ウチアゲニンジャ
皆さんも、なにかしらのイベントが終わる度に打ち上げをしてきたのではないだろうか。
打ち上げとは今日1日無事に終わった事に感謝を述べながら、互いに労をねぎらうイベントであり、仲間たちとの絆を強める場所だ。
我々バンドマンにとっても、関係者と繋がりを持てる打ち上げは非常に重要である。
しかし、バンドマンの打ち上げは出演バンドの精算が終わってから行われため、どうしても始まりの時間が遅く、朝方まで行われるのが通常の流れだ。
そのため、非常に眠くなる。
我々のバンドでも生活リズムが朝方のせいで打ち上げ途中に寝てしまうメンバーもいた。
あまりにも頻度が多く、場の空気が悪くなってしまうとの事でうちのリーダーが打ち上げ鉄の掟の制定することになった。
それがこれである。
打ち上げ鉄の掟
打ち上げ中に寝るべからず、寝るなら人知れず静かに朽ちよ!!
以上!
至ってシンプルである。シンプルだがこれが頭で分かっていても非常に難しい。
基本的に寝不足の生活を送り、ライブで全体力を振り絞り、その上お酒が入るのだ。
こんな状況で寝ずにいられるだろうか。。。
否!!
どうしても耐えられないこともあろう!!
しかも、睡魔は急に訪れるもので、回避したくてもしようがないことが多い。
だが、掟を破るとリーダーにめちゃくちゃ怒られるのだ。笑
そんなある日の事だ。
いつも通りライブを終え、打ち上げが始まる。
今回はハコ打ちだ。
聞きなれない言葉かもしれないが、
ハコ(箱)=ライブハウスのこと、
打ち=打ち上げ、
要するにライブハウスの打ち上げのことだ。
みなワイワイと楽しみながらハコ打ちが進む。
すると、不意に眠気が来る...
特に今日は強めのやつだ。
かなり眠たい。。。
でも、打ち上げで寝るわけにはいかない!!
眠気を吹き飛ばすために、
テンションを上げ、攻めの打ち上げに出た!!
だが、空回る!!!!笑
ダメだ!!
私の気力ゲージがタダ滑りの影響もあってみるみる減っていく。
今日はメンタルのダメージがすごいぞ!!
そしてついに、
ここ...までか...
瞳を閉じて...世界の中心で眠気を叫ぶ。
(ここでもタダ滑りすいません)
そこで、はっと鉄の掟を思い出す。
あかん!!ここで寝たら男が廃る!!
最後の力をふりしぼり自分の死に場所を探す。
すると、
起死回生の一手!!
逆転満塁ホームラン!!
なんと絶好のポジションがあるではないか!!
そこは、ライブハウスの人達が倉庫にしてるところで、カーテンのようなもので入口が塞がれている絶好の隠れ場所だ。
ここしかない!!
急いでカーテンの中に入り座り込み、そして、眠る。
どれだけ時間がたっただろうか、
そろそろ打ち上げにもどろうとするも何かがおかしい、カーテンを出ると辺りが真っ暗だ。
あれ、みんなは!?
完全に店内は閉店状態で人っ子一人いやしない。
そっと時間を見てみると、そろそろで始発が始まる時間だ。
しまったーっ!!
すぐにスタッフさんに連絡し、入口を開けてもらい事なきを得た。
本当にスタッフさんには申し訳ない気持ちでいっぱいになり、感謝と謝罪の言葉を述べまくったのであった。。。
そして時は遡ること数時間前...
終電の時間もありハコ打ちはお開きになり、残る人だけお店で飲み直すことになったそうだ。
その時に、私が居ないことに気づく。
みんなでライブハウス中を探しに探したのだが見つからず、私が酔ったままわけもわからず外に出たのだろうと言うことで話が終わったようだ。
(それはそれで、とんだ奇行種扱いをされているが、日頃の行いのせいで何も言えないのは私も理解している。笑)
そして、あいつは大丈夫だろうと楽しんでいたそうだ。
結局この話を教えてくれたリーダーにはしっかりと怒られることとなり猛省することとなった。
誰にも悟られず輪から抜ける影の薄さ。
的確に死角に隠れる嗅覚の良さ。
誰にも気付かれない程の消音性。
ウチアゲニンジャ誕生の瞬間である。
おわり
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