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休職中日記#1「起死回生のケーキ、2つ」

私は今、たぶん、
人生の曲線グラフがあるとしたら、
割と深めの谷間のさ中にいる。


夕方になると、わけもなくポロポロと涙が出るし、
人生を簡単に終えられるボタンが目の前にあったとしたら、
ふいに押してしまいそうだなと思う時があるくらいには、落ちている。

そんな日々でも、ウイルスは否が応でもやってくる。
微熱を出したある日に受診した、
大きな病院のドライブスルー形式の発熱外来。

ある人が書いた、誰かの言葉を集めた一冊を、
待ちぼうけの車内で、読んだ。


著者:F(エフ)
書名:20代で得た知見



そのどれもが、著者や、その周囲の人々による
よくも悪くも、忘れられない出来事から得た
気づきや、思いや、教訓。
名言や、たまに、迷言。

「別に、あなたの心に刺さっても、刺さらなくてもいいですよ。」
そんな風にに並べられた、
時に小難しく、時にふんわりとした言葉たち。

けれどもそれらが、
心療内科の待合室に置いてあるメンタルヘルスハンドブックや、
Youtubeで見た認知療法のハウツー動画よりも
ずっとずっと、切に、私の心に沁みた。


どん底の方を覗いてこないと、見られない景色がある。

深夜の散歩の開放感を味わってみないと、
体験できない心の内や、語れない言葉がある。

私がこの経験を経て、いつかそこから運よく抜け出た時に
得られるものって、こういう類のものだと思う。

見知らぬ土地にひとり出向いて、
しゃかりきに働いて、泣いて。

自分の弱さを知って、振り返って、
足掻いて、絶望して、たまに浮き上がって、

もうだめだなと思う時に、
人は光を見出す。

そうやって、生きていくものなのだろうか。


それなら私は、

これまで頑なに隠していた自分の弱さを

人に晒して、たくさん捨てて、

それでも残る大事なものだけ大事にして、

一度大きく沈んだあとに、思いっきり助走して、変化したい。


そんな、起死回生の決意を込めて、
帰り道に買った、無鉄砲な、ケーキ2つ。

”自分の欲望に忠実な自分”として生き返りたい。

(※検査の結果は、インフル・コロナ共に陰性でした)



そういえば。
帰りの車の中で、あんなに待ち遠しく、渇望していた
きらびやかな糖分も、
半分も食べればもう、お腹いっぱいだ。

ぼんやりとした自由への渇望や、望む未来への妙な憧れも、
意外にこんなものなのかもなぁ。

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