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【ジェットストリーム】ミスター・ロンリーから、マチネの終わりに。

~幼少期のわたしと、いまのわたし。~


「ミスター・ロンリー」

 私が、初めてジェットストリームを聴いたのは7歳でした。小学生の私は両親に「早く寝なさい」と言われていた。23時には遅くとも布団に入っていました。幼いころからピアノを習っていたし、家族で食卓を囲むときはテレビに布をかけ、父親が好きなJAZZやクラシックをよく聴かされていた。そんな私は自、然と音楽と暮らしていました。ある日寝れなくなりラジオをつけました。一番電波の良いFMに合わせ、何となく耳にしながら「寝れないな…」と思っていた時に、流れたのが、あの「Mr.Lonely」でした。

 その日から、早く寝るわけがなく、逆に0時まで起きるようになりました。編曲された「ミスターロンリー」は何とも美しく、「これはあの楽器とあの楽器の構成からの・・・」と想像しながら毎晩聴いていました。番組の中で流れる「ミスターロンリー」の時間は短く、毎晩聞き逃すまいとラジオを耳元に置き大音量で聴いていました。早く寝ないといけないのに、何やら私の部屋から大きめの音が漏れているので、父親が「まだ起きてるのか」と入ってきた思い出があります。でも私が聴いているのが「ジェットストリーム」だと分かったのでしょう。「もう少し音を小さくしなさい」と言われ、父は部屋を出ていきました。私は「うん、わかった。おやすみ。」と言ったときは少し音量を下げ、またすぐ戻しました。ジェットストリームの「ミスターロンリー」を聴いて、私はヴァイオリンよりヴィオラ。ヴィオラより、チェロが好きということを明確に認識したことを覚えています。こんなに美しい低音の旋律は、やはりこれが一番だと思います。

 当時の機長は伊武雅刀さんでした。深い声が心地よくて好きでした。伊武雅刀さんが機長の期間は、7年程で、私にはとても短く感じました。。5代目の機長は大沢たかおさん。11年機間長を続け、2020年3月30日から、機長が変わりました。私はそのことになんと2ヶ月も気が付きませんでした。こんなに思い入れのあるラジオ番組なのに。イタリア初心者向け情報の発信なんてことに現を抜かしてしまいました。(noteは本来イタリア初心者向けに情報を残しておこうと思い始めました。)

 6代目の新機長は福山正治さんとなりました。「夜間飛行をお供しますパイロットは、わたくし、、福山雅治です。」という音声は、福山雅治さんらしい大人の色気があふれ出てます。こんなにも自分の名前を言うことで色気を感じさせる人はいないように思います。


『マチネの終わりに』「幸福の硬貨」

 福山雅治さんの「サウンド・グラフィティ」のオープニング曲は、映画『マチネの終わりに』の挿入曲である『幸福の硬貨』です。『マチネの終わりに』は私の思い出の作品。平野啓一朗さんの小説を読む前から、「これはきっと私の人生で思い入れが強くなる作品だ」と何故か確信していました。まず映画を見て、当時の言葉にできなかった思いが、流れて止まりませんでした。絶対に泣くと思い、一人で銀座の東宝シネマを訪れました。映画を見た後、何度も本屋に立ち寄り、手に取り、自分のモノにするか悩み、ある日私は小説を買いました。その日から、映画と記憶を思い返すように、少しずつ読み進めました。私よりも20歳は上の牧野と洋子の気持ちの交差と、牧野を想う早苗の素直で身勝手な感情に「こんなにも共感してしまうのか」と思いました。特に、洋子が長崎に向かい、母と過ごす時期の心の声は私が言語化できなかった言葉がそこにありました。この本は私を何度も考えさえ、何度も涙させる、「未来」なんだと感じました。

 そんな私を形作った「ジェットストリーム」と、いまの私に寄り添う「マチネの終わりに」が、こんな風に交差するのかと、感動しました。


「未来は過去を変える。
変えてしまうというのかもしれない。」

 小さな勇気を振り絞った2020年は、すぐに新型コロナによって、予定していた1年ではなくなりました。どうにかしたくてどうにもできないような気持ちを環境の変化で強制的にどうにかしたかった。思いのほか、この事態で落ち着いて自分を思い返せた。

 思い返しながら、リセットしたいと飛び出したのに、むしろリセットなんてできないことを思い知ってしまった。何度も向き合おうとしているのに、向き合いきれなくて、綺麗ごとの後悔を重ねてこの1年を終われない。2019年と2020年はあなたに捧げるのだという覚悟を私はしなければ。

 20代後半だと、どうしてもこの数年の重みを感じるけど、それは、誰かのためではなくて、どれだけ自分の為に時間を過ごせるかが大事な気がします。

刻一刻と、過去になって行く現在が、いつの日かの未来に、「あの時があってよかった」「この時の感情は二度と感じることがないだろう」と思える時を過ごしたい。

 自分は存在していても、少なくとも信頼している周りの人間から自分は影響を受けている。学校や会社の中で周りの人間を変化させたり、代えることは難しい。でも、自分の身の置き方や、そのコミュニティ外での自分の居場所を見出せば、なりたい自分や、守りたい自分でいれるような気がする。

 そうやって、何をしても、自分を大切に自分でいることこそが、大切な人や何かを、明確にして、本当に大切にできる。


 とにかく、大好きな思い出の『ジェットストリーム』と『マチネの終わりに』の好きが詰まって感動して幸せだ、ということを伝えたい。

 SNSもこんな為の程度のものであればいいのに。


【ERIKALINについて】
「イタリア初心者向け情報」を発信中。イタリアは日本から遠くて似ている、全く異なる文化の国。好きを追求した結果、自分が幸せで、さらに身近な人が幸せに思ってくれて、身近な人も幸せでいてくれたらいいなと思います。

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