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アス/Us (2019)

 もう一度観たいと思っていたら、いつの間にかアマプラで無料になっていた。うっひょー。ジョーダン・ピール監督作品。ストーリーというより不気味な魅せ方が天才的に上手な映画。ラストで「え、お前もなの?いつから?もしかして…ずっと?」ってなって無限ループにハマる、そんな映画。おもしろいよ。

〈あらすじ〉

夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンとともに夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れたアデレードは、不気味な偶然に見舞われたことで過去のトラウマがフラッシュバックするようになってしまう。そして、家族の身に何か恐ろしいことが起こるという妄想を次第に強めていく彼女の前に、自分たちとそっくりな“わたしたち”が現れ……。

映画.com

<感想>

※以下ネタバレを含みます※

 3回目くらいの鑑賞だが、やっぱり偽ファミリーの不気味さが最高だ。微動だにせず立っているだけで不気味だし、偽息子はなぜか四足歩行(この設定いいよね)。猟奇的で野蛮な彼らにはまるで言葉が通じない。あからさまな化け物よりも人間の姿をした変な奴の方が何倍も恐ろしい。

 黒人家族同士の争いになるのかなと思ったら、まさかの白人家族も瞬殺されて意表を突かれる。そう、クローンは誰にでもいるのだ。彼らは地下で抑圧された生活を送っており、現実世界の本人に影響されて似たような経験をするが、そこにはれっきとした差がある。言葉も発することができず、全てが下位互換されたような彼らの悲惨な人生は確かに同情を誘う。団結した彼らは文字通り手と手を取り合い、今まで自分たちを虐げてきた人間に復讐し始めたのだ。

 割と冒頭でこのクローンと出会うので、途中の追いかけっこで若干失速してしまうのは否めないが、ママが覚醒した辺りから少しコメディ感が出てくるので面白い。すっかり殺戮に慣れた家族は倒した敵の数を競い始める。ゲットアウトは始終シリアスな雰囲気だったが、こちらは中盤で少し肩の荷が降りるタイミングもあるのが特徴だ。


 最後に明かされる大オチは観ていれば誰でも分かるのだが、気になるのは最後に車の中で行われる息子ジェイソンとの目配せだ。アデレードは息子に向かってニヤッっと意味ありげに笑ってみせる。ジェイソンは訝しげに見つめ返すのみ。もしかすると映画序盤で迷子になった際に彼もまたクローンと入れ替わっていたのだろうか。しかし、そうだとすると何故それまで普通にしていたジェイソンが突然四足歩行になり、顔面を火傷した痕があるのかは不明だ。クローンたちの最終的な目的も不明瞭で、こうやって少しずつ人間社会を乗っ取るつもりなのか。それとも自分さえ地上で良い生活ができればそれで良いのか。考察の余地を残す終わり方だ。

こんな風に映画を観た後にあーでもない、こーでもないと考えながら考察サイトを読み漁る時間が最高に幸せ〜な私。観た人によって意見が違うのも面白いし、自分の中で「あの主人公は絶対幸せになれた」って決めて心にそっとしまうのもいい。

どうでも良いけど、登場人物みんな足速すぎてビビった。私のクローンは運動音痴なはずだから出会っても逃げ切れます。安心してください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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