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山口真由さんとエプソン社員との座談会 『仕事もプライベートも自分らしく輝くには?』

2024年3月8日の国際女性デーに開催した山口真由さん講演会・座談会「新しい時代の女性の働きかた ~自分らしく輝く女性に!~」。

法学博士・信州大学特任教授の山口真由さんをゲストに迎え、エプソンで働く女性3名と実施した座談会の様子を紹介いたします。女性のキャリアや働きかたについての悩み、職場や家庭での男女差などについて、終始にぎやかに対話が進みました。

自分らしく輝くための心がけや行動、会社に求められていることについて、山口さんからアドバイスや考え方のヒントをいただきました。



座談会参加者 紹介

山口さんと女性社員が悩みについて本音でトーク!「女性の働きかた・キャリアのリアル」とは


―まずは、福本さんのお悩みをお聞かせいただけますか?
 
福本 : 「結婚、出産を経て家事・育児が忙しくキャリアが想像できない」のが悩みです。
私は日々奮闘しながら、3人の子どもの家事・育児と、部門内の小グループのリーダーをなんとか両立しています。入社以来、周りの同期と同じように仕事が楽しく熱中していたのですが、悩み始めたのは出産を経た頃です。出産を経験する女性は、それに伴い産休・育休を取得するので、他の社員と比べ昇進も遅くなると聞いていたのですが、私の場合も、周囲が着々とキャリアップするのに対し、遅れを取ってしまったと感じます。
出産後もバリバリ仕事をこなす自分をイメージしていたのですが、家事・育児が忙しく、短時間勤務をしており、キャリアアップからは少し遠のいている感覚があります。
     
山口 : まず、3人のお子様の家事・育児をしながら働いていることをすごく尊敬します!私も0歳の子どもがいて毎日をなんとか乗り越えている状況なので、仕事と家事・育児を両立しているのは、本当にすごいことだと思います。世の中の、育児をしている働く女性の多くが福本さんと同様の悩みを抱えているはずです。小グループでもリーダーを担っている福本さんのバイタリティは素敵だと思います。
 
福本 : 大きなグループのリーダーや管理職は業務量的にも短時間勤務では厳しいというお話を聞いたことがあり、今後、自分の責任範囲が大きくなることを考えると、キャリアについて迷いがある状態です。キャリアアップしたい気持ちと家事・育児が忙しいというジレンマにより、これから自分がどうしたいのか分からなくなります。5年後もまだ子育てが落ち着いているとは思えません。

山口 : よく世間では、女性が昇進に対してネガティブだと言われますが、
そうではないと思います。福本さんのようにキャリアアップをしたい女性でも、家事・育児が忙しい中で昇進オファーを受けると「自分でやりますと言ったからには、ちゃんとやらなければ…」となり、仕事と家庭に挟まれて苦しい状況に追い込まれます。
このような葛藤があるので、女性は出世に対してネガティブだという評価につながりやすいのだと思います。
 
これは個人や会社のみの問題ではなく、社会全体の問題です。
福本さんが勇気を出して言ってくださったことに共感し、勇気づけられる人はたくさんいると思います。
エプソンではそうしたリーダーへの昇進オファーに対して、本人が「短時間勤務(を継続できるの)であれば」など条件をつけて引き受けることはできないのでしょうか?

山口 真由さん


石川 : 職場の状況によるので一概に言えませんが、上司とよくすり合わせることが大切だと思います。
リーダーや管理職は短時間勤務をできないというルールはありませんし、短時間勤務でリーダーを担っている社員もいます。山口さんがおっしゃるように、働きかたの条件を決めた上でキャリアアップができるなど、会社として風土改革を進める必要性を改めて感じました。ご自身をロールモデルとして、短時間勤務でもリーダーを担えるということを社内に知ってもらうことはとても良いことだと思います。
 
福本 : 私だけではなく、育児をしている働く女性の多くが感じる悩みだということを聞けただけでも少し安心しました。これからも仕事と家事・育児に奮闘しながらの生活になると思いますが、私がロールモデルになることで救われる人がいて、勇気を与えることができるということを頭の片隅に置いておきたいと思います。


―続いて、神谷さんからお悩みをお聞かせいただけますか?
 
