読書ログ『サーキット・スイッチャー/安野貴博』
読むのにかかった日数:2日
東京都知事選への出馬を表明されている安野たかひろさんの著書。
BCG出身のAIエンジニアでSF作家という、見たこともない経歴に強く興味をそそられて読みました。
自動運転への解像度が非常に高く、近未来の東京をリアルに感じながら読めてすごく面白かったです!
小池現都知事、立憲民主・参議院議員蓮舫氏、石丸安芸高田市市長が話題となっている東京都知事選。
そんな中で私は、AIエンジニアでSF作家という見たこともない経歴を持つ安野たかひろさんの出馬表明に注目しています。
自分自身がIT企業でエンジニアをしているというところも要素として大きいのですが、エンジニアで起業家でSF作家という経歴の幅の広さに「現代にもこんなレオナルド・ダ・ヴィンチみたいな人がいるんだー!」と 感激したのがきっかけです。
年齢も33歳とお若く、この歳でこの経験の幅広さ・アウトプットにはボリュームはただただ尊敬してしまいます。
M-1出場・第一回突破経験もあるとかでますます面白いです。こんなふうに多方面にアンテナを貼れる人になりたい!
物語の本筋からはずれますが、安野さんは出馬に際して会見で「テクノロジーで誰も取り残さない東京にアップデートする」と述べています。
具体的には暮らし、経済、政治をテクノロジーの力でより良いものにしていくとあり、暮らしの中では自動運転の積極解禁も挙げています。
最近横浜で公共バスの職員不足により本数が削減されたことも話題にな離ましたが、自動運転が解禁されればこのような問題も減るのではないかと期待の持てる内容でした。
しかし完全自動運転は、既に無人運転車の導入がされているアメリカでも抗議活動がされていたりと、大きな波紋を呼んでいる技術です。
「本当に取り入れて大丈夫?」と心配する声が多数上がると容易に予想ができます(ちなみに私は技術を積極的に利用したい派なので、自動運転肯定派です)。
懸念事項として上がってきそうなのは
安全性に問題はないのか
取り入れることでこれまで創出されていた雇用が失われないか
事故が起こった場合には誰が保障するのか
あたりでしょうか。
そして本作で、これらの課題が丸ごと描かれているのが面白いなぁと感じました。
作品を通して、もしこの人が都知事になって自動運転が解禁されるとき、こんな問題と向き合っていくことになるのかとシュミレーションできるのはまたとない感覚です。
作品の見どころは、なんと言っても自動運転に対する解像度の高さにあると思います。
先程述べた完全自動運転が実現したときに起きうる数々の問題に始まり、具体的な車の内装、組み込んであるアルゴリズムの仕組み、令和産のAIスタートアップ企業と昭和産の老舗自動車企業との関係性など。
あぁ〜こういうこと起きそう〜という内容がふんだんに組み込まれていました。
でも難解なわけではなく技術に疎い人でもわかるレベルに落としこんであるので、決して技術書のように読みにくいわけではないなと思います。
ろくに最近コードを書いていない私でも、すいすい読むことができました。
参考にしてある技術やニュースもいくつか思いあたるものがあり、技術者の方とかは特に楽しめる内容だと思います。
カテゴリはSFですが、舞台は2029年なのでちょっとだけ便利になった未来、という感じで想像しやすいです。
SFにしては規模が小さく感じますが、それでも十分に楽しめました。
登場人物の人間関係もシンプルでわかりやすく、複雑な人間関係の小説を読むのが苦手な私でも読みやすかったです。
最後のオチもスッキリしていて、読んで良かった!面白かった!と最後に爽快感がある作品でした。おすすめです!
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