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夏、ふたたび

近くの街の祭りに行った。
午後2時半すぎ、家族4人で電車で行くことにした。
私は、体温より熱い風が吹き付ける中を、右手に日傘をさして、右隣を歩く娘が日傘の影に入るよう気遣いながら駅へと向かった。

最寄り駅から電車に乗り、目的地で降りたら、祭り会場へは徒歩15分くらいで到着するはずだった。
が、熱波が私をみっちりと包み込んで離してくれず、祭り会場につく前に私の体力ゲージと気力ゲージに赤ランプが点灯した。

ヤバい。
道中コンビニに寄る。トイレ休憩と、アイスと飲み物を買った。
用は済んでもここを出たくない。自動ドアの近くで、大きなガラス扉の向こうに見えるユラユラとゆれる光景を見つめる。
ああ、祭りが遠い……。
もう少しよ、私。
よし、コンビニで手に入れた期間限定の缶ビールで、エナジーチャージだ。気力回復。アルコールが手伝って笑顔もでてきた。

夫婦揃ってほろ酔いになりつつ(大丈夫か)、ついに祭り会場へとたどり着いた。


コロナ禍で夏祭りは本当に久しぶりだった。

暑さとアルコールで体はとても火照っていたが、この火照りはそれだけのせいではなかったようだ。

服が汗でまとわりつく。
ベタつく顔とからだ、しつこく焼いてくる日差しに苛立った。
それでも出店の人や訪れた人びとの笑う姿を見ていると、足どりが軽くなっていた。気づけば、大好きな綿あめ屋さんはどこだ、うまそうなイカ焼き屋はどこだとルンルンで見てまわった。

うちの子どもたちは、「暑〜い」などとあまり言うこともなく、大汗をかきつつ、あれ食べたい、これやりたいと全力で祭りを満喫していた。(娘は射的とテレビ番組サスケのようなアスレチックにも挑戦していた!すごい)

コロナ禍だったとはいえ、この感じ、ほんと忘れてたなあ。
こどものころの夏を思い出したか、いや、学生時代に行った灼熱のシンガポールか。
でも昔の思い出って、楽しかったはずなのに切ないのはなぜだろう。



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