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田舎の工場がデジタル化する話

最近AI、IoT、DXといろいろな言葉が出回っていますが、 それらは本当に進んでいるんでしょうか。

企業においてデジタル化は喫緊の課題となっており、多くの経営者たちはデジタル技術を利用した業務の効率化を掲げます。

それは必要不可欠なことですが、実際の現場はどうでしょうか。今回はそんな現場に取り組んでいる自身の経験から田舎の工場におけるデジタル化を進める話を書いてみたいと思います。

田舎の工場はデジタル化が進んでいない

これは私の働いている会社に限った話かもしれませんが、田舎の工場ではDXどころかIT化すら進んでいません。

かろうじて1人に1つノートパソコンが配られていますが、Officeのアプリを使うのが精いっぱい。wordで表を作り、Excelではセルを結合する、ファイルやフォルダの名前は滅茶苦茶、そんな衝撃的な運用が是とされているのが現状です。

データを管理するデータマネジメントをしっかりやろう言うのは簡単ですが、その運用方法が整備されていなければ、社内の何百万というファイルがあちこちに散在してしまいます。もちろんデータが行方不明になるなんて日常茶飯事ですし、そもそも紙書類しかないためデータとして使えないことも多々あります。

さらに情報系の技術を知っており、例えばプログラミングができる人間なんて言うのは工場ではなくて、本社のIT部門に配属されるため、田舎の工場にはそういった知識やスキルを持っている人間はほぼいません。これは会社人事の課題でしょうか?

その結果、田舎の工場だけが完全に社会から取り残されてしまいます。工場の経営陣はDXだAIだといいますが、そんなレベルはずっと先の話です。まずはIT化、もしくは紙書類の脱却から進めなければなりません。

それじゃあIT化を進めるためにシステムを入れよう!となるかもしれませんが、そうするといろんな壁にぶつかります。なんでもいいからとりあえずシステムを入れるのが最初の一手ではないんですよね。

仕組みが大事

デジタル化を進めるためには、システムの全体構想が重要です。このようなデジタル化を進める上で初めに考えるべきことを全体システム化計画というそうです。残念ながら、工場の人たちは具体的な手順については無知なので、右も左もわからないというのが実情でしょう。

ただ、何となくシステムを入れても機能しないんじゃないか?と疑念を抱いている人は一定数います。なぜなら。これまで何度かシステムを導入したのにいまだに状況はよくなっていないからです。

すると、まずはシステムを入れる前に仕組み(社内ルール)を変えていなければなりません。データ運用を一つとってもセルが結合したExcelファイルは一刻も早く撲滅しなければなりません。そもそも、どんな情報を管理すべきかという根本を改善しなければ、データベースは不要な情報で溢れかえります。

私個人としては、どのようにデータを運用すれば最適化ができるかという点について考えていました。

私ははじめ上司に連れられて、小さな非公式チームとして活動をしていました。非常に小さなチームなので、とりあえず目前の最適化を図るため、どのようにデータを運用すれば良いかという点に絞って考えていました。まずは自分のチーム内で、うまくいければ自部署内でこの活動が盛り上がればいいなというぐらいの気持ちでした。

しかし、状況は一転します。

この非公式活動を実施しているとさまざまな関係者と話をする機会があり、気づけば工場全体の課題を解決するという大きな話になっていました。課題のスコープが広がれば自ずと全体最適の話になってしまいます。1つの部署だけがハッピーになっても意味はありません。

各部署間に大きな溝ができて隔絶されてしまえば、工場全体としての最適化にはつながりませんからね。
そこで課題となったのが仕組みを超えて組織の問題です。

組織の問題だが、まずは課題を明確に!

データ活用、データ運用の仕組みというのはいわば、社内のルール作りです。一方、ルールに従ってデータを扱うのは人間です。データ連携をする上で考えなければならないこととして浮上してきたのが、そのデータは誰が扱うのか?どのような業務フローで各部署が連携していくのか?という謎です。

そんなもの初めから決まっていてもよさそうなものですが、私の働いている工場では曖昧な状況でした。組織における業務体制が上手くいっていないんです。多くの社員の鬱憤の原因はこういうところもあったわけです。

業務フローを考える前に組織を立て直す必要があるということがわかってきました。

とはいえ、組織や人事というのは経営の中でもかなり骨が折れる仕事です。従業員の仕事内容が変わるわけですからね。多くの人のキャリアや人生に影響を与えてしまいます。

そのため、深い考えなしに組織改編というのはできません。組織改編のためには、まず情報を収集し、業務フローの中でいったい何が課題なのかをあぶりだしていかなければならないわけです。もしかしたら、組織改編なんて骨の折れることはしなくてもいいかもしれませんからね。

そんなこんなで、私が所属するDX部隊では製品が生まれてから製造されて世に出るまでのライフサイクルを部署をまたいでさまざまなメンバーで議論しています。

その中で今まで見えてこなかった事業所の中で重要なキーマンが少しずつ浮き彫りになってくるのです。今後は、この状況を改善すべく策を考えていかなければなりませんが、デジタル化のためにはここまで業務理解と組織理解をしなければならないのか! と痛感しました。

この業務はまだまだ続いていきまし、今後も数々の課題を対処していかなければならないと思います。ただ今の仕事が将来の誰かのためになると信じて頑張っていきたいものですね。

最後に

今回は田舎の工場がデジタル化する話を書いてみました。私自身はデジタル化に、それほど強いこだわりを持っていたり面白みを感じているわけではありません。あくまで今の時代に当たり前の技術を当たり前に使いたいと思っているだけです。

おそらく、デジタル化の活動は1年や2年では終わらないでしょう。下手すれば5年くらいかけて徐々に改善していくんだろうなと思います。

正直、会社の人事制度上それまで自分が関わっているかもわかりませんが、所属する限りは全力で取り組んでみたいなと思います。

また何か面白い気づきや進展があれば記事にしてみたいと思います。(会社の機密事項は何も書いていないので多分大丈夫だと思いますが…)

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