見出し画像

わたしの読書遍歴

本好きな子どもだった。字をおぼえるのも早かったのではないかと思う。暇さえあれば「日本昔ばなしアニメ絵本」や「世界名作アニメ絵本」を読んでいた。幼稚園の時は毎月届く「キンダーブック」が楽しみだった。「なかよし」の読者でもあった。

小学校には図書室があった。読み放題なので最高!と思っていた。「こまったさん」「わかったさん」「かいけつゾロリ」「ズッコケ三人組」「モモちゃんとアカネちゃん」「パスワード」いろんなシリーズを読んだな。伝記も好きだった。高学年になると背伸びをしてシャーロック・ホームズシリーズをいくつか読んだ。なぜなら名探偵コナンが好きだったから。

中学校。図書室があったはずだけどどんな図書室だったかも、学校のどこにあったかも覚えていない。ほとんど足を踏み入れなかったのだろう。その代わり「週刊少年ジャンプ」の漫画のいくつかにハマった(コミック派だった)。特に思い出深いのは「テニスの王子様」と「ヒカルの碁」。前者はわたしが集めていて、後者は妹が集めていたのだ。縄張り意識が強い姉妹だったので貸してもらうための交渉が大変だった。

高校。ますます本を読まなくなった。今思うと信じられないけれど、国語の授業で満足していたからだ。わたしは教科書に載っていた夏目漱石の「こころ」にものすごく惹かれた。これは今でも年に一度は読み返すくらいわたしの中にどっかりと根を下ろしてしまった。「羅生門」や「高瀬舟」の授業も記憶に残っている。定番教材である「水の東西」などの評論文の面白さに気づいたのも高校時代だ。

大学。紆余曲折あって文学部の英米文学専攻に入学した。1・2年次は英語学に興味を持ってあれこれ履修したが、やはり文学領域で卒論を書こうと思い立った。

わたしが文学の面白さを知ったきっかけを一つ紹介したい。

「サルガッソーの広い海」という小説を扱うゼミに入ったのは大学2年次だった。これはシャーロット・ブロンテが書いた「ジェイン・エア」の裏側を描いた傑作だ。孤児だったジェインが家庭教師として住み込み働くお屋敷の主人と結ばれる話だが、その主人には実は狂人となった妻がいて、彼女は屋根裏に閉じ込められている。その狂人の妻がなぜこうなったかを描いているのが「サルガッソー」なのだ。
視点を変えると見える景色が180度変わってしまうことの衝撃。これはわたしが文学に出会い直した際に、自分には文学が必要だと確信した理由のなかではいちばん大きなものである。

スキやシェア、フォローが何よりうれしいです