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【奥が深い通信ケーブルの話】実はみんな使ってるツイストペアケーブルとは

情報化社会において私たちの生活は整えられた通信網に支えられているといっても過言ではありません。

以前、有線LANの規格であるイーサネットについて紹介しましたが、有線ということはもちろんケーブルがあるわけです。

そして私たちが普段当たり前のように使っているケーブルにも当然種類や使い道などが決められているんです。でも、普段ルーターなどの通信機器に使っているケーブルについて考えたりしないですよね。

そんな私たちの身の回りにあるのに気に掛けることもない通信ケーブルについて今回は紹介したいと思います。

通信ケーブルの種類

通信ケーブルにはさまざまな分類方法がありますが、大分類としてわかりやすいのはその素材による違いでしょうか。

素材の観点出てみてみると通信ケーブルには銅線と、ガラスでできた光ファイバーに分けられます。これらの名前は来たことがある方も多いのではないでしょうか。

簡単な比較として、伝達速度、信号の減衰、伝達距離、ノイズの影響といった点では光ファイバー方が使いやすいことが知られています。一方で、取り回しやコストといった点では銅線(後述するツイストペアケーブル)の方が良いとされています。

さらにそれぞれのケーブルを分類してみると、銅線の中にはツイストペアケーブルと同軸ケーブルが、光ファイバーケーブルにはシングルモード光ファイバーとマルチモード光ファイバがあります。

少しわかりにくくなってきましたね。もう少しシンプルに生きましょう。

ということで、今回はあまり聞きなれないツイストペアケーブルについて見ていきます。

ツイストペアケーブル

ツイストペアケーブルとはその名の通り、2本のペアとなるケーブルがツイストして(撚り合わせて)できており、そのペアを4本束ねて1本のケーブルとしています。

さらにツイストペアケーブルはその特徴からいくつかの観点で分類することができます。

シールドの有無

まずは電磁ノイズを防ぐシールドの存在です。シールドがないものをUTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルといいシールドがあるものをSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブルと呼びます。

シールドのないUTPケーブルは一般的で私たちが普段見かけるLANケーブルのことです。価格も安く取り回しも楽なためよく使われています。電磁ノイズの影響がなかったり、それほど通信精度を求めていなければ、UTPケーブルで十分のようです。

一方、工場などの電磁波が飛び交い、高い通信精度が求められるような現場ではシールド処理したSTPケーブルが使われます。STPケーブルは通常のUTPケーブルと違い、アルミ箔や金属の編組などでシールドされており、電磁ノイズの影響を受けにくくなります。

値段が上がり取り回しもしにくいというデメリットもありますが、過酷な環境で耐えられるというメリットもあります。

コネクタのピンアサイン

ツイストペアテーブルは8本の銅線が2本ずつペアになって構成されています。これら8本の銅線には色がついており、お互い識別できるようになっているのです。この銅線の並び順によってストレートケーブルとクロスケーブルに分類することができます。

お家に使っていないLANケーブルがあれば是非見てもらいたいですが、よく見ると8本のピンにパーツに線が伸びている様子がわかります。さらにその色を見ると白を除いて4色ありますよね。

それでは、どうしてストレートケーブルとクロスケーブルという2つの異なる種類のケーブルがあるのでしょうか。

実は、これ何と何を接続するのか?に関係しています。もう少し具体的に言うとPCとルーターといった異なる機器を接続する場合はストレートケーブルを使い、PC同士など同じ機器を接続する場合はクロスケーブルを使用します。

なぜ、そんなことをするのでしょう?

8本のピンにはそれぞれ送信と受信の目的が割り振られています。要は機器は8本のピンの内2本は送信用、2本は受信用、残りの4本は使わないといった感じです。つまり機器Aの送信ピンから流れた情報は相方である機器Bの受信ピンに到達しなければなりません。

ストレートケーブルの例(機器AとBは異なる種類の装置のためピンの並びが異なる)
ストレートケーブルでは左と右のケーブルの位置関係が同じ

同じ機器であれば同様に設定されており、仮にストレートケーブルを使った場合、機器Aの送信ピンから機器Bの送信ピンに情報が向かってしまうことになります。それでは情報伝達ができません。そのため、位置がずれるにように設定されたクロスケーブルを使わなければならないというわけです。

クロスケーブルの例(機器AとBは同じ種類の装置のためピンの並びが同じ)
クロスケーブルでは左と右のケーブルの位置関係が異なる

PCとルーターのように機器の種類が異なれば、送受信のピンの設定が異なるため、ストレートケーブルを使って接続することができます。言われてみれば確か~にと思えますが、こんな仕組み聞いたことなければ知る由もありませんよね。

そして上の図をよく見ると送受信に使われていない線もあることがわかります(例えば茶色の線とか)

そのため最近では、通信速度を上げるため使っていなかった残り4つのピンも使用してさらに高速な通信を実現しています。

カテゴリーによる分類

ツイストペアケーブルにはカテゴリーという概念があります。カテゴリー5eとかカテゴリー6といった具合です。

このカテゴリーは通信速度に直結しており、カテゴリーが大きい方が通信速度が速いプロトコル(決まり事)に対応できます。

現在のネットワーク環境では、カテゴリー5e以上が一般的であり、それ以前のカテゴリー1~5は現在主流のプロトコル(決まり事)できないようです。
そのため、LANケーブルには変わりないからと言って古いケーブルを使おうとするとうまくいかないなんてこともあるそうです。

これまで気にしたこともありませんでしたが、通信の世界は日々進歩しています。私たちの身近にあり過ぎて全然気づきませんでしたが、これからはもう少し興味深く観察した方が面白いかもしれませんね。

最後に

今回は通信ケーブルの話に始まり、その中でもあまり聞きなれないツイストペアケーブルについて紹介しました。

身近に存在するただのケーブルと思っていたものが実はかなり複雑な構造によって構成されているというのは面白いですよね。

次回は通信ケーブルのもう片割れである光ファイバーケーブルについて紹介したいと思います。

参考文献


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