ファウンド/Found(2012)
厳密にはホラー映画ではないかもしれないけど、わりと好きな作品の一つ。
私はマッチングアプリで出会った男性にこの映画を勧めた生粋の変人なので(もちろん彼とはうまくはいかなかったが)、もう再婚できなくてもいいやという想いも込めて紹介したいと思う。
あ、この映画を観て考察や感想を検索してここに辿り着くような、素敵な貴方となら気が合うかもしれません。
<ざっくりあらすじ>
11歳の内気な少年マーティ。彼は兄スティーブのある恐ろしい秘密を知っていた。兄の部屋のクローゼットの中には生首が隠してあるのだ。自分の兄は恐ろしい殺人鬼なのか?自分もいずれそうなってしまうのだろうか?いつも自分を守ってくれるスティーブに対する憧れと恐怖の狭間で弟の鬱屈は続く。やがて事態は取り返しのつかない状況へと進展していく。
<感想>
※以下ネタバレを含みます※
物語は少年マーティの一人称視点で進んでいく。
兄が人を殺害して生首をコレクションしていることは明らかなのだが、どうしてそのようなことに手を染めたのかは劇中で一切触れられていない。ただ、弟マーティへの愛だけは本物なのだ。この兄弟愛がスプラッターものでありながらジュブナイル感を演出している。兄弟がいる身としては、この「親には分かんないけど、うちらには分かるよね」感がどこか懐かしくむず痒い感情を呼び覚ます。
ちなみにこの映画、あまり起承転結ははっきりしておらず、翻弄されるマーティを見守るスタイルで話が進行していく。
最初は内気だったものの、ちょっかいを出してきた相手にやり返したり、世間体ばかりを気にして子供の意見を聞こうとしない両親に反発するようになるマーティ。両親は大激怒。そこで弟を庇ったスティーブは勘当され追い出されてしまう。ちなみにこのシーンのスティーブは「俺の弟に手を出すな」感があり、とても格好いい。一度は家を出たものの、弟を守らなければと思ったスティーブは自らの手で両親を殺害。母親を犯しているようなシーンも一瞬映る。その狂気を目の当たりにした弟は号泣。なぜ泣くんだ、、?と困惑したスティーブは、弟を両親の遺体の間に放置して、全裸&血だらけで出ていってしまう。
スプラッターシーンはチープ感が否めないものの、全体的に静かに進行していくストーリーがよけいに不穏な雰囲気を醸し出し、無駄に(失礼)美しい景色とややレトロな映像が、北欧の作品のような不気味さを演出している。
そしてなんといっても、劇中でマーティと友人が怖いもの見たさで鑑賞している「Headless」というスプラッター映画が印象的だ。仮面を被った男が女性を殺害し、解体し犯すという物語なのだが、グロさも去ることながら犯人の性的倒錯がメイン。生首に突っ込むシーンは強烈だ。この映画は一部で熱狂的な支持を集め、なんとスピンオフで独立して作品化されているらしい。あぁ世界は広い。
思春期に突入していく少年の痛みを伴う成長と、暴力という形でしか自己表現できないが弟への愛が溢れる兄を描いた、ちょっぴり爽やかなグロ映画だ。万人にはお勧めできないが、意外とネット上での評価は高いので、興味を持った方は鑑賞してみてほしい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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