神谷 : 「自分らしさを大切にすることと、なりたい姿のために挑戦することのバランス」に悩んでいます。
私のなりたい姿は、営業としてエプソンとお客さまをつなぐ架け橋のような役割を担うことです。一方で、自分らしく業務できていると思うのは、資料を作成したりパソコンで作業をしている時です。営業として外に出ることで、自分が苦手と感じている対人スキルがアップすることも事実ですし、職場に対しても将来的にはもっと広い範囲で営業活動をしていくことが貢献につながると思います。

今後、少し無理をしながら苦手なことにチャレンジし続けていくのか、得意なこと・自分らしさを大切にしていくのか。どのようにキャリアを築いていくべきなのか迷っています。
 
山口 : 神谷さんの素晴らしいところは、自分らしさ・強みをしっかりと理解できていることだと思います。

私も講演で言ったように、「資料をとことん調べて、文章に書き出して、報告する」というのが得意なのですごく共感します。キャリアの選択において自分らしさを大切にするか、なりたい姿のために自分らしさから離れて苦手なことと向き合うかというのはすごく難しいですが、どちらを選んでも神谷さんなら周囲の人と上手にコミュニケーションを取れると思うので大丈夫だと思います。
 
しかし、これから神谷さんが自分らしさを大切にして、会社におけるパソコンでの資料作成などのいわゆる内勤の業務を続けた場合、しっかりと評価されるのか少し心配です。一般的に会社から評価されるイメージがあるのは、やはりお客さまのところに行って華々しくプレゼンなどを行う仕事の方ですよね。内勤の方がどれだけ裏で丁寧に段取りを組んでバックアップしていたとしても、プレゼンをして、交渉して、「成約を獲った人」が評価されがちだと思います。
 
会社のシステムとして、例えば、資料作り自体がスペシャリストとして評価される仕組みをきちんと作っていかなければならないと思いますが、石川さん、どうでしょうか。自分が得意なことで力を発揮している姿を誰かが見ていて、適正に評価してくれていれば、安心して自分らしさを出して、さらに大きな成果創出につながると思います。会社としても貴重な人材の流出を防ぐことができますし、そうした一人ひとりの努力やスキルというものにぜひ光を当ててほしいです。

石川 : 「できること・やりたいこと・求められていること」のバランスを
取るのは難しいですよね。上司や同僚から、「神谷さんが作った資料が
あったから商談が成功した!」と言われるようなことを何らかの形で残せる
と良いのだと思います。
例えば、これまでに各営業担当が個別に作っていた成功ノウハウの詰まっ
た資料をとりまとめ、成約までのプロセスを分析し、全員に共有する。
そのこと自体を「これが私のアウトプットです」と成果としてきちんと
残すことが大事ではないでしょうか。それが目標管理において上司との
認識合わせにもつながります。神谷さんがこれからどんな仕事を担当した
としても、上司や同僚とコミュニケーションを取りながら、工夫や改善点と
いったご自身ならではの足跡を示していく
必要があると思います。

人事部 石川さん


神谷 : 「自分らしさを大切にする」、「なりたい姿のために挑戦する」、どちらにしても周囲の方とのコミュニケーションの重要性を再認識することができました。これからどんな仕事を担当しても、周囲の方とのコミュニケーションを大切にすることで、努力やスキルを発揮している姿を見てもらえるよう頑張りたいと思います。さらに、目標管理で改めて上司と認識を合わせた上で自分の成果をしっかりと示していく必要があると感じました。


ー最後に、森さんからお悩みをお聞かせいただけますか?
 
