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リハビリ特化型デイサービスにリハ職がいる割合は〇割!?

~本記事の要約~
1.リハビリ特化型デイと名乗っている事業所のうち、リハ職が配置されている施設の割合を調査
2.調査の結果、リハ職が配置されていないリハビリ特化型デイは約43%にのぼった
3.”リハビリ特化型”であれば、活動と参加に対してもアプローチできるリハビリテーションを遂行し、利用者の生活改善や自立を支援できるような施設を目指すことが望ましい

昨夜、一つのツイートから始まった「リハビリ特化型デイサービスにリハ職いないと特化していない」論争。


100文字にも満たない文章に対して、多くの方からご意見をいただきました。

・デイサービスにリハ職がいないといかんでしょ!?
・デイサービスで提供できるのは機能訓練だから、そもそも用語が違う
・リハビリと名乗るなら社会参加を目指した介入があるべき
・そもそもリハビリテーションの定義から始めないと・・・

これは調べる価値があると思い、今回はAreAreライター部で理学療法士も兼務しているトラ男が担当します。ちなみに、今回が初記事です・・・!
ぜひ、最後までご覧いただければ幸いです。

トラ男

本題に入ります。
「リハビリ特化型デイ」と名乗るデイサービスは全国にたくさんあります。

リハビリ特化型と名乗っているくらいなので理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハ職が在籍しているかと思っていたんですが、近くのデイサービスの様子を聞いているとどうもそうでもないようです…。

全国的にどんな傾向なのか?気になったので、googleで検索して、実態を調査してみました!

リハビリ特化型デイにリハ職がいるのか調査

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検索条件は次の通りとしました。

・「リハビリ特化型」で検索
・検索結果の上位30件を集計
・求人情報は除く

上記の条件で検索し、30件のデイサービスを介護事業所・生活関連情報検索で検索し各事業所の機能訓練指導員として登録されている職種、人数を集計しました(①)。

集計の結果、衝撃の事実が明らかに・・・!?

リハビリ特化型デイのリハ職の数の集計結果

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以下のグラフは、リハビリ特化型デイと名乗っている事業所のうち、リハ職が在籍している事業所数を示したグラフです。

リハ職在籍事業所数

13施設のデイサービスでリハ職が在籍が確認できない中で、リハビリ特化型と名乗っていることがわかりました!
やはり「リハビリ特化型」と名乗っているからと言ってリハ職が在籍しているとは限らない、ということですね・・・。

ちなみに、こちらが今回調査した全30施設の通所介護事業所の機能訓練指導員の職種別人数を示したグラフです。

機能訓練指導員職種別人数

ちなみに下の資料は日本理学療法士協会が平成29年に厚生労働省に提出した資料です(②)。
この時に比べると現在はリハ職が配置されている割合が増えているようです。

通所介護事業所の属性

リハビリ特化型デイサービスと言っても、リハ職が配置されている割合はかなり低いことが分かりますね。

リハビリ特化型デイの特徴

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ちなみに集計の中で、各事業所のホームページを閲覧しているといろいろな特徴が見えてきました。
多くの施設に共通していた特徴は以下のとおりです。

リハ特化型の特徴

とにかく”レッドコード”というスリングはめちゃくちゃありました。

代理店のインターリハではレッドコードについて以下のように紹介されています(③)。

リハビリ先進国ノルウェーで生まれたサスペンションエクササイズのパイオニア
医療、予防、スポーツ・パフォーマンス向上に至るまで、多様なフィールドで、全ての方に使用可能です。約30年間にわたる、学術研究、臨床知識により裏付けされた「Neurac Treatment & Test」を構築しました。世界各国で使用され続けアスリートから患者様まで幅広い層から愛用されております。

おそらく、集団で運動する際は比較的安全に実施しやすいため、多く採用されていると思われます。
名前もカッコいい上に馴染みがない分、興味は惹きやすそうですね!

リハビリ特化型デイにリハ職がいないとどうなる?

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さて、リハビリ特化型デイにリハ職が居るかどうかを調べてきました。
しかし、そもそもリハ職がいないとどうなるのでしょうか?

先ほどご紹介したように、リハビリ特化型デイの多くは、機能訓練に特化していることを売りにしています。

厚生労働省によるリハビリテーションについての内容に以下のようなものがあります(④)。

活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの推進

このように、身体機能だけではなく、活動・参加といった部分に対してもバランスよくリハビリテーションを提供するように、とされています。

つまり、リハビリテーションとは身体機能の改善だけではなく、日常生活や社会参加に対しても支援を行っていくことが求められているようです。

また、厚生労働省は高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会議で高齢者のリハビリテーションに関して以下のような課題を挙げています(⑤)。

リハビリテーションの課題

現状として、リハビリ特化型デイと名乗っている施設の多くは機能訓練に特化しており、厚生労働省が指摘しているリハビリテーションの課題は解決できていないことになります。

”リハビリ特化型”の看板を出すのに定められたルールは特にありません。
ですので、リハ職がいなくても「リハビリっぽさ」があり利用者と事業提供者の間に合意さえあれば問題が無いように思えます。

しかし、厚生労働省などの資料からみると”リハビリ特化型”と名乗るのであれば、活動と参加を促進して利用者の自立支援や課題を解決し、生活改善支援ができるような施設を目指すものであって欲しいとおもいます。

その中にリハ職が必要であれば配置し、そうでなければサービス形態に工夫が欲しいところです。
デイサービスを利用するにせよ、提案するにせよ、「リハビリ特化型」という売り言葉を鵜呑みにせず、しっかり見極めることが重要ですね!

最後までご覧いただきありがとうございました。

【参考・引用文献】
①厚生労働省:介護事業所・生活関連情報検索
②厚生労働省:平成29年9月6日介護給付費分科会資料
③インターリハ:レッドコード
④厚生労働省:高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会報告書
⑤厚生労働省:平成27年度介護報酬改定の骨子

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