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きっともう埋まることはない

多分心のどこかでこうなることは分かってた
温かいご飯を囲んでそこには笑顔がある
そんな日が来ることをもちろん望んでいたけど叶うはずがないというのはきっと分かってた。

いつからこうなったのかなんて分かるわけもない、それくらい昔の話。友達の家族を羨ましく思う、それが幼い頃からの日常だった。その度に自分の家族の仲が悲しかった。今更昔のことを思い出しても仕方がないんだけどね。

今じゃもうすっかりバラバラ。まさか20歳を過ぎて離婚されるなんて思わなかった。どうせなら小さい頃に離れていてほしかったってどれほど思ったか。早くから実家をでていたのにそう思った自分にもびっくりした。

ただただ嫌いだった。理由がないと嫌いになんてならない。自分の親を嫌いになるのはつらい。でもやっぱり嫌い。困ったときだけ優しくしてくる、年の離れた妹弟もいるから放置することはできなかった。用が済めば今まで通り突き放す。私は便利屋なのか。距離が離れても何度か話せるようにはなりたいと願って色々と試した。けどやっぱり用済みなので突き放す。その度にあぁ、結局ねってなるんだけどね。

それが繰り返されると紙1枚の戸籍上だけでも自分の名前が載っていることが心底嫌になった。実家をでても住所がバレる、それが死にたくなるくらい嫌になった。だから戸籍から抜けた。手続きが終わって抜けたあとの戸籍の紙を見た。「分籍」の文字と私1人だけの名前が書いてあった。とうとうひとりぼっちになっちゃったなって、少しだけ寂しかった。

自ら望んでしたはずなのに寂しいなんて矛盾してるよね。これでよかったんだって言い聞かせるしかなかった。

正直親に愛されるというのがどういうものか私には分からない。"愛"がなにかなのかさえ未だに分からない。そんな私にも目標というか夢があって、自分だけの家族がほしいという気持ちがあった。誰にも話したことがない自分の心の中だけに置いておいた気持ち。家族仲もよくない、家庭環境もよくない、4年付き合って同棲までしていた年上の恋人には散々な目に遭わされ明るい未来なんて見えるわけがなかった。

全てがどん底、闇の中、明るさなんてない。どうせこんなもんて開き直ってたくらい。それなのに新しい出会いがあって驚いた。20歳を超えると出会いも減るから新しい出会いなんてなかなかない。予想もしてないことが人生には起こるんだとしみじみ感じた。その出会いで私は変わったと思う。

精神疾患持ちで自力で寝ることさえ困難だった私は薬に頼る毎日で疲れきっていた。誰と一緒にいてもやっぱり自力で寝ることはできなかったのにその人の側では気持ちいいくらいの寝落ちをしていた。この感覚が久しぶりすぎて嬉しかった。その人は後に旦那さんになる。そして私は今妊娠中。1年前はこうなるなんて全く思ってもなかった。家族ができて子どもが産まれようとしている。急展開すぎる、。

嬉しいことだけど心配なことがある。家族からの愛が分からない私は自分の子供に愛を与えることができるのだろうか。小さい頃からのトラウマや環境からくる精神面の弱さやストレスに過敏な私は子育てをしていけるのだろうか。ひとりじゃないことは分かってる、だけどどうしても心配で不安。自分と血が繋がっている人とほぼ縁切り状態の私は助けを求めることができるのだろうか。私も強くならなければならない。

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