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哭悲/THE SADNESS(2022)こちらの列車は"地獄"行きです。

 数々ホラー映画を観てきた私が、もう二度と観たくないと感じたのはこの作品が初めてだ。でも映画紹介を銘打ってnoteを始めたからには、これをスルーする訳にはいかない。「もうあのオヤジに会いたくないよーーー」と心の中で叫びながら仕方なく再鑑賞することに。

 開始15分で訪れる後悔と絶望。
あぁ夜ご飯食べたばかりなのに。

<あらすじ> 
 アルヴィンと名付けられたウイルスが蔓延する台湾。感染しても症状は軽いと考えられていたが、ウイルスが突然変異を起こし感染した人々を凶暴化させていく。ありとあらゆる残虐行為を繰り広げる感染者たちが街に溢れ地獄絵図と化していく。恋人ジュンジョーと離れ離れになったカイティンは、彼を探しながら必死に逃げ惑う。

<感想>

※ネタバレするかもしれませんが、多分そんなことはどうでもいいです※
※ショッキングな表現が含まれます※

 開始15分くらいかなぁ。
フライドポテト婆が店員の顔の皮をひっぺがしてからというもの、視聴者の心に平安が訪れることはない。そのまま地獄行き電車の中で変態オヤジと出会い、病院ではまたオヤジに追われる。こいつの存在感と言ったらほぼ主人公である。

 映画全体の血しぶきの量でいったら死霊のはらわたに匹敵するだろう。いや、それ以上かもしれない。ただ首や腹を喰いちぎるだけではない。腕をへし折ったり、眼球を傘で突いたり、鼻やアキレス腱を食べたり。とにかく痛々しい方法で襲ってくるのだ。いっそのこと一思いに殺してほしいがそうはいかない。

 そう。この映画の特徴は、なんといっても感染者たちの残虐性だ。よくあるゾンビものとは少し違い、このウイルスは脳に影響を与え、感染した人間は拷問のような残虐なことをして相手を痛めつけたいという欲望に駆られる。性欲も抑えることができず、強姦したり感染者同士でいたしているシーンもある。通常のゾンビはただの餌として人間を襲うが、こいつらは相手をいたぶりたいのだ。そういう意味ではキリスト教の悪魔のやり方によく似ている。ただ彼らは自分が何をしているのかは理解しており、やめたくてもやめれないが故に罪悪感から涙を流す。

 普通のゾンビものだと「一回噛まれてゾンビになれるなら、そっち側にいってもいいかな。これを機に人間やめようかな」って思えなくもない。でもこれは捕まったら最後、めちゃくちゃ痛い思いをしなければいけないので純粋でストレートな恐怖なのだ。猟奇的な殺人鬼から逃げているような感覚になる。

 傘で眼球を突き、その穴に自らのモノを突っ込む変態オヤジ。最後自分でも変態って言ってたしな。最後は特に感染している訳でもないシラフのカイティンにオーバーキルされててちょっと笑う。実際に殺害する際に絶頂に達する殺人犯も多いと聞くし、相手を支配したいという感情は性欲との結びつきが強いのかもしれない。

 カイティンの麗しさだけが我らの希望。
ジュンジョーは最後切ないね。でもあなた伊藤淳史だよね??

 100分で観られるこの世の地獄。
ダイエット中で食欲抑えたい方は是非ご鑑賞あれ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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