生存1日目　2020/04/20

＜おはようの、その前に。＞

・・・うちの会社は臨床試験の業務を請け負う事になったので、社員とアルバイトの方は新しい仕事を順次覚えて行っていただく事になります。今日の会議での報告は以上です。では執務室に戻ってください。

ーー4階大会議室での会議を終え3階の執務室へ戻る途中で、若い女性アルバイトの子にドヤ顔で話掛けているおじさんがいた。

「MRってのは医局の壁のシミになるまで立つのが大事なんだよねぇー」
「えーそうなんですかー？内田さん、何でそんな事知ってるんですかー？」
「結構前だけど、臨床試験の仕事してた時期があってさ。ちょっとは知ってるんだよね！」
「おー。それじゃあ色々と教えてくださいよ！」

ーーおじさんの心中や、ドヤ顔の反面で不安に駆られていた。

アカンわ・・・気楽な事務仕事だから続けて来られたけども、臨床試験の仕事はもう無理だわ・・・。ましてやこんな給料でだろ、やっぱり無理だわ。次の仕事探さんとなぁ・・・。
ともあれ上司に今後の相談しない事には始まらんか・・・。

「（上司さん）ちょっとお時間宜しいですか？今後の業務は続けられそうにもないので相談にきました。」
「そうか、わかった。」
「例えば導入研修とか、管理業務ならばお手伝い出来るのですが、そういった仕事はありませんか？」
「うーん・・・」

・・・

・・・目を見開いたところで、明るさは何も感じられない。夢か・・・。

ーー夢としっかり認識は出来たものの、あたりは夜のままだった。3時38分。だいぶ早い目覚めだ。頭がやたらと冴えてしまい、もう一度寝付く事は出来そうも無かった。最悪だ。朝6時に最初のメスチノンを飲まないと、一日のペースが狂って体調が悪くなる事は分かっていた。

ーー仕方なくスマホで動画を見るも、途端に両腕は強烈なダルさに襲われ、目も痛くなってきた。壁に頭を張り付けた体勢で横になり、目を瞑って考える事にする。

さっき見た夢は何だろう。何の意味があるんだろうか。大抵ワシが見る夢に意味なんて無いもんだが、それでも考えてしまうのがワシの悪い癖である。何かしら理由を見つけたがる、ダメな癖だ。

業務内容が変更になって、アルバイトをやめる・・・よくある話だ。上司に報告して終わり、なんてのも普通の光景だなぁ。少し違う所があるならば、自分が出来る仕事で雇ってくれないか、って交渉をした程度か。

ふむ・・・自分が出来る仕事をアピールして、その仕事で給料を貰おうとする。つまり、自分のスキルを金に換えるという事か・・・！誰かが提示した仕事を探して応募するのではなく、自分から仕事を作り出す。なるほど。そんな道筋があるとは思ってもいなかった。

残高から逆算すると、あと3ヶ月はなんとか生活を維持出来そうだ。この3ヶ月に色々な種を蒔いて、あわよくば収穫出来る事を望むのも良いかもしれん。求人情報はチェックしつつも、自分から積極的にアプローチして行くのも面白いかもしれんな。

よっしゃ！更に考え抜いて、自分の売り込めるスキルを固めるか！

～～妄想炸裂おじさん、通常運転のようでなによりです。～～

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