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Work|推しメンから推しタウン。”故郷”を複数もつ時代へ

10月末と11月初めに鹿児島県の大崎町に取材に行ってきました。その記事が、フードメディアの「ONE  STORY」で公開されています。12月10日現在で公開されているのは2つの記事。この後、12月15日に最後の記事が公開される予定です。

ONE  STORYというメディアは、日本の地方都市で、数日限りのポップアップレストランを世界のトップシェフを招いて行う「DINING OUT」という素晴らしいイベントをやっているメディアともあって、ちょっと気合が入り過ぎて久しぶりに力んだ文章になっています(笑)。

OVERVIEW
若き料理人、大野尚斗シェフが見た“食材未開の地”鹿児島県大崎町。秘められたローカルガストロノミーの可能性とは?

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STORY❶
変わりゆく自然環境とともに生きる人たちに、シェフは料理でエールを送る。

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STORY❷
DNAまで大崎町産。種牛から肥育までを一貫して行う大崎牛の壮大な取り組み。

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推しタウンに課金する「ふるさと納税」

記事を読んでいただくとわかるのですが、文の最後に大崎町の「ふるさと納税」への誘導が入っているます。

僕自身、ふるさと納税についてはずっとピンときてなくて、よくわからぬまま大崎町に入ったのですが、クラウドファンディングや応援消費のような、物質消費ではないコト消費の一つのモデルなんでしょうね。印象が変わりました。

大崎町は、毎年全国トップレベルのふるさと納税額を誇る地方自治体です。2019年の実績で納税額は28億4110万4130円。公開されている大崎町の2020年の一般会計予算が83億2498万7000円ということですので、一般会計予算に対する34%分をふるさと納税での寄付を受けていることになります。

ふるさと納税が一般会計予算にそのまままわされているかどうかは、僕の知識では調べがつかなかったので、仮に、ふるさと納税の寄付額を予算にまわしたとしたら、ふるさと納税の割合はおよそ51%になります【(全予算ー寄付)/全予算で計算】。会社員でいえば、給料以外に本業に加え50%の副収入があるとした選択肢は増えますよね。月30万円でも副業足すと45万円です。

この増えた月収分を、自分のために使うのか、投資に使うのかは人さまざまだと思うのですが、大崎町では寄付分を「ふるさと納税×SDGsの実現へ」というテーマのもと地域の復興・持続性のために使っています。

1.菜の花エコプロジェクト等の環境施策に関する事業
2.白砂青松等の地域特性を生かした観光・スポーツ施策に関する事業
3・未来を担う子どもを育む施策に関する事業
4.にぎわいと活力あるまちづくり施策に関する事業
5.その他目的達成のために町長が必要と認める事業
大崎町HPより

大崎町に5日間と短いですが滞在した中で感じたのは、町外の人に対してのやさしさでした。他の地域との繋がりに対して警戒心がそれほど強くないように感じました。

資源サイクル率が2019年時点で12年連続日本一だったり、ふるさと納税の寄付額も全国ベスト10入りの常連だったりといった外からの評価が、住む人にとっての自信だったり、安心だったりというものがあるのかなぁと思います。あとはやっぱり選択肢を多く持てることは幸せなことなのだなぁと。

そういった、先進的ともいえる地方自治体の未来の描き方を学ばせてもらって大崎町ってすごい町だな、と応援したい気持ちになったのです。

そんなこともあって、僕自身「ふるさと納税」がお得な返礼品目当ての「物質的満足」ではなく、自治体の取り組みに賛同して、その地域を応援したいという「心の満足」に繋がるような内容にしたいなと思い記事をまとめさせてもらいました。

ぜひ多くの方にとって、大崎町が推しメンならぬ推しタウンになれば最高にうれしいです。

好きな場所を探すのが人生の豊かさに

伊勢市も市をどうやってPRしていくかという課題を、コロナ禍で混とんとした情勢のなかから起死回生のクリエイターズ・ワーケーションを生み出して、全国の市町村に先駆けた取り組みをしています。

幸運にも伊勢市クリエイターズ・ワーケーションに参加が叶って伊勢にいってみて、自分たちもおそらく、主催した伊勢市でも思いが及ばなかったことが生まれているはずです。

同じ時期に伊勢に滞在されていた市原えつこさんが、企画立案・運営すべてを担当している立花健太さんに取材されているのですが、それによると予算は2500万円。市原さんも書かれていますが、宿泊にお金をどう落とすかを考えるなかで、ひじょうにコスパのいい取り組みであると思います。

それにクリエイターとして参加した者としても、貴重な体験をさせてもらったことで伊勢市が第二の故郷になって、もう無条件になんでも応援したくなってしまいます。

いかに応援してくれる人を作るか」。個人個人とのつながりがさまざまな動機になっていくなかで、地方自治体のこれからも住民はもちろん、いかに自治体外のファンをいかに作っていけるか。

僕たちも、旅の動機は繋がりがあるかどうかになってくるんじゃないかな。行ったことがないところで初体験を楽しむのではなく、一つの場所に何度も行って、そこで自分の好きな場所を探していく。そんな旅の仕方、生き方が増えていくんじゃないかと思っています。

第ニ、第三の故郷とよべる推しタウンを持つことが豊かな人生の代名詞になるとしたら、僕はその最初の出会いのきっかけを届ける人になりたいです。

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