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無条件で出版できるほど甘い世界じゃないのだよ。

当たり前に出版できると思うなよ!!
ってお話し。

だいぶ前にある場所に投稿して、
予想外の反響をいただいた記事でした。

* * * * *

こんなこと書くのもどうかと考えたけど、
なんのリスクも背負わず本を出せるなんて
勘違いするんじゃないよーって、

思うことが多々あったのね。

これはベストセラー作家も例外じゃない。
自分だけの力で売れてんじゃねーのだよ。

さっき、
会社をみんなで盛り上げようって話を
遅くまでいたメンバーと話していた。


でね、


本って、
どんだけ利益出しずらい商売かについて
編集部や他部署のメンバーもいたから、
具体的に話しながら、
ちょっと勉強会みたいになった。


例えば、


1500円で売る本を作ったとして、
出版社に入る粗利は
だいたい900円〜1000円。
売れたらの話しね。

わかりやすく
1冊売れたら1000円にしたとする。
その差額にあたる500円を
書店と出版取次で分けるわけ。

初版部数が4000部だとして、
これ全部売れたらいくらになります??


400万円! 
正解!w


完売なんてありえんから極端な例だけど。

本をつくる原価は一概にこれとは言えないけど、
まあ、250万とか300万したりとかするわけ。
安く抑えようとすればそれ以下にもできるけど。

用紙の種類やページ数、カバーデザインなど、
色々な違いによって価格は変わります。


それに本はすぐできるもんじゃないよね。


何ヶ月も前から編集が時間を割いて、
編集だけじゃないけど、
ライターも入れば、校正する人もいる。
デザイナーとかさ。

その人件費入れちゃったらさ、

初版部数が完売しても
製作原価はペイできるけど、
経営視点から見たら、
人件費だ、販促費だ、
あーだこーだが発生するんだから、

ぶっちゃけ1回、2回の増刷で
売上は経つかもしれんけど、
3回は増刷しないと面白くありません。


そもそも
キャッシュが持ちませんww (^^;;


弊社は、業界が驚く増刷率できたけど、
書店以外にオンラインと絡めて、
1万部突破する本も
たくさん作ってきましたけど、
それも大変なんですよね。

ちゃんと本を起点に、
どうすれば利益が出せるのかっていう
ミドルやバックエンド商品につなげた
導線の引き方、新しい商品アイデア、
コピー、売るタイミングなど、
積み上げてきたマネタイズの仕組みが
あるからなわけで。


普通の出版社はたぶん、
かなり厳しい戦いを常に強いられてる。
本の売上だけで経営するなんて大変だから。


どんな本を出しても
1万部売れてくれたら違うでしょうけど。


最初に書いた、
出版社に入ってくる粗利もね、
新刊委託の場合は、
返品額と相殺されてから、
半年後の入金を強いられる出版社が
ほとんどなんだし。


ありえんよね、このビジネスモデル(苦笑)


だから、何が言いたいのか??


そう。

なんのリスクもなしに出版できるなんて
ほんとならあり得ないって話しです。

この大変さを意外に知らない
編集もいるわけで。著者もですけど。

10万部突破したとか、
50万部突破したとか、
凄いけれど、
毎回そんなヒット作出せたら苦労しない。

だからと言って本は利益出しずらいから
ダメだ!と言いたいわけではなくて、
それくらいのリスクを背負って、
出版の仕事がやっぱり好きで、
本という価値を大事に考えていて、
一生懸命つくっているのですよ。

そんな現実の中で、
互いに出版の醍醐味や、大変さ、
著者には人生かけてる人だっているし、
きちんと向き合って、
売上とは別な出版の在り方を大事にして、
働いています。

出版への熱い想いのある方の目的に沿う形で、
プロデュース費用をきちんといただいて、
出版実現される方もいますよ。
みんながみんなじゃないけど。
それも原価に近いあり得ない金額ですけど。

慈善事業じゃないですから。
新人作家を世に出すのは。
リスクを共に背負いながら、
売るための努力を双方でしていく。

いい本とか、売れる本とか、
曖昧な表現になってしまうけど、
どこの会社だって理想と現実のはざまで
もがきながら必死に売上をつくってますよね。

出版に生きるプロとしての在り方を
大事に堅持しながらも、
経営者はどんな想いで切り盛りしてるのか?
皆が一人立つ強さと責任、
同じ想いにならないと、
これ以上の発展はないですから。


冷静に考えたら、
毎年黒字にしてきたというのは凄いです。


これからも色々あるでしょうし、
大変なこともたくさん
生まれてくるでしょうけど、
信頼関係で今日まで来たんですから。

そんな深い話しもまじえながら、
久々にメンバーと話し合えた貴重な時間でした。

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