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猫の尻尾はするりと抜ける

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2021年9月の記事一覧

短編小説|バターの匂い

短編小説|バターの匂い

 目が覚めるといい匂いがして、隣の部屋からガタゴトと音がした。口の中は昨日飲んだワインの味が残って、渚がいた右側だけ妙に痺れていたから、いつもより大きめに伸びをしてぼんやりとした頭を掻いた。シングルベッドの上にまるまった布団を畳んで、寝違えてしまった首を回しながら音の鳴る方へ向かう。

「おはよう、朝ごはん食べるよね。二日酔いには、お味噌汁がいいからね」
 渚のいつもの癖だ。お酒の強い彼女は、二日

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