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【7】自分の中に「人事部」をつくって、書き手の自分を休ませる

前回のプロセスはこちら(↓)。

冒頭部が書けたら、あとは書くことカードをポメラの横に積み上げ、構成表に従って書いていくだけ。

この本はおよそ10章になったので、一日一章をだいたいの目安にして書いていきます。

もちろん、すべての章が同じボリュームではなく、濃い1章は一日では書き上がらない。2~3週間で頭から終わりまでとりあえず書き上げたいので、お休みの日も入れてそれぐらいかな、という計算です。

書き出しはするするっと書けたものの、第一章は巨大な鉄のローラーをずるずるとひきずりながら書くような重い時間がいたずらに過ぎていきます。つるっと一段落書けたと思ったら次の段落で行き詰まる。つらい。

つるつる書けているときは、だいたい自分でも質に及第点をあげられることが多い(第一稿としては)。何かにがつんとぶつかってしまったときは、うんうんうなりながらようやく書いても、読み返すと「ダメだこりゃ」というときが多い。

そうやって、「進捗」と「質」の面で、「今日はよくやった私」と自分をねぎらえる日と、「ものすごく時間かけたのに、全然ダメだった…」と肩を落として帰る日とが代わる代わるやってきます。勝ったり負けたり、勝ったり負けたり。

負けた日は落ち込むけれど、一晩寝れば気分はリセットされるので、翌日は粛々と敗戦処理にいそしみ、できるだけ肩ひじ張らずに次の戦場に向かいます。

負けたくはないんだけど、人生、負けなしでいくことはありえないので、本を書くときにはできるだけ「変な負け方(後にひきずるような負け方)をしないように」「負けたときの傷を大きくしないように」「負けなくて済むはずのところで転ばないように」自分をコントロールしたい。

わたしの場合、「負けそうなときにどうがんばるか」ではなく、「どう自分を甘やかすか」が鍵みたいで。どうもわたしはダメなとき、ずるずるとがんばっちゃいがちなんですね。昭和な思考がしみついてる。

いろいろ試行錯誤を重ねたあげく、以下のような、わらっちゃうほど些細な日々の習慣にたどりつきました。

  • 日中に眠くならないように、ちゃんと夜寝ること

  • 午後イチに眠くならないように、お昼を満腹以上にしないこと

  • 眠くなってしまったときや、体調が悪いときの「引き際」を見極めること(「今日はまだこれしか書けてないのに!」としがみつくとろくなことにならない。明日の自分を信じて撤退する)

  • 一日の中でうまく休憩を入れること(集中できないときはいったん外に出て、家事や買い物など別のアクティビティをしてからコワーキングスペースに戻る。ただし人と会う約束はしない。エネルギーの配分ができなくなるので)

  • お気に入りの飲み物を用意すること(ティーバッグ数種と保温機能つきマグカップを家から持参し、コワーキングスペースでお湯をもらってその場で淹れる)

  • お腹が減りすぎないように、小腹を少しずつ満たす仕組みを作っておくこと(執筆をしながら食べられる、甘すぎないチョコとかナッツとかドライフルーツとか。日によっては休憩タイムに外歩きを兼ねて外で食べる。あんバタパンとか、たこ焼きとか)

  • 一週間に一日、必ず休むこと(わたしの場合、2日だと休みすぎで書く日常に戻るまでがつらい。できれば休みなしで書き続けたいのだけど、休まないと、知らず知らずのうちにペースと質が落ちる)

みんな些細なことばかり。でもこの小さな習慣が、体調や気分に大きく左右されないパフォーマンスを支えてくれています。

フリーランスは上司も部下も同僚もいない、とよく言われるけれど、経営責任を負う社長も、仕事をとってきてくれる営業マンも、お金まわりのことをやってくれる経理部も、福利厚生を担当する人事部もいない。

でも「ない」で済ませるわけにはいかなくて、自分の中に存在させておく必要があるんです。社長の自分も、最前線で働く自分も、経理の自分も、総務人事の自分も。

意外に「自分への福利厚生」とか「過重労働を抑制する制度」はなおざりにしがちで、そのために仕事の質が下がることがあるので(自分でそれに気づくまでにも時間がかかる)、とくに長期戦では、自分のなかの人事部の発言権を大きくしておくようにしています。

(【7】終わり)

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