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漫画日記1 チセイに任せる

昨日に引き続き
昨今のあれこれを理解するための
取っ掛かりをくれる作品を。
今日はコミックです。

田素弘
『紛争でしたら八田まで』①~⑧(以下続刊)
講談社 モーニングKC

地政学に基づいた知性と、
ちょっとの荒技(主にプロレス技)で
警察が介入しにくい
世界で起きている紛争を解決していく
地政学リスクコンサルタントの八田百合。

コミックス2巻 背表紙より

彼女のキメ台詞は
「八田のチセイにおまかせを」

この二つの説明で
作品の大まかなところは
大概説明されつくされているかと(笑)

実は、以前に
1~3巻を購入していたのですが
なかなか読むタイミングを持てず
積読山に埋もれていたです。

駄菓子菓子。

昨今の状況になったタイミングで
「2,3巻がウクライナ編」と話題になり
思わず山から掘り出し、読んでみたワタクシ。
流行りには迷わず乗っていくスタイルなのです。
えぇ、ちょうど今お店では
品薄状態に陥っており
重版待ちをしているところですのよ。
おほほほほ。(買っておいてよかった…)

閑話休題。

この作品で描かれる
ウクライナ編を読んで実感するのは
ウクライナという国が置かれた状況の過酷さ。
あるいは、この国が持つ可能性。
さらには、食べ物のおいしさ(をい)。

そして、それらは
ウクライナという国の地理的条件や
醸成された文化、培われた歴史が
作り上げたものである、と。

そういったことが
作品からダイレクトに伝わります。

詳しくは読んでいただくのが
いちばんいいかなと思うですが。
その時、できたら
ウクライナ編の描かれた2,3巻だけでなく
1巻から続きで読んでほしいと思うです。

なぜなら。

主人公 ユリが「チセイ」を
どのように武器にしているか。
一つずつ事件を積み上げながら読み
それを目の当たりにすることで
このウクライナ編の分厚さが
より深く感じられると思うんです。

「チセイ」。知性。地政。

地理的条件と情報を駆使して
紛争を解決していくユリ。
その解決方法が
痛快で豪快で
チセイとは? ってなることも
しばしばなのですが(笑)

でも、この作品を読んでいると
強く思うんです。

情報を「点」として持っているだけでは
何の役にも立たないって。
そういった「点」としてある情報を
「線」として繋ぎ
そこから「空間」として立ち上げていくことが
必須で必要で大切なんだって。

もっと言えば。

それを実際に行えるだけの
知性や想像力がなければ
紛争を解決することなどできないって。
この作品を読んでいると
そのことを痛いほど感じるんです。

そして。

世界で起きていることを
知ったり考えたりするにあたり、
情報を「点」ではなく
「線」とか「空間」として捉えることが
さらに必須で必要で大切なんだな、と。
そんなことを思うのです。

ウクライナという国一つ取ってみても
人々の積み重ねた歴史があり、文化があり。
大陸にあるパワーバランス、
あるいは、パワーゲームの中での
立ち位置がある。
もちろん、その全部を知ることは不可能です。
でもね。
知る努力は必要だろうと思うのです。

一つの事象を情報として得ただけで
その国のことを語ろうとするのは
やはり傲慢な行いでしかなかろうと。

そしてね。

ウクライナのことだけでなく
その周辺の国のことも、
相手であるロシアのことも含めて知ること、
つまり、多面的に知る努力は必要だよなと
思うんです。

そこまでやってようやく
理解するための第一歩を踏み出せるのだろうと。

もちろん、何度も書きますが
今回のロシアの振る舞いは
道徳的にも、倫理的にも、人としても
絶対に許されるべきではないと思います。
でも、だからといって
起こっている事象を理解する努力を
放棄するのは違うと、私は強く思うのです。

大陸で起きていることを
正確に理解することなんて
この東の端っこの島国で出来るわけがない。
そうであっても。
繰り返さないために。
何より、溢れる情報に惑わされないために。
知る努力をすること、
そのための取っ掛かりをあれこれ掴むことは
諦めずにし続けたいと思うのです。

この『紛争でしたら八田まで』は
今月中にはどのお店にも並ぶと思います。
それぞれの国を知り、
チセイを用いる方法を実感するには
本当に良い作品ですし。
何より、食べ物がおいしそうなんですよねぇ♡

痛快で豪快なユリの活躍を
ぜひぜひご堪能ください。

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