地方創生と音楽フェスの新しいかたち -a-nation伝説のプロデューサー阿部元博氏が描く地方創生の未来-

現在エリックゼミのアドバイザーとしてサポートしていただいている音楽イベント”a-nation”をプロデュースしたavex伝説のプロデューサー阿部元博氏と出会ったのは、2015年3月音楽プロデューサー山口哲一氏が主催した”Startup Weekend Tokyo MUSIC”というイベントで運命的にパネリストを一緒に務めた。そこでパネリストを務めたもう一人の重要人物が電通ISIDでオープンイノベーション研究所を立ち上げた渡邊信彦氏だ。それが3人を引き合わせた縁になった。

3人は、イベントのトリを勤める出番までビールを呷りながら音楽の未来について議論し、初対面にも関わらず瞬間的に意気投合した。当然その流れ、登壇の時には前哨戦で盛り上がり過ぎてベロベロだったが・・・。音楽に異なる立場で向き合ってきた3人はそれからすぐに、”ONE+NATION”という新たな音楽プロジェクトを立ち上げた。コンセプトは、「音楽とエンターテインメントで日本を串刺しに」。各地で『ONE+NATION』という共通のブランドを冠したフェスを開催することで、地方創生につなげる狙いだった。

あれから7年が経ち、それぞれの得意分野で活躍している。渡邊信彦氏は事業構想大学院で教授に就任し、ビジネスでは株式会社Psychic VR Labでファッション/アート/カルチャー/音楽などライフスタイルに特化したXRツールで新時代をリードしている。不肖エリックもビジネスコンサルタントから教育に軸足を移し、青山学院大学の教授となった。兄貴分の阿部氏は、初志貫徹、地方発信型野外フェス”ONE+NATION MUSIC CIRCUS”の主催を始め、2016年7月には宮崎県都城、2017年には愛知県犬山でフェスを開催した。

初回の都城では、”ONE+NATION”オリジナルの3人が集まり、身体的問題によって行きたいところに 行けない人のもう一つの身体を提供する分身ロボット”OriHime”を通じてALSの患者がフェスを生で鑑賞するという試みをした。フェスは1万人以上が集まり大成功を収め、”OriHime”のユーザーである番田さんは、ライブに行くという長年の夢を実現した。3人の異端児が新しい感動を生み出した。

”ONE+NATION MUSIC CIRCUS in OTA”は、2022年10月1日、「ぐんまこどもの国」群馬県立金山総合公園で開催された。今回のフェスは前回までとは違った阿部氏の想いがあった。第一回の参加アーティストはTRF、ゴスペラーズ、二回目はDA PUMP等、阿部氏の人脈で豪華なラインナップ、大々的なPRを行ったが、今回はより地元に密着したものだった。

“自分たちの故郷を想い、地元の未来を担う子供たちのために、
今からでもきっと何か出来る事があるはず。
自分の生まれたふるさとにはこんなに楽しいことがある。
自分の育った田舎には、
都会に行かなくとも大都市以上に素晴らしい地域のお祭りや行事があるのだと・・・
地元の子供達には、おとなになっても忘れないような、
おもいっきり楽しい思い出を作ってあげたいよね。
私たちおとなが願う大きな思いと、誰もが出来るような小さな努力で、
この街を地域を活性化させたいね。”

大々的なPRで集客をするのではなく、いつも地元の人たちが集まる憩いの場で音楽との出会いを演出する。こんな素敵な曲があるんだ、こんな素敵なアーティストがいるんだ、やっぱりこの街はいいな、という出会いをさりげなく提供するのが今回の”ONE+NATION MUSIC CIRCUS”。地元のおとなが願う子供達への大きな想いと、誰もが出来るような小さな努力で街を地域を活性化していくという阿部氏の想いが結晶化した。

”ONE+NATION MUSIC CIRCUS”の音楽ステージと平行してわんぱく広場では地元に密着したイベント”Blue Green one’s ecology Project 2023”が開催された。これは独立したイベントではなく2つのイベントが一体となって地方で抱える様々な問題を楽しみながら解決し地域が活性化されるものだ。イベントではSDGs芸人のアンカンミンカン富所さんも登場し、楽しみながらSDGsを身近に感じ環境問題を大人も子供も一緒に考えていく素晴らしい企画だった。

今回の”ONE+NATION MUSIC CIRCUS in OTA”で感じたのは、地方創生は地元の力で自力でやり遂げられるものであるということ。大都市にはない地域の素晴らしさに気づく機会さえもっとあれば、地域はもっと魅力的になってくということ。地方創生は支援ではなく、愛であること。帰りの車の中で、ワクワクしている自分に気づいた。僕にも何かできるはず。誰もが出来るような小さな努力、僕もしてみようと思った素敵な1日だった。

Peace out,

Eric


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