えるだんどろ

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  • 日常のうた

    心のもやもやの隣に座って 世の中をながめると 闇がそれほど暗くない

最近の記事

生きる

立派なものは何も残せない 解決する何かを残せるわけではない じぶんがいたことは みんなの記憶からなくなって しまえばいいと 思っているのに ただのひとの ナマヌルさと、かなしみを 刻んでおきたいと思っている 天にのぼりそこねた亡霊が ここにもいたよと唱えて 生きている わたしでしかないわたしは いつか死ぬ 誰でもないにんげんのタマシイは 生きつづける

    • 黙殺するひとへ

      あなたは黙っている 自分はなにもできないからと あなたは黙っている 間違ったことをいわないように その黙殺がだれかのこころの 大爆発を引き起こしてしまうのに あなたは自分が守れないものには 口を出さない 窮地にいる隣人がいるのを しっていても 決して自分からなにかを言わない 隣人は思う わたしは このひとにとっての腫れ物で黒歴史で このひとはわたしをなかったことにしたいのかと すべての年月や 信頼や親しみや友愛をこわすほどに そのダンマリは巨大な圧力となる

      • 水平線

        水平線は世界がきめると思ってたけど その人の目の高さによって 違うもんでもある そのヒトの幸せの法次第 同じ水平線を見る 人たちが集まって 違う水平線を見る人たちと たたかって 折り合いをつけようとしている

        • イマジン替え歌

          想像してごらん  コロナで自宅勤務 つらい通勤もない 数歩でトイレいける 想像してごらん ときどきビデオ会議 パジャマのズボンのままでも 腕一本で働ける 想像してごらん 数十人の人が メール一本でのリストラ  あっはーぁぁん 君はフィクションと思うだろう だけどほんとのこと 僕だけじゃないんだ 不敵な微笑みで願うよ 僕の仲間がユーチューバーで成功するのを

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        • 日常のうた
          21本

        記事

          しごとをうしなう

          しごとをうしなう 20年以上はたらいてきた場所 たいそうな年月だ 生きている証とおもって働いていた しごとをうしなう いたずらかと思うほど突然に決まった 乱気流に乗って邪魔ものは流される しごとをうしなう ハレーすい星のゴムチューブや オイルショックのトイレットペーパーのように大放出 しかし 嘘でもデマでもないらしい しごとをうしなう 彼らと彼女らは残り私たちは去る しごとをうしなう 空を見る、手のひらを見る、切れた運命線を見る しごとをうしなう 昔から星の数ほど

          しごとをうしなう

          もうすぐおわる

          おわると思っていなかったけど 急に終わりはやってくる 日常は 盆提灯のように くるくると やわらかな 魔法にかわる まわりのひとのなかにも わたしが住んでいたのだと かれらもまた わたしの中で生きていたのだと その時が近づいて はじめてきづく 光の柱は あたたかく やわらかく わたしにとどめをうつ かれらも わたしも 遠い遠いところからやってきたのだと ゆうらり ふうらりと 引き離すように

          もうすぐおわる

          答えはいらない

          余白をください

          答えはいらない

          うつら宇宙の森へ

          てくてくと てぐりてぐれと  うすぐらい森の中 あるいてあるって 現れた湖には 見えないけれど 生き物がいっぱい 空の明かりをゆらして 底のアブクを逃がして 冷たい夜とぬるい昼を ずるずるまぜこんで 生まれたばかりのものや 半分腐ったものを抱き込んで この水くらいが ちょうどいい 生きてたわたし しぶといよ ずぶといよ 洗ってみようか きれいなのか きたないのか どちらでもいい うつら宇宙の森  日常に薄められた そのうしろの世界

          うつら宇宙の森へ

          ルビィ

          磨けば光ると信じて 箱にしまっていたら 磨いてあげないまま 箱が開かなくなってしまったよ

          ひとことふたこと多い人

          言わずに黙っているのは おかしい と思うと まるっとそのまま 伝えてしまう。 正しいと思ってるのは 自分だけで まわりには ほんとのことだとしても 聞かなきゃよかった 黙っててほしかったと 思われている あとでわかる 自分のガス抜き 他人の迷惑 せっかく中年なのだから ちょっと成長してみようぜ ダンディーなおばさん エレガントなおじさんに なろうぜ ひとことふたこと多い人 そんなおいら そんなおいら 昔のことを 語ったら かっこつけたつもりないのに ただ

          ひとことふたこと多い人

          あつい

          アスファルトにのたうつアブラゼミ つかまるもののないヒルガオの蔓 痛い皮膚 外出先は雑草の庭 アリとダンゴムシの平常運転 梅雨の時期からまだ残るドクダミ 今この時間もすこし季節がめぐる 赤いのか 太陽  続いている日常 家の中 家の外 いつもの年とは違う 実験動物のような行動範囲 開けにくい飴 覚えたてのジンのミルク割り 爪痕のこる膝裏のアセモ 一ミリも痩せない 今年の夏

          ザル

          角を曲がればそこに置き 立ち止まるたび そこに置く 握ったはずのスマートフォン 毎晩 自宅の不在着信 あなたはどこかと呼び掛ける 再放送だな、この番組 ここでMCダジャレ言い ここでゲストの服のほめる 披露したくなる豆知識 肝心なとこは 初耳で すげ~と つぶやき デジャヴュー感 見ざる聞かざる覚えざる 虫とり網をふりまわし ふわふわ空気をつかまえて カゴはからっぽ 駆け回る

          マヨネーズボディ

          わたしはマヨネーズ エアコンの風下に横になる 減らないマヨネーズボディ

          マヨネーズボディ

          金バッヂと 豚のまるやき

          勲章がなくても 正しいものは キラキラと  清廉な洞察は 霧を晴れさせる ドラマチックな かっこよさと 説得力 明晰さにも 憧れながら  手前のわたしは はだかのままで あぶられる 豚のまるやき 鮎の塩焼き  恥かしがっても 開きなおっても うらに おもてに そのままに

          金バッヂと 豚のまるやき

          小声

          つるつるの床をあるく 嫌われる黒い虫のように 小さな音 黒い虫がいるかもしれないと 思っていたら気づける音がある もしそれが地球の反対側の音であっても  意識の電線がはられていれば ひっかかったかもしれない そこのあなたの小さな声も  どこかの誰かの大きな声も  受信しようという すこし前のめりの 意識があったときだけ ちょっと聞こえる ゆびでつつく程度の 積極性  はずかしいから やっと声に出す げんき? の 言葉も いまさら言えない すごいね とか 

          疲労どろどろ おどろどろ

          疲労どろどろ おどろどろ うたわずさわがず かくれておどろ しゃれたことばは どこかにおいて もののけ いろめき 天井に よろめき まぶたの芯に 枯れ井戸みつけた みつけなくていいよと 言っている 疲労どろどろ もどろどろ 知らぬふりして かくれてもどろ つめたいことばは どこかにおいて なりふり それなり 無意味 空耳 あたまの中に 目覚ましみつけた みつけないでと 言っている

          疲労どろどろ おどろどろ