森 : 「結婚や出産といったライフステージの可能性を考えると、今のように男性社員と対等に働くことができるのか」という漠然とした不安があります。
 
現在私はチーム内のリーダーを務めていて後輩社員の指導も行っており、自分の仕事に誇りを持っています。ただ、もしこの先結婚や出産といったライフステージを経験することになった場合、今まで通り働き、引き続きリーダーを担えるのかといった不安があります。
     
山口 : お話を聞いていると、森さんは私と似ている感じがして、親近感を覚えます。これまで、自分の強みを活かし、実績を残して今のポジションを獲得されてきたのではと感じました。そういった女性には「この先男性社員と対等に働けるのか?」という葛藤を持つ方が多いと感じます。森さんの周りには、ライフステージが変化してからも、以前と変わりなく働いている女性はいらっしゃいますか?
 
森 : 妊娠・出産を経て仕事に復帰する女性はいるのですが、そういった方に対する職場での雰囲気も気になっています。ライフステージが変わり、育児が忙しくなるので、職場の方が気を遣って「今日中にできなくてもよい仕事」を割り振っていると感じます。配慮かもしれませんが、それではチャンスから遠のき、今まで通り成果を出すことは難しく、成長を期待されていないように感じてしまいます。

山口 : 森さんの仕事に対する真摯な姿勢はとても大事だと思います。
今おっしゃった「育児が忙しいから難しい仕事は無理だろう」といった
バイアスがかかった雰囲気が社会全体を取り巻いているのは事実です。
 
エプソンでもそういった雰囲気を取り除くように、人事部が働きかけて
いると思うのですが、制度やルールが変わっても、人の心や風土が変わ
るのはすごく時間がかかる
と思います。エプソンの中で、制度やルール
に加えて風土も変化した成功例のようなものはないのでしょうか?

石川 : 成功例として男性の育休取得が挙げられます。現在は子どもができた男性社員の内、97%が育休を取得しており、男女関係なく育休を取る・取れる風土になりました。5年前まで取得率は20%に届いていなかったのですが、DE&I戦略推進部を中心とした働きかけにより、男性も育休を取るんだという風土を醸成できた良い例ですね。
 
その一方でお二人がおっしゃったバイアスがかかった雰囲気については課題があると感じます。制度やルールは整っていても、風土醸成にはもう少し時間がかかるのかもしれません。引き続き会社からの働きかけなど、性別に関わらず活躍できる風土が醸成されるよう取り組んでいきます。
 
森 : 私自身は、今まで通り仕事に真剣に取り組みながら、そのような風土を作っていく一人として行動していきたいと思います。今後もしライフイベントを経験することがあれば、パートナーと家庭のことを分担して、仕事も変わらずこなせるような関係を作っていきたいと感じました。


共感と勇気づけ!山口さんから働く女性へのメッセージ

最後に、山口さんから座談会参加者及びエプソン社員へメッセージをお願いいたします。     

山口 : 今回座談会に参加させていただき、私自身も働く女性として、日々のモヤモヤを打ち明けることができて、デトックスができた気分です。同じような悩みを持つ人たちと話し合うことにより、直接解決されなくても、気持ちや心が軽くなることは大切なことだと思います。
 
また、今日、人事課長の石川さんが参加してくださったように、ただのお悩み座談会にとどまることなく、悩んでいる社員の声を聞き、制度や風土を改革しようとしているエプソンは本当に良い会社だと実感しました。悩みを打ち明けるのはすごく勇気が要ることですが、今日の座談会により制度や風土改革につながったり、記事を見てくださったエプソン社員の皆様の心に何か変化があればとても嬉しく感じます。
 
私もしばらくは育児との両立に奮闘することになりますが、悩んでいるのは自分だけではなく、声を上げれば誰かが助けてくれるということを忘れずに、安心して日々励んでいきたいと思います。本日は座談会に呼んでいただき本当にありがとうございました。これからも一緒に頑張りましょう!


1時間では足りないくらいに活発な意見交換が行われた座談会でした。
この記事を読んでくださった方々にとっても自分らしく輝くためのヒントを得られる記事となっていれば幸いです。