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信じること、許すこと、守ることについて-映画「キリエのうた」

大学時代のとっても好きな先輩方と、「キリエのうた」を観てきた。
3時間と聞いて(ちょっと長めなのね)と思っていたけれど、始まったら一瞬で惹き込まれ、まだ終わらないでと思う自分がいた。

私にとってこの映画は、「信じること」「許すこと」「守ること」についての物語だ。
対象は人だけではなくて、自分の信念とか過去の出来事とか、生まれ育ったバックボーンとかもろもろ含めて。

私は路花ちゃんやなっちゃんみたいに、誰かを信じて待ち続けられるだろうか。
まおりちゃんみたいに、生まれた土地、家庭環境に人生が掻き回されても、持って生まれたカードを許して自力で運命を変えようと立ち上がれるだろうか。
なっちゃんみたいに、キリエを、路花ちゃんを守るために奔走できるだろうか。

家族、友達、恋人。
自分の大切な人たちを思い浮かべながら観た映画だった。

信じること、許すこと、守ること。

私には何度思い出しても腹が立つ出来事があるし、それらを許すことは当分できそうにない。
海底のように光が見えなかった過去にずっと縛られて生きている感覚があるし、今でも当時を思い出してはその海底に心が引きずり込まれて悲しくなることがしばしばある。

それでも、周りの大好きな人や、自分の気持ちを信じようとすること、守ることは、今からでもできるかもしれない。
消化しきれない恨みや許せないこともあるけど、頭の隅でそれを飼い慣らしながら、少しづつ、今目の前の人、今の自分の気持ちを信じて守れる人になりたい。そう思った作品だった。

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あと胸にグサグサ来たのが、田舎独特の閉鎖的な雰囲気。
まおりちゃんが大学受験を決意した時の、
「どうせなら、これを機会に自分の運命を変えようかと」
これさ〜〜高校時代の私も全く同じこと考えてた。

アイナちゃんの歌をメインに物語が展開されていく構成もまた良い。何度も聴きたくなる熱い歌声で心が揺さぶられる。

ほんで松村北斗さんの演技が良すぎて……。
ジャニーズ詳しくなくてどんな方か知らなかったんだけど、声の出し方とか言い淀む感じとか凄く自然で飾ってなくて。松村北斗さん凄いな。



レイトショーだったので、終了後に一杯ひっかけ、バーテンさんと話し、余韻に浸りながら眠らない街を歩いたのもいい思い出になった。

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