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ほぼ週報 #企業分析のタネ vol.6(23/02/26~23/03/04)

1. 気になる決算一問一答

ちょっとした疑問をサクッと調べる一問一答的なリサーチ。
納得したら終了です。ガッツリ深掘りしたくなったら別枠で記事化します

■オープンワーク(5139)

日本最大級の社員クチコミサイト「Openwork」運営。増収増益

オープンワーク 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕

(仮説)
・データ自体が価値であり、ビジネスモデルもtoCの直接課金やtoBのスカウトDBの提供なので売上原価や研究開発費は少なさそう
・転職中/就活中しかデータの利用価値がないのでtoC課金のLTVはあまり高くないし伸ばしにくそう。toBのダイレクトリクルーティングがメインかな
・ビズリーチ、エン転職、i-plugと比べて広告は少ない印象なので広告宣伝費率は比較的低く、営業利益率が高そう
・成功報酬型のビジネスなので、もともと季節性のあるHRビジネスの中でもいっそう売上が左右されそう。自己資本比率は高め(70%以上)と予想

(検証)
・「営業収益」「営業費用」という形で開示するパターンだったので売上原価率などはないですが、やはり費用の大半は販管費ですね。
・販管費のうち人件費が60%、広告宣伝費が20%を占めています

・エン、Visional、i-plugと比べて低いと予想した広告宣伝費率も以下の通りであり、オープンワークがかなり低い事がわかりました。書籍の出版や各種メディアとPR記事をよくやっている印象があるので、広告宣伝費を抑えて露出量を増やせているのかもしれませんね

成功報酬型ながら季節性があるので資本比率は高めにしているのではと予想しましたが、上場前から一貫して90%超えでした。想像以上に高い!

広告宣伝費に費用をかけずに利益確保しているのはいいのですが、セールスなども採用で特に注力して増やしている様子はなく、どうやって顧客企業を獲得していく計画なのかが少し気になります。

エージェントや顧客企業を絞り込み、求人数を拡大していくようです。社員クチコミ評価が可視化されている中でスカウトを打つ必要があるので顧客にできる企業も短期的には限られるのかもしれませんね。

長期的に採用に入り込んでスコアの改善から共に取り組むみたいなアクションもできそうですが、現状は特にそういう計画はなさそう。


■KIYOラーニング(7353)

オンライン資格対策講座「STUDYing」を提供。増収減益。

KIYOラーニング 2022年12月期 決算短信〔日本基準〕

(仮説)
・売上高は二桁成長してるが利益が減少。広告費に集中投下していると予想
・資格学校のTACに比較すると売上原価も価格も低い。ただしKIYOラーニングはソフトウェアなので会員が増えるほど売上総利益率は上がりそう(近年プロモーションで会員を増やしてるとすると、売上総利益率は高まっているのではないか)

(検証)
・売上高28億4850万円に対して広告宣伝費18億5400万円と、広告宣伝費率が65%にまで達しており、広告宣伝への投資が大きいという仮説通りでした
・テレビCMに投資しており、実際に新規有料会員数はYoY+36.4%の66,428人と大きく伸びてます。

・そして会員数の増加に伴って年々高くなっていると予想した売上総利益率ですが、こちらも予想通り、年々向上していました。資格学校のTACの売上総利益率は39.1%だったためビジネスモデルの差が歴然ですねー。

KIYOラーニングの売上総利益率の推移

・あと気になった点として、資格講座の受講期間分の料金をまとめて払う仕組みのため、前受金が大きく、営業損益がありつつもキャッシュリッチなのはいいですね。具体的には、税引前当期損益が1億8千万円なのに対して前受金が4億3千万円と2倍以上あります。

今週は2社だけで、、、!


2. 今週読んだ本

『考える練習帳』

決算を読む際に「まず仮説を立ててから読む」という話もそうですが、アイデア立案や企画にあたり、最近"思考"に関するインプットをよくしてます。

もともとネット民で検索が好きな知識偏重型の人間なので、「考える」ことには苦手意識があるのですが、そのハードルの正体を分解してどういうふうに"考えていけば"いいのか噛み砕いて示唆をもらえる良い本でした


3. おもしろかった記事のサマリー

memo
・AI活用で研究の効率化を進めている
・製薬業界での創薬実験の計算や有望な候補となる化合物の絞り込みなどの効率化が進む
・他業界でもサッポロHDの缶チューハイ開発、ライオンの歯磨き粉開発などの事例あり
・導入企業の多くは一部業務での活用にとどまり、全社的に導入している日本企業は13%と、米企業の26%に見劣りする

解釈
・開発や検証の自動化が進む事で、研究者の価値はいっそうアイデア創出や研究開発戦略の立案に偏っていく。問いを立てる力を重視する教育や採用が増えていくだろうなと感じました。


memo
・収益性だけでなく効率性(販売や研究の効率)も重視して経営する企業でないといずれジリ貧になる
・効率性重視の投資は成長率が鈍化するが、それを加味せず効率性を無視するとCACの効率性が悪化する悪循環に陥る
・販売管理費の効率性を高めるためには費用削減ではなくプロダクトや顧客の絞り込みが必要。効率性が必ずしも高くない顧客への販売を行わないような顧客ターゲティングが重要になる

解釈
・経営者以外がこの考えを身につけて生かすにはどうすべきか難しい。
・顧客のセグメントの解像度や獲得戦略まで理解・共感して投資できるか?CACで成長投資の妥当性をチェックできるかが観点になるのかな


最後に

今週もみていただきありがとうございました!
また来週!Twitterではもっとラフにニュースをピックしてます〜


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