日」と呼称します。
たとえば、完全週休2日制(土日)の場合、土曜日と日曜日が「休日」となります。
<休暇>
本来、労働義務のある日を労働者の申し出によって免除される日のこと。特に「有給休暇」「生理休暇」「産前産後休業」「子の看護休暇」「介護休暇」「育児休業」「裁判員休暇」をあわせて法定休暇と呼んでいます。ただし、有給休暇以外の休暇については、企業側が賃金(有給)を支払う義務はありません。
また、上記7つ以外の企業独自の休暇のことは「法定外休暇」と呼ばれています。
<休業>
休暇と同じく、労働義務のある日を労働者の申し出によって免除される日のことです。ただし、休暇は1日単位で取得できるのに対し、休業は長期的に取得する休暇のことを指します。よって、産前産後や育児の休みの場合、休業と呼称することが多い。

■世界でも取得率の低い日本

エクスペディアの調査では世界19カ国と比較して、日本の取得率・取得日数はもっとも低いとしています。

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国民性のほかに、日本は祝日が多いから有給休暇を取得しないのだ、という説があります。しかし、それは正しいのでしょうか。

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祝日と有給休暇を足すと、日本は休日以外に27日休んでいることになります。たしかに表の上では真ん中くらいになっていますが…そもそも、祝日休みでない労働者も多く、必ずしも祝日+有給休暇が日本の平均的な休みであるとは言えないでしょう。

■業界別の有給休暇取得率

「平成30年度就労条件総合調査(厚生労働省)」によると、日本全体の有給休暇の取得率は51.1%となっています。しかし、業界によってかなりの差が出ているのが事実です。

もっとも有給休暇を取得しているのが「電気・ガス・熱供給・水道業」といったインフラ業界で72.9%でした。一方、取得率が低かったのは「宿泊業、飲食サービス業」で32.5%と、その差は2倍以上でした。

有給休暇

また、従業員規模が大きくなればなるほど有給休暇の取得率は上昇していることから、大手企業ほど有給休暇が取得しやすいといえます。

もちろん、業界や企業規模に関わりなく、取得しやすい企業も存在します。飲食サービス業だから有給休暇が取得できない、というわけではありません。

ただ、求人票において有給休暇の取得率(あるいは取得数)を公開している企業は少ないのが現状です。そもそも計算していない、あまりにも低すぎるなど、理由はありますが、公開していない企業は有給休暇への意識が低い、というのは間違いないでしょう。

■有給休暇のあり方は、企業の働き方改革を表す

ご存じの方も多いと思いますが、有給休暇は労働者の権利であり、企業側は時季をずらすことはできても、取得を拒むことはできません

労働基準法において「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」とされているからです。

ここで重要なことは「正常な運営を妨げる場合」のみに限られる、ということ。労働者が有給休暇を申し出た際、企業側は人員を調整するなどの努力を行う必要があり、その努力を持ってしても難しい場合のみ、時季変更権は行使できます。

このあたりは裁判でも何回も争われているので、安易な時季変更権の行使は裁判で敗訴する可能性があります。

特に、冒頭で挙げた5日の取得義務が制定されて以降は、時季変更権の行使は厳しい目で見られると思って間違いありません。有給休暇のあり方は、企業の働き方改革の姿勢を写す鑑といっても過言ではないでしょう。

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