ITエンジニアなら、どんな職種でも生き残れるのか
世の中の流れとして、「ITエンジニアになったら、専門職だし、将来安泰だ」と考えている方が多くいます。一方で、Web記事などで「ITエンジニアも将来、AIに駆逐される」という論説も。実際、どちらが正しいのか。
結論からいえば、ITエンジニアの中にも多くの職種が存在し、生き残れる職種もあれば、駆逐されてしまう職種もある、ということです。
■確かにITエンジニアは不足している
みなさんが知っている「ITエンジニアが不足している」という情報は、このグラフが元になっています。こちらは経済産業省の委託によって、みずほ情報総研が発表した「IT人材受給に関する調査」(2019年3月)から引用しました。
このグラフだけを見ると、「IT人材はどんな予測値でも不足しているじゃないか。そんな職業がなくなるはずない」と感じるでしょう。
■でも、その内訳を見ると…
しかし、同じ調査結果で以下のようなグラフも存在します。
こちらは存在するIT人材の内訳と足りないIT人材の内訳です。このグラフを見ると、従来型IT人材の人数は減少し、需給ギャップにおいても求められていないのが分かります。
一方で、人材数も足りないIT人材も先端IT人材なのが分かるはずです。今後、足りなくなるのはAIやデータ分析、IoTなどデジタル技術と呼ばれる領域を扱うITエンジニアです。
それに対し、今、求められている業務系システム開発・構築に携わる従来型のIT人材のニーズは減少していきます。
そのため、これからITエンジニアになったとしても、従来型IT人材では、今後の市場価値は低減していきます。
■今後、市場価値が下がるIT職種とは
また、現在AIや自動化、ローコード・ノーコード開発が盛り上がりを見せています。このあおりを一番受けるのが、プログラマー(PG)やテスター、運用・保守(アプリ・インフラともに)、インフラ監視と呼ばれる人たちです。一言で言えば、下流工程に携わるエンジニアです。
求められるのは、ゼロからイチを生み出すIT企画やITコンサルタント、それを設計図にするシステムエンジニア(SE)、プロジェクトをまとめるプロジェクトマネージャー(PM)などです。
「いやいや。プログラマーもゼロからイチを生み出しているじゃないか。スーパープログラマーを見ろ」とエンジニアからツッコミを受けそうですが、それについても解説します。
確かに、アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックのような方は別かもしれません。ただし、今現在、開発におけるプログラマーのプレゼンス(存在感)は高くありません。
2000年以前であれば、そもそもSEとPG両方の役割を担っており、開発自体も今のような大型のものは少ないため、開発=コードを書くことでした。しかし、Webが一般化し、システムも大型化し始める2000年以降は、分業化が進み、きちんとした設計図(仕様書)が存在すれば、PGのスキルの高さはあまり意味がありません。
「いやいや。スタートアップで企画をアプリとして形にするのに、プログラマーの高いスキルが必要だ」という反論も聞こえてきそうです。
もちろん、そのようなケースは否定しません。しかし、その場合も最近ではノーコード・ローコード開発が登場し、一部に限定されるでしょう。まずはローコード・ノーコード開発で簡単なアプリを作り、徐々に大きくしていくケースがメジャーになるはずです。
建築に例えると、SEが建築士、PMは現場監督(施工管理)、PGは大工(現場作業員)です。大工でも宮大工であれば、高い技術でニーズも存在し続けますが、活躍の幅は広くありません。
■ITエンジニアのすべてに、市場価値があるわけではない
このnoteを始め、何回も発言していますが、「ITエンジニアになったから、安泰」などありえません。ITエンジニアに限らず、すべての職業に言えることです。世の中でも求められているニーズが変われば、求められるスキルも変わります。
にもかかわらず、世の中の流言飛語に惑わされ、「ITエンジニアになれば、オールハッピー」と気軽に転職するのは、ご自身の幸せを投げ捨てるのと同じ行為です。
ITエンジニアになって幸せになる方は存在します。その方は、この記事を読んでいていただき、その中でも自分が生き残れる職種を選択してください。ITに興味はないけど、ITエンジニアは食いっぱぐれないと聞いて…という方は、ITエンジニアに転職することをおススメしません。
もっと自分が幸せになるにはどうしたらいいのか。その視点で転職活動してください。せっかく転職するなら、幸せになりましょう。
よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。