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#夏

あの夏にずっと足を浸して

あの夏にずっと足を浸して

君の耳が好きだった。
君の耳は平均よりひとまわりくらい小さくて、耳たぶも小さくてあまりふくらみがなくて、溝がくっきりとしていた。
君の大学生のお姉ちゃんがピアスを開けた時、自分も早くピアスしたい、と言った時にはちょっと嫌だなと思った。その面積の小さな耳たぶに穴が開いてほしくなかった。
言ったら気持ち悪いかなと思って言わなかったけど。

ふだんは下ろした髪に隠れて見えないそれが、たまに君が髪を結んで

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