2020年7月、印象に残った音楽作品
2020年7月によく聴いた&印象に残った音楽作品を書いていきます。順不同です。
※この月にリリースされたものではない作品もあります。
●PUNPEE『The Sofakingdom』
作品云々の前に、まずフューチャリングアーティストの発表の仕方が最高ですね。リリース発表時はコラボアーティストがいること自体伏せられていた(私が気づかなかっただけ?)んですが、リリース前日の配信番組で「このあと「夢追人」のMVを流します!」って言って、観たらまさかのKREVAが出てきて、そこで初めてKREVAとコラボした曲だったと知るという(笑)。
しかもおそらくPSG以外では初(???)と思われる、弟・5lackとのコラボも配信スタートと同時に発表。ラストの「Wonder Wall feat. 5lack」っていう曲なんですが、個人的にはこのEPの中で一番好きです。
5lackがPUNPEEに対して思ってることをちくちく言うんですけど、最後は<Million Jewelryは買えたけどもよ この関係は買えません 親に感謝>って言ってて、なんだかんだで兄貴を慕っているところを見せるのが超好き。ちょっとレトロなピアノも温かいし、ほっこりするナンバーです。
●Mom『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』
すごいヒップホップアルバムだ、と言われていたので聴いてみたんですが、ヒップホップ以外の要素も存分に入っている、実に奥深くて面白い作品ですね。歌謡曲やシティポップ、エレクトロポップなんかを自由に行き来している気がします。
ややダークで、日常生活にもファンタジーにも振り切れるシュールなリリックや、淡々と繰り出される歌/フロウは、正直最初はどう受け取っていいのかわからなかったんですが(笑)、1回最後まで聴いたらクセになりました。このアルバムが猛烈に聴きたくなる時があります、今も。
余談ですが、何もやる気がしない蒸し暑いだけの夕方に聴いてみたら、めっちゃマッチしました。今の時期におすすめかも。
●in-d『outdoor』
前作の『indoor』に比べたら、タイトルの通り若干音が明るくなっている気もするし、アグレッシブになっている気もします。
明るくなったというのは、前半の3曲。リバーブがかかっている上物の音が、穏やかな木漏れ日を想起させるようなものになってます。ちょっとうっとりしちゃうくらい、メロウで良い音。そしてそこに乗るin-dの低音くっきりボーカルがまぁ〜よく映えること。
前半が「淡」ならば後半は「濃」って感じで、後ろ3曲はアグレッシブな雰囲気。ビートが強めでクールなボーカルを聴かせるナンバーが並んでいる気がします。
ちなみに「Deadline feat. GAPPER」は昨年の「AVALANCHE 9」で運良く聴くことができました。ステージ前方の台に立ってバースをかます2人、めちゃくちゃかっこよかったです。
●BiSH『LETTERS』
さんざん「過激」だの「強烈」だのと形容されてきた彼女たちですが、そのイメージはもしかしたらだんだん薄れていくのかも、と思わされた1枚。
コロナ禍を受けて、諸々の予定を変更し急遽制作された本作。1曲目の「LETTERS」は、その現状をもろに反映した詞となっています。ざっくりいうと真摯な祈りのような言葉が並べられているんですが、歌声が誠実だから、ストレートに心が揺さぶられるんですよね。BiSH、ほんといい歌歌うな〜って。
「スーパーヒーローミュージック」も大好き。「プロミスザスター」に通ずるようなロックナンバーなんですが、もうBiSH×バンドサウンドの無敵さが詰まってる。これを聴きながら夜の歩道を歩いてたら、もうまじでなんだってできるような気がしました。
東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊を迎えて制作されたサウンドに、トゲのある言い回しが映える「ロケンロー」もお気に入り。まだまだこれから聴き込んでいきたいアルバムです。
●[Alexandros]『Bedroom Joule』
主に寝る時にお世話になってます。タイトル通りベッドルームで聴けるような穏やかな曲が詰め込まれた作品です。
でもしょっぱなから「Starrrrrrr」で、「叫ぶように歌うこの曲を、ベッドルームバージョンにすることなんてできるのか…?」と聴く前は疑っていたんですが、川上洋平氏はさすがでしたね。まるで子守唄を口ずさむかのように、声を潜めながら、柔らかく情感たっぷりに歌い上げていました。
それから音のアレンジもめちゃくちゃいい。バンドが既存曲を穏やかなバージョンに作り直す時、アコースティックギターに頼りがちだと思うんですが、今作に入っている曲はアコギも交えながら、ビートや電子音も駆使していて、バリエーションが豊富。エレピやシンセの甘い音色がたまらんのです。そしてトーンを抑えた川上氏の低音ボイスと相まって、さらに甘く聞こえます。うっとりしながらうとうとしちゃいます。
●NiziU『Make you happy』
結成されたばかりなのに、なんか歌に貫禄があるなぁ、と思いました。みんなボーカルにパンチ力があるというか、不安定な発声の子がいないというか。あとラップパートもキレがあるし、滑舌はスムーズだし、英語の発音はネイティブっぽくて聴いてて気持ちいいです。
それから、めっちゃ細かいんですけど「Make you happy」の1番Bメロの<何聴いて幸せ?>の語尾の「せ」を短く切る歌い方、好みです。笑 いいアクセントになっててかっこいい。これ、K-POPグループの人たちがよくやる歌い方じゃないかな、と思います。J.Y. Parkがディレクションしたのかな。
私が本作で一番好きなのは「Baby I’m a star」。サビのボーカルの独特なイントネーションがたまりません。これは日本の曲っぽくないというか、日本の曲を聴いてきた人だったらこういう譜割にはしないだろうな、と思いました。こちらもJ.Y. Parkが作曲されたそうです。
●イヤホンズ「記録」&「記憶」
アルバム『Theory of evolution』の頭の2曲なんですが、この2つがずば抜けて好きです。メンバーたちの会話を切り貼りしたような「記録」、最初から最後までラップのフロウでつないで、かつ環境音でサウンドを構築し、物語を聴き手の脳に叩き込んでいく「記憶」。
どちらも現実世界の音を使っているけど、コラージュっぽいからか不可思議な感じがします。それ故にどんどん耳と意識が曲に吸い込まれていく。
加えて声優ユニットだからでしょう、言葉がズバッと耳に刺さるシーンもあるし、背中がゾワっとするようなフレーズもあります。この2曲だけで余裕でノックアウトされちゃいました。
●ラストアイドル「大人サバイバー」
仕事関係で知り聴いた作品だったのですが、7月下旬はこの表題曲にめちゃくちゃ救われました。
<諦めるなよ!>、<自分自身信じろ!>、<前へ前へ歩けよ!>って一見すると常套句みたいに思えるんですけど、世界の冷酷さの細かな描写を踏まえて、ものすごくクールに、かつ静かに燃えているような熱量で歌われているから、心に真っ直ぐ突き刺さるんですよね。
個人的にショッキングで悲しいニュースを知った時にちょうど聴いていた曲だったので、なんか自分の人生についてすごく考えさせられました。<不器用な生き方を後悔するな>というフレーズ、とても沁みます。
またカップリングの「青春0対0」(2期生アンダー曲)もめっちゃ良い曲。<人生 勝ち越そうぜ 勝ち越そうぜ>はまじそれな!って感じだし、青春も0対0だったけどアラサーになっても0対0だなあ、としみじみ思います。笑
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