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Work|茨城県のプロジェクト「Chef to IBARAKI(シェフと茨城)」に参加しています

料理専門誌には、以前所属していた『料理王国』のほか、もっとも歴史がある『専門料理』、そして一番新しく創刊した『料理通信』が3大誌が知られています。そのなかでもずぬけて売れていた『料理通信』が12月発売号をもって、定期刊行を中止するというニュースをTwitterで知りました。

驚いた。というのが正直な感想。それとと同時に、コロナによってその在り方を強制的に変えられてしまうのは、メディアとて例外ではないんだよな、ということを実例をもって実感しました。

そんななか、「note」を使って茨城県の食材に特化したオウンドメディアがスタートします。その名も「シェフと茨城」です。

自治体も積極的に活用し始めたnote

初期投資を抑え、さらにスピード感をもってリリースができて、実験的なこともしやすい、というのがnoteのいいところだと思っています。

実際、このプロジェクトも雑誌と連携した企画展開をしている側面もありながら、新しいメディアであるnoteを活用してみようという実験思考から生まれたもの。

本来、自治体の仕事であれば、実例が少なく効果測定がしにくいものには予算が出しずらいこともあると思うのですが、それよりも「まずやってみよう」というところで乗り出していただけたのは、本当にありがたいところです。

小さなチームではありますが、このなかで僕は、取材、執筆、編集を担当しています。全体のディレクションは、貝印さんの料理家さん向けのサイト「Kai House」の仕事でご一緒して以来、お世話になっている藤田愛さんです。

僕がnoteを中心に発信を続けていたことを見ていてくださって、今回のプロジェクトの予算に「noteでの発信」項目を作って仕事を依頼してくださいました。うれしかったですね。

noteの編集を仕事にしていくのは、まだまだ効果が未知数なこともあって、個人や個店、ある程度自由に裁量できる小さなところと進めていくのが最初のフェーズかなと思ていたなかで、県の公式noteとして始められたことに、じつはちょっと驚いたりもしています。

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思った以上に、noteに魅力を感じている人たちがいるんだな、と。実際、11月に参加した伊勢市クリエイターズ・ワーケーションもnoteのプラットフォームを活用した事業だし、先見性のある企画・ヴィジョンがある人にとっては、親和性の高いプラットフォームなんだと思います。

今後もnoteを使った自治体のアカウントはどんどん増えてくる、というかもうすでに出始めていて、すでに後発の部類に入ってしまうかもしれません。そのなかでも「シェフと茨城」は、シェフに特化することで、noteのなかで特徴を出せればいいなと思っています。

好きな場所を伝える仕事ができる幸せ

千葉県出身で、さらに妻が栃木県出身でもある僕にとっては、茨城県はとっても親しい「お隣さん」という場所です。

お正月やお盆に僕と妻との実家を車で行き来する時には、茨城県を通って、笠間や益子、筑波山なんかに寄り道しながら行ったりしますし、それよりも昔からでも、たとえば江六前の本家がある岩手に帰省するときも、千葉からだと茨城から常磐道を使ったりするので、なじみが深いんです。

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食材の産地としては、料理王国時代に取材で回ったことがあって、そのときに南北に広くて、山と平地、海と湖、沼、川がすべてある多様な地勢を持つことは知っていました。

さらに笠間や益子といった陶芸の里もあるので、食空間までも茨城の世界観に落とし込めるのがすごい魅力的な地域だな、というのは以前から感じていました。

そして、今年の7月には、日帰りで笠間の陶芸家、Keicondoさんのアトリエに遊びに行って、Keicondoさんの器を使ってダイニングアウトをできたのがとっても楽しくて(このときにご一緒したのが藤田さんでした)。

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東京からでも90分もあれば笠間に到着して、好きな作家さんに会いにいけるというのは、やっぱり魅力的ですよね。この日は、16時くらいに帰ったんですが、半日充分楽しめましたから。

好きな場所、ゆかりのある場所を仕事として紹介できるというのは、本当にラッキーなことだと思います。このご縁を大切に、しっかり仕事をしいきたいなと思っています。

個性がない土地なんて、本来はない

シェフと茨城」のプロローグでは、最後にこんなことを書かせてもらいました。

遠くのものと同じように、近くのものにも価値がある
ウィズコロナ/アフターコロナの世界では、移動に制限が生まれたことで「距離」に対する価値観がかわってきました。

もちろん飛行機や新幹線に乗って海外や国内を旅したい気持ちは変わりませんが、生活する土地の近くを旅するような「マイクロツーリズム=ご近所旅行」にも新しい価値が見いだされています。

食材についても似たようなことが起きてくると思います。遠くから取り寄せて、貴重な食材を食べる歓びとともに、近所の食材を愛でながらいただく。

それは、首都圏で食材を扱っているシェフたちにも同じことがいえるかもしれません。遠くの稀少な食材を求めて特別な生産者を巡る旅をする一方で、日常のなかで生産者を巡って食材に触れるからこそ生まれるインスピレーションに価値が見いだされる。そして、持続的なコミュニケーションの向こうに、シェフにとって本当の意味の「身近な生産地」に、茨城県はなりたい。

遠くの稀少な食材も、近くの食材も、分け隔てなく楽しめる価値観が生まれたら、日本の食文化はさらに豊かなものになっていくのではないでしょうか。

人の心が変わって、テクノロジーによって距離の概念が変わったなかで、このプロジェクトのなかで僕が個人的に目指したいのは、「めったに行けない遠いところ」と同じように「しょっちゅう行ける近いところ」にも同じように価値を持つ人に茨城県の魅力を届けることだと思っています。

遠方の産地のことを否定はしません。だってやっぱり広い台地や海で育った食材は土地の個性が出ておいしいですもん。だけど、それと同じように、近くの土地にも個性があるんです。個性がない土地なんて、本来はない。

そういった価値観を持っていらっしゃる方々は、おそらくたくさんいらっしゃるんじゃないかと思っているので、その方々に向けて情報をお届けできたら、より強い茨城のファンになってくださると思うのです。

シェフと茨城」は、これから毎週水曜日に更新していきますので、ぜひフォローしていただいて、見守っていただければと思います。

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茨城の食材にご興味があるシェフの方がいらしたら、産地ツアーなどご案内できますので、messengerでご連絡いただければ。1時間半くらいで産地にいけますので、定休日に日帰りで産地へ、なんてこともできますよ!

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明日は、noteを1年書いてみた僕が考えるアーリーフェイズのnote運用について書いてみたいと思います。

料理人付き編集者の活動などにご賛同いただけたら、サポートいただけるとうれしいです!