見出し画像

選考途中の辞退率を下げる、3つの方法

コロナ禍によって、転職市場は一気に買い手市場になりました。しかしながら、選考途中で辞退されているケースは相変わらず多いままです。

エン・ジャパンの「人事のミカタ」では、選考途中の辞退理由を調査しており、そのデータをもとに話を進めていきたいと思います。

画像1

「人事のミカタ」によると、選考辞退は面接前、面接当日、面接後、内定後のタイミングに関わらず、一定の割合で起きているようです。ただし、その理由はフェーズによって、かなり違っています。

■面接前の辞退理由

この後、でてくるグラフはすべて「人事のミカタ」のデータからの作成で、%表示であるものの複数回答のため、すべてを足すと100%を超えてしまいます。あらかじめご了承ください。

面接前

上記のアンケート結果を見ると、圧倒的に「希望と異なる内容・スカウト」による辞退が多く、実は「良くない噂」での辞退は多くありません

「条件(給与・勤務地など)と異なる」とは異なるので、いわゆる偽装求人ではなく、希望と実態のズレからの辞退でしょう。求人内容が曖昧だったために起こったズレの可能性が高いです。

例えば、求職者はRubyをやりたいと思って応募したが、企業側にはWebアプリは多いもののRuby案件が少なかったなど。IT求人で「<案件例>Webアプリ…」と書くことは多いですが、開発言語まで書いていることは多くありません。IT専門転職サイトであれば必須ですが、総合転職サイトでは必須ではないため、このようなことが起こるのでしょう。

■面接後の辞退理由

面接後

面接後の辞退理由から「良くない噂」は消えています。一方で「会社や面接官の対応」が急増します。これは面接する前までは、他人の評価・噂を気にするものの、実際に面接すると、面接官や対応した社員の態度が、そのまま会社の評価につながるからです。

つまり、ネットに広がっている噂の対応をするより、候補者への対応を良くするほうが辞退対策になると言えます。

■内定後の辞退理由

内定後

内定後は「そのほか」が多く、「社風が自分に合わないと判断した」「入社日の調整がつかなかった」などです。

しかし、その次に「希望と異なる内容・スカウト」が来ています。具体的に、「勤務地・給与などの条件の折り合いがつかなかった」という理由です。条件のすり合わせを後回しにした結果、このような状況が起こっているのでしょう。

■選考途中の辞退率を下げる、3つの方法

では、ここから内定辞退を回避するにはどうしたらよいのでしょうか。

(1)求人内容を明確にする
(2)面接官や応対者の対応の仕方
(3)本人の希望とのすり合わせ

(1)の求人内容を明確にするは、「条件と異なる」「希望と異なる内容・スカウト」に紐づくことです。

意図的であれ、無意識であれ、実態の業務や条件と異なる(あるいは、異なるように見える)求人は、その後の辞退に原因になります。確かに、魅力的な求人でなければ、なかなか応募を集めることは難しく、厳しいことを書くと逃げられてしまいます。

しかし、母集団を形成しても、選考途中で逃げられてしまっては何の意味もありません。求人内容は誠実に書くことが大切です。

(2)の面接官や応対者の対応は、さきほども述べたとおり、面接後から一定の割合を占めています。実際に、入社の決め手で「面接官の人柄が良かった」「会社の雰囲気が良かった」と答える方はかなり多いです。それだけ対応が重要だということでしょう。

(3)の本人の希望とのすり合わせは、むずかしいところですが、本人の希望に合わせようとする姿勢や努力が重要です。というのも、内定後の辞退理由が「勤務地・給与などの条件の折り合いがつかなかった」だからです。調整がつけやすい部分なので、選考の早い段階で折り合いをつけておくことをおすすめします。

■他社内定・選考の対策は?

人によっては、「引き止め工作はどうするのか」と思われる方もいることでしょう。しかし、私は無駄だと思っています。

というのも、他社に決めるということは、候補者の中で優先順位がついている、ということ。その時点で貴社の魅力を感じてもらえていない、候補者の希望とズレがあるのです。

それをひっくり返すのは相当な労力が必要です。よっぽど欲しい人材なら別ですが、引き止め工作をするより、上記の改善をするほうが全体の辞退率を下げることができ、健全と言えます。

どうしても、「ネット上のネガティブな書き込みが」「引き止め工作が」と、目に付きやすい問題をどうにかしようと思いがちです。しかし、実際には丁寧な仕事が選考辞退を防ぎます。

ぜひ、自社の求人や面接を見直していただき、不幸なミスマッチを生み出さないようにしていただきたいと思います。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。