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きまぐれ本紹介#3 講談社文芸文庫

この本! ってことではないんですけど。最近、講談社文芸文庫ってすごいレーベルだなとひしひし感じているので、きまぐれ本紹介をしたいと思いました。

文庫のわりに値段が高めで、安くても800円くらいから。場合によっては1400円とかザラなので、率先して手を伸ばすことが今まであまりありませんでした。
ここ1年ちょっと定期的に参加している文学講座では「日本の短編小説を読む」というテーマが設けられていて、テクストも一応は指定されているのですが、ここ数回講談社文芸文庫が頻出しています。

おそらく、新潮文庫のようなメジャーなレーベルにはなかなか収録されない、そんなに広く読まれてはいないけれども価値ある作品をすくっているのが講談社文芸文庫なんだろうと思います。

例えばこんな感じ。



中野重治の「歌のわかれ」は講座の課題図書でした。川端康成の「禽獣」は今度の水曜日の講座のテクストです。これは凄まじい作品でした。
大佛次郎は最近読んでいるものです。

川端康成「水晶幻想/禽獣」には、大正14年から昭和9年までに書かれた8つの短編が収められています。「雪国」の最初の部分が発表されたのが昭和10年なので、それ以前の時代のものとして意味がある。と解説に書かれていたのが印象的でもありました。

実はわたしは「雪国」も「伊豆の踊子」も読んでいなくって。棚にはあるんですけれど。それより先に初期の短編集を読めたことはラッキーだったのかもしれません。川端文学のみずみずしさと生々しさと、彼の文学的才能の大爆発を堪能できる1冊だったので。

そして講談社文芸文庫のもうひとつの特徴として、巻末の「作家案内」の充実が言えると思います。写真も載っていたりとかして、これも価格に反映されていそう。若いころの川端って、すっごくかっこよかったんですね。白髪になってからの肖像しか見たことがありませんでした。

これまであまり機会がなかった人も、ぜひぜひ講談社文芸文庫の本を手にとってみてほしいなと思います。

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