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【読書note】『人の波に乗らない』

昨日は、月に一度か二度ある、頼まれ原稿の隙間な一日。仕事で書くものが何もない日でした。とても有難い。

迷わず、お家に籠って読書三昧。ときおり、iPhoneアプリのゲームにいそしんでしまい、時間を溶かしていましたが(笑)それでも、思うように時間を差配できるというのは、やはり幸せでした。

そんな昨日に読んだ一冊がコチラです。
■藤村忠寿『人の波に乗らない 笑ってる場合かヒゲ』(朝日新聞出版)

実は『水曜どうでしょう』を見たことがほとんどありません。

みんなが面白いと言っているから、何なら私の推しさまも面白いと言っているから、きっと面白いのだろうと思います。

でもなぜか、縁がない。その一言に尽きます。

見たくないとか、見られないとか、そういうのではなく、ただただ「縁がない」んです。そういうものってありますよね。だったら、能動的に行けばいいのに「縁がない」で済ませるあたり、たぶんほんとに縁がないのでしょう。

でも、藤村さんや嬉野さんの著作はわりとマメに読んでいて(…って、あ。1冊積んであるわ)。ものっそい感動するとか、がぁんとアタマを打たれるとか、そういう劇的な何かはないけれど、でも、読まずにはいられない感じがあって。

だから、私は「水どう」ファンではないのに、彼らの著作を読み続けているのでしょうし。それが、きっといちばんの魅力なのだろうと思うのです。

・ ・ ・

この『人の波に乗らない』は、朝日新聞北海道版で藤村さんが連載されているエッセイをまとめたもの。2020年1月から2022年12月までが収録されているシリーズ第3弾です。ということは、ちょうどコロナ禍ど真ん中の時期に書かれたものと位置づけられます。

先日、5類に分け入れられた新型コロナウイルス感染症。

もちろん、まだ過去のものになったわけでは全然ない。ヒト側が行う便宜上の分類が変わったというだけで、ウイルスさんたちは健在。警戒を緩めたら、一気に襲い掛かってくる力だって持ってる。事実、表の文脈で語られなくなったというだけで、今だってクラスターはあちこちで起爆しています。

でも、このGWあたりを境目に、気持ちのなかにある何かが、どこかが変形したのは事実で。

そんなときに、本書―ど真ん中の時期に藤村さんが考えたり行ったりしたことをまとめたもの、を読むことの意義は大きいなと思うですよ。

あのとき、自分はどう考え、どう感じ、何をし、何をせず、誰の何をどう見たか。

そういうのって、多分、今省みておかないといけないんですけれど。でも、だからといって、改めて腰を据えて、自分を見つめ直してなんて、とっかかりがなさすぎて無理ゲー。

そこへこの藤村さんの本が飛び込んできたんです。

藤村さんって、すっごく筋の通っている人。サラリーマンという枠組みのなかで、いかに自由に呼吸しやすく動くかを、独特の嗅覚とものっそい行動力で実践していくというイメージがあります。もちろん、イメージだけではなくて、実際そうなさっているのだと思いますが。

多くの人がやりたいと思っても、いろいろ言い訳してできないでいることを、「え、おもしろそうだから、いいんじゃね?」ってガシガシやってちゃう。

したたかさも備えて、ときおり失敗しちゃうおちゃめさもあって。簡単に言えば、超人間くさくて、身近に感じるけど、スーパーマンっていう、指針にするには最高の立ち位置にいらっしゃるんですよね。

私自身は、実はステイホームに苦を感じることもなく、なんならその時期にまるっと書店勤めをするという暴挙に出た人なので、それはそれで特異点なのですが(滝汗)。

それでも、鬱屈したりもにょったりしてたんだなと、この本を読んで、藤村さんの思考や行動を知るなかで、そことの距離を測り、自分のなかをもぞっと覗き見たときに、知りました。

うん、そういう意味で、マジで今読んで欲しい本なんです。

・ ・ ・

「シリーズ最高」の本とヤンデル先生がおっしゃっていたので購入し読んだですが、読後に激しく同意しました。いや、マジで。

また、一つひとつが短いので、とても読みやすいですし。今なら書店で新刊棚に平積みしてるはず。よろしければ、ぜひ。

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