私が創りたい世界
B buddy consultingで創りたい世界のことについて、先日の結婚式でまた少し深めることができたので、書き留めておこうと思います。
B buddy consultingというのは、昨年、私と、フリーウエディングキャプテンの唐木裕介さんと立ち上げた人材育成&施行改善コンサルティングサービスです。プランナーとキャプテンが式場様やチームの『結婚式を創るちから』をつけるために、真の意味で個々が共創した先の現場力を高めて、お客様に選ばれるブランドを目指そう、というもの。結婚式の質を上げ、体験価値を高めることで、結婚式を美しい文化としても、豊かな産業としても発展させ、挙げる人も参列する人も創る人も、それぞれの心が温かなもので満たされ、世の中の幸せが増えていくように。(noteもあります✍️✨)
今年は、結婚式の現場でも唐木さんと共創する機会が増えました。
回を増すごとに、出し合うアイデアは深まり、それぞれに内省し、フィードバックもしあい、気づきを与えあい。私たちはお互いを結婚式における『バディ』と認め合い、結婚式をこちら側とあちら側から見つめ紐解き、深めることを意識してお客様に向き合っています。
私は今回、ケーキカットとファーストバイトをとてもゆるく進行表に落とし、事前ミーティングでこう伝えました。
『カットは二人がやりたくなったらやる。
バイトは二人がやりたそうだったらやる。』
ふざけてるわけでも、わがままでも、わざと突拍子もないことを言っているわけでもないのですが。
唐木さんは『優しい苦笑い』をしていましたね。
『また、何か深いこと考えよるな(四国弁)』という感じで。
ケーキカットのタイミングを進行表上のタイムスケジュールで決めることのナンセンスさというか、虚しさ、かもしれないな、ある意味。その『やらされてる感』をとことん排除してみたくなったし、この人にならそれを預けられると思ったのです。至って本気で。
実は事前に真面目に『人類初のケーキカット』、つまりケーキカットのルーツに想いを馳せて仮説を立てました。
それはおそらく、式場が考えた演出というコンテンツではなくて、きっと映画『マンマミーア!』みたいな手作りの結婚式で偶発的に生まれたのではないか、と。
二人の幸せそうな姿に心打たれたお友達が手近にあったナイフを見つけて『最初のナイフは二人で入れなよ』って手渡したのかもしれないし、ケーキを運んできたパティシエが『これから私が切り分けますが、どうか最初のカットはお二人で入れてください』て言ったのかもしれないし、単純にラブラブな二人が『よし、このケーキは二人で一緒にみんなに振る舞おう』となり『みんな!今からケーキ配るけど、まずは僕たちで切るよー』と自ら手に手を取り合って能動的に入刀したのかもしれないし・・・なんて。
で、その姿があまりに素敵だったので、結婚式が終わった後も『あれ、よかったよねー!二人でケーキにナイフを入れてたやつ!!』って思い出話で語り継がれて、『私も彼とやりたいなー』という人が増えて徐々に広まり、定番コンテンツと化したのではないかな、とか。
(あくまで私の妄想で、民俗学などに基づいたものではありません。もしかしたらどこかのプランナーさんが『せっかくケーキがあるなら、お二人で入刀されてはいかがでしょう?』って提案したアイデアかもしれないしね。)
真意はさておいて、そういう仕事をね、したいのです。結婚式が台本に書かれたことをお二人やゲストがスケジュールにそって予定調和的に、恭しくこなしていく時間じゃなくて、積極的に、能動的に自由に体も心も動かすことで人々の想いが共鳴し、響き合うような結婚式を。
なんかこう、もっとね、『感情の解放のその先』に行きたくて。二人やゲストの感情を解放させるトリガーが、強引な表面上の仕掛けではなく、それぞれの意志の中にあるような世界に。
ちなみにB buddy consulting で私は
『魂レベルで心震える時間・空間を創造できるスキルを育てる』
を目標にしています。
想いを引き出し、体現することができて、お客様たちの感情が解放されてくると、溢れる涙・温かく力強い拍手・握手やハグなんかのモーションが出てくるんだけど。
いま目指したいのは、その先。
もっと自由気ままに、お客様たちが、
自然に、勝手に動き回れる空気を創りたい。
やらされているのではなく
自らの意志のもとに動いている
そんな結婚式。
そして現場のプロフェッショナルたちは
お客様のたちの想いが重なる可能性を丁寧に拾って
