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おすすめ科学漫画:Dr. STONE

科学をエンタメにするのは非常に難しく、多くのサイエンスコミュニケーターが挑戦していますが、いまだに広い大衆を獲得するレベルの人は日本ではいないでしょう。

そんな日本のお家芸である漫画界では、最難関ともいえる科学をエンタメにした例があります。それが今回紹介するDr. STONEという漫画です。

比較的有名な漫画ですが、世の中的に鬼滅の刃やSPY×FAMILYほどのブームにはなっておらず、マンガ好きなら読んだことがあるぐらいかもしれません。すでに完結していますが、私自身最近まで読んだことがありませんでした。

ストーリーとしても単純に面白いだけでなく、科学を学べる素晴らしい教材だと思います。ということで、知らない人向けにDr. STONEを紹介したいと思います。

Dr. STONEとは

ある日突然謎の光により人類が全員石化して、3000年後に主人公が長い石化から復活します。当然そこには人類の文明は残っておらず、ゼロから文明を作り上げていくお話です。

主人公はアインシュタインもびっくりの天才高校生で幅広い科学の知識をもとにさまざまな人類の英知を最発明していきます。

主人公は石化された人類を復活させるための復活液と呼ばれるものを作り出し、仲間を集め科学の発展を進めながら、対立する勢力と戦争をしたりと科学とアクションがちょうどよく混ざった作品です。

科学の発展

何といっても原始時代のような環境から科学を発展させていなくてはならないのが熱いです。主人公は天才なので科学の原理や作り方を熟知していますが、それでも環境が整っていません。

ざっと、序盤で紹介される発明はこんな感じです。

  • 電気

  • 水力発電

  • 抗生物質(薬)

  • ケータイ

ケータイなんて無理でしょ…と思いますが、何とかケータイもどきを実現します。メインの発明品を全て紹介しようかと思いましたが、あまり書き出すとネタバレにつながってしまうので、ケータイまでにしておきましょう。

この後、作品では現代科学の最高峰の発明まで作り上げるので必見です。そのためにも人類の労働力が必要なので、頑張って石化を解いたり、人が暮らしていけるように大規模農園を作ったりとさまざまな展開を楽しむことができます。

技術は人につく

また作品では、個々人の重要性についても感じられます。

というのも、主人公が超絶天才なため、基本的な問題は解決してくれますが、体力的には平均以下というスペックであり、肉体労働やバトルではたいして使い物にならないという設定になっています。

そのため、体力お化けの幼馴染や猛獣を素手で倒す高校生、航海能力を持った船長、料理が得意な執事など、様々なキャラクターが登場します。

頭のいいインテリだけでは世界は回らず、様々な役割を持った人間が必要である現実社会を表しているとも思える描写が見られるんです。

特に前半から登場するカセキという名のおじいちゃんキャラが個人的には印象に残りました。特段戦ったりしないんですが、彼は実験に必要な全てのガラス器具などを手先の器用さと熟練された技術で作り上げます。

ストーリーの展開として実験道具などの作製はあっという間に終わるんですが、本当はこのとっても地味な環境整備というのがとっても大事だと思うんですよね。

まったく派手ではないし歴史の中に埋もれてしまいそうなところですが、こういった器具を作る人達がいなければ今の科学は存在しないと思うととても重要なキャラクターとして映りました。

そして、これらの“人”の重要性というのは、ストーリーの中でも効果的に語られます。というのも、様々な環境の中で全員を助けたいが、その順番を考える必要があるときが多々あるのです。

そのたびに、現在の状況を打開できるメンバーを優先的に助けるという行動がとられます。目前の課題に対して技術力が必要なのか体力が必要なのか?これを考えながらメンバーを救出して物語は進みます。

基本的に役被りのキャラがほぼいないため、誰を最初に助けるかがとても大切な要素になってくるんですね。

漫画で科学倫理を考える

この作品では科学技術に関する倫理的な観点からも触れられているのが興味深いところです。

復活させる人間を年齢や能力で取捨選択すべきだという優生思想や、科学を武器にするか道具にするかは人間次第であるという点、不老不死が実現したらどうなるのかといった議論がなされます。

いずれも、決着のつかない難しい話題ではありますが、このようなことを漫画で学べるというのは非常にありがたいですよね。

専門家の動画や書籍ではわからないこともストーリーの中でキャラクターたちが繰り広げてくれれば小学生でも考えるきっかけになります。

最後に

Dr. STONEのアニメは現在も継続中で第3期が2023年4月から放送されているそうです。漫画はちょっと…という方は是非アニメでも見てみてください。きっと科学の面白さを感じることができるはずです。


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