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【広報担当者向け】"伝わる"インタビュー記事ってどう書くの?~②執筆編

約2年で150人以上の若手ビジネスパーソンをインタビューしてきた経験から、前回は「【広報担当者向け】"伝わる"インタビュー記事ってどう書くの?~①取材編」と題し、社員インタビュー時のコツや意識しておきたいことなどをまとめました。

続く今回の記事は、②執筆編です。インタビューを無事終えて、いざ執筆しよう!となった時「あれ、どういう風に書けばいいんだっけ…」「多くの人に読んでもらい、伝えたいことを伝えるにはどう工夫すれば…」といった壁に直面することはありませんか?

"伝わる"インタビュー記事に仕上げるために、ぜひ意識していただきたいポイントをまとめましたので、参考にしてみていただけると嬉しいです。

①「これも伝えたい、あれも伝えたい」でタイトル迷子になっていない?

これまで記事づくりの内容で、一番多く聞かれたのが「タイトルってどうつければいいの?」という質問かもしれません。文字数が限られているし、クリックしてもらえるかどうかも左右するので、タイトルって本当に難しいと思います。でも、タイトルは一番先に(仮でもいいので)決めておきたいもの。

そんな時、一つだけ意識しておきたいことは、そのインタビュー記事で何が一番伝えたいのかを「一つ」に絞ること。取材対象者から色んな話を聞けば聞くほど、「これも伝えたいし、あれも伝えたい!」と欲張りになってしまいがち。そうすると、タイトルはもちろんのこと、リード文も何を書けばよいのかわからないし、記事本文もまとまりのないものになってしまいます。

そのため、まずインタビューを終えたら、執筆前に「記事で伝えたいメインポイント」を一つだけに絞る!という作業をしてみてください。私の場合、インタビュー中のメモは手書きなので、殴り書きしたノートをペラペラめくりながら「ここかな」と思う箇所にマーカーをつけていきます。いくつかマーカーをつけたら、ひとつひとつを比較してみて、「実はこれとこれ、同じことだな」とか、「これとこれには、こんな共通点があるな」とか、思考を整理していきます。そうすることで、あれこれ伝えたいことがあったとしても、「一つのテーマ」に絞ることができます。メインポイントが一つに絞れたら、タイトルで入れたいワードやニュアンスも、ある程度限定されるはずです。

私がまだインタビューライターとして経験が浅かった頃、Forbes Japan編集長によるインタビューノウハウに関するセミナーを受講したことがあるのですが、そのセミナーで学んだのが「伝えたいことは一つに絞る」ということでした。この日から、上記のような思考の整理を必ず行ってから執筆に取りかかるようにしています。

あとは、「どんな言葉を選べば"読みたい"と思ってもらえるか」ですよね。「あなたはどう?」と問いかけてみたり、「営業の本質を教えてくれた上司の一言とは?」と好奇心をくすぐってみたり、「入社〇カ月でマネージャーに!」などのパワーワードを持ってきてみたり…。自分がついついクリックしてしまう記事のタイトルを参考にしてみてもよいかもしれません。

②リード文で「読む/読まない」を決める読者

タイトルが決まって文章を書き始める時、さっそく立ちはだかる壁が「リード文」ではないでしょうか。この記事は、どんな悩みや疑問を持っている人に有益な記事なのか。そういった人たちに、何を届けたいと思っているのか。タイトル決めの時に固めたメインポイントを軸に、「これって自分のための記事かもしれない!」と読者に思ってもらえるような文章を考えたいところです。

例えば、ニュース記事などでよく目にする「最近の若者には、早期の段階での成長に貪欲な人が増えているといいます」といった一般論から始まる記事。インタビュー記事のリード文にも使えそうな気がしますが、社員インタビュー記事にはそぐわないように思います。それよりも例えば「ふとした瞬間に"あれ、同じ時期に入社したあの同期が早々に昇格している…"なんて焦ってしまうことはありませんか。短期間で目覚ましい成長を遂げる社員と、なかなか成果を上げられない社員。その違いは一体どこから生まれるのでしょうか?」といったリード文だと、どうでしょうか。書こうとしている社員インタビュー記事が、「早くから裁量権を持たせてもらえて爆速で成長できる会社で働きたい!」と考えている求職者に向けたものであるなら、きっと後者のリード文のほうが「自分ごと」として捉えやすいのではないでしょうか。

このように、まずはインタビュー記事を届けたい人や届けたい内容を定めたら、読者の心にちゃんと届くような、(一般論ではなく)「あなたのための記事ですよ」ということが伝わるような文章を考えてみてください。

インタビュー記事の最後に「締めの文」を入れる場合も、このリード文との繋がりを強く意識すると、全体的にまとまりのある記事になります。リード文には「この記事読みたいな」と思わせる文章を、締めの文には「この記事でこんなことが得られたらから、さっそく行動に移してみよう」と思えるような文章を入れられるといいなぁと、私はいつも意識してきました。

③単なる文字起こしではない「編集」という作業

インタビューは必ず録音して、いつでも聞き返すことができる状態にしておくことは基本ではありますが、私の場合は文字起こしはしていません(このあたりのやり方は人それぞれかと思います)。

インタビューライターとして駆け出しの頃は「インタビューで聞いた内容を、話の順序を変えずに、わかりやすくまとめれば良い」と思ってしまっていましたが、例えば質問の順番は入れ替えても全く問題ありませんし、もらった回答の言葉を自分なりにわかりやすく言い換えてもOK。「回答してくれた言葉でも理解できるけど、この言い回しのほうが伝わりやすそう」と思ったら、自分の言葉に変換してみる。こう意識し始めてからは、記事作成後に取材対象者や広報ご担当者から「わかりやすくまとめていただき、ありがとうございます」「とりとめのない内容を、素敵に仕上げてくださってありがとうございます」なんて嬉しいお言葉をいただけることが増えました。

そのため、私はなるべく録音ベースではなく「自分の記憶」に基づいて執筆するようにしています。ただし、ニュアンスなど認識の誤認もあるかもしれないので、公開前の取材対象者による内容確認は忘れずに行っておきたいですね。

④さくっと読んでもらえる文字数は3200~3800文字程度

「1記事あたり、どれぐらいの分量にしたらいいの?」も、よく聞かれる質問。これには明確な答えはありませんが、さくっと5分ぐらいで読んでもらうには、3200~3800文字程度が丁度よいかなと思っています。

それより少ないと内容が浅くなってしまうし、4000字を超えると読むのにちょっと労力がかかってしまいます。社員インタビュー記事で長文を求めている人って少ないような気がするので(社長インタビューは別ですが)、分量をどうすればよいか迷っている人は、ひとつの目安として参考にしていただければと思います。

⑤最後に


社員インタビューの基本については、PR TIMES MAGAZINEのこちらの記事がとても参考になると思っています。「これから社員インタビューに新たに取り組むことになった」というインタビュー初心者の方は、ぜひこの記事もあわせて参考にしてみてくださいね。

「あなたに取材してほしい」と言われる広報担当者を目指して、がんばりましょう!(そんな私も、広報PRにおいては初心者なので勉強中です🖊)


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