ライブで感性をぶつけ合いながら体現していく
そんな結婚式。かなりの余白と余力が必要・・・
だから、私が仕掛けるべきことは
『気づかれぬうちにその意志の中に、
感情に迫ることができるかもしれないトリガーをそっと埋め込むこと』
ということになります。
これは深い傾聴力が主る部分が大きいのですが・・・
理想論ですかね。
でも、理想を抱くことは罪じゃないよね。
お二人も、ゲストも、創り手たちも。
自分で頑張って得ることができた自画自賛ができる結果って、最高に強くなれると思うんですよね。お二人はプランナーと決めた進行表を凌駕して、自分の意志で動いた結果に感情の解放ができるくらいの、つまり本当の意味で自分事の時間になったなら、きっとこの日とこの日に向けて費やした日々は本当の意味で人生の、未来へのお守りになれるのではないか、と。
わたしがやろうとしていること、もしかしたら終わってみてお二人に
『プランナーさんいらなかったよね』
って言われてしまうかもしれませんね。
それでもいい。
賞賛されたい訳ではないから。
でも先日、会場様からご依頼いただきお手伝いさせていただいたお客様のインスタに『会場の隅でずっと見ていてくれて嬉しかった』と書いてくださった方がいて。
そんな感じでいられたら私的にベストです。
何をやっているかよくわからないけどとにかく伴走、伴奏してくれたひと。
そこにいるだけでほっとするひと。
心の支えになるひと。
それでいい。
『お客様の未来を信じて
想いを馳せて
心を砕いて
寄り添えるひと』
これはあるシーンでのわたしの言葉なのですが
実はこれには続きがあります。
『そして、この結婚式は佐伯さんが創ったものではなくて、佐伯さんはたしかに手伝ってくれたかもしれないけれど、でも、僕たちが自分たちの手で創ったのだ、と。これだけがんばれたからこれからも二人で強く生きていけるのだ、と。
そう思っていただけるような結婚式を創れるひとが
結婚式のプロフェッショナルだと思います。』
たしかにそこにいるけれど、いない。
いないけれど、そこにいる。
『黒子』でもすらない、透明な、
温かな霧みたいな存在で二人の隣にそっと存在していたい。
キャプテンをやったことがある方なら、経験があると思う。
『ケーキカットに行きましょう』と声をかけたら
『え!もうですか!!はい!わかりました!』と
急いで気持ちを整えてくださるお二人の反応を・・・
それが当たり前になっていることを、私は、諦めたくないのです。
結局、ケーキカットのシーンは会場の温度が温まってきたところで時間を絞り『今から20分の間くらいでケーキカットをしようと思います。二人のペースで、皆様にお披露目したいタイミングで声をかけてください。』とだけ伝えました。
少しして、ご新郎様が手をあげて笑顔で私を呼びました。
『佐伯さーん!そろそろ行きたいと思います。』
その合図を、キャプテン、パティシエ、サービスマン、フォトグラファー、PA、すべての人が感じ取り、そっと自分の持ち場につき自分の仕事を静かに遂行しました。
私たちがタイムスケジュールに則ってお二人を動かしていくのではなくて、お二人の感情に、私たちがそっと伴走していく。
とても自然体でリラックスした、温かな時間が流れていました。
そして、そんな私の在り方を理解してひとつひとつちゃんと拾って丁寧に
目に見える形にしてくれる人々を、私は、心から敬愛しています。
結婚式は人の想いや愛でできている。
それを引き出し、目に見える、肌で感じることができる形になるように設計する力と寄り添う優しさ。
形になったものを、良いタイミングで混ぜ合わせ、もっと深い感情の解放を追求できる感度と勇気と実行力。
もちろん、今回のやり方が全てのウエディングに当てはまる訳ではなく、最適解はその時で都度違うのだけれど。大事なのはこのやり方ではなくて、その結婚式の場創りに何が必要なのか、都度見極めていくそのスキルとマインドと余白を携えてお客様の人生に向き合うプランナーとやキャプテンで溢れている、そんな結婚式の世界をこのサービス『B buddy consulting』を通して創っていきたいのです。
そして最後に。
会場の皆様のお力添えがあってはじめて体現できた美しい1日でした。受け入れ、寄り添って下さったこと、心から感謝申し上げます。またいつか共創させていただけるように、私も磨き続けていこうと思います。
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