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アサガオ(ヘブンリー・ブルー)(誕生花ss)

 天国の青。
 その名の通り、抜けるような青空の色をした花々が咲き乱れていた。見渡す限り続く花畑には、私の他には誰もいない。美しい景色を独り占めできるのは嬉しいけれど、ちょっと寂しい気もする。
 足元に広がる空の間を、どこまでも歩く。ここでは日は落ちないし、疲れることもない。けれど、歩き続けるのに飽きて眠ってみたくなったら、その場に寝転んでしまえば良い。花々は雲のように柔らかく、私の身体を包み込んでくれる。
 夢の中で、君を見る。赤い目をした君が、行き過ぎる人々の中に私を見つけようとしているのを、すぐ隣で見ている。
 目覚めたら、歩く。ここでは他にすべきことも無い。鮮やかな空色に慰められながら、来るべき時を待つための花畑なのだ。
 夢で見る君の目から、徐々に赤色が引いていく。綺麗な色が戻っていく。俯き加減だった君の顔は、いつしか空を見つめるようになる。笑顔が増える。
 花畑の向こうに、懐かしい扉が見えてきた。私の足取りはますます軽く、もう君を夢見ることも無いだろう。
 ああ、青が目に染みる。


《今日のお花は朝顔です。おやおや2回目だな、ということで、今回は朝顔の中でもヘブンリー・ブルーという品種をモチーフにしてみました。なんとも美しい色合いの花ですね。こんな花がたくさん咲いていたら、本当に天国かと思ってしまいそうです。花言葉は「愛着」。》

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