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ヴィーガンズ・ハム(2021) 何故か元気が出る映画
公開当時かなり話題になったフランス産ブラックコメディ。内容は何となく知っているけど結局観てないあなたへ。本作は設定のアイデアは奇抜で面白そうなのに結果スベッてしまうタイプの映画ではない。スプラッター、コメディ、そして社会風刺という要素をバランスよく盛り込み、小気味良いテンポでさくっと観られる良作だ。Netflixオリジナルドラマ「サンタクラリータ・ダイエット」が好きな人はもうぜっっったい好き。
ちなみに私はコオロギ食べるくらいならこのハム食べます。
<あらすじ>
結婚して30年になる肉屋の夫婦ヴィンセントとソフィーは、結婚生活も家業の経営も危機に陥っていた。そんなある日、店がビーガン活動家たちに荒らされ、ヴィンセントが犯人の1人を殺害してしまう。死体の処理に困ったヴィンセントは、ハムに加工して証拠隠滅を図る。しかしソフィーの勘違いでそのハムを店頭に並べると、思わぬ人気商品となり……。
<感想>
※以下ネタバレを含みます※
この映画の一番の見どころはヴィーガンが殺されるという設定でもなければ、ハムに加工するための死体解体シーンでもない。主役夫婦の愛すべき人間性だ。一見妻の尻に敷かれているように見える気弱な夫ヴィンセントだが、実は妻ソフィーのことが大好きでかなりのお調子者。だんだんこの夫に小動物的な可愛さすら抱いてしまうから不思議。
私の好きなシーンを紹介する(下ネタ注意)
夫ヴィンセントは何かにつけ「こんなことは間違っている」とヴィーガン狩りから身を引こうとする。そこで妻はあえて夫を怒らせることを言って喧嘩をし、自分を口説いてきた若いヴィーガンの男を自宅に連れ込む。「正気か?」と呆れる夫に「キスがすごく気持ち良かった」などと言って怒りを煽るのだ。それでもまだ殺す決心がつかないヴィンセントだが若い男はヤる気満々。全裸でゴムをつけながら「お前は見てるのか?それとも3P?」とヴィンセントに尋ねる。怒りが大爆発したヴィンセントは男を撲殺。まんまと妻の作戦にハマり、新たなハム要員を獲得する。
男の殺害直後に突然彼氏と同棲している娘が帰ってくるものだから大慌て。ヴィンセントは顔についた返り血を熱帯魚の水槽で洗い流し、夫婦揃って娘を追い出してしまう。娘カワイソスw
こんな感じでブラックな笑いが映画全般に散りばめられており、同じような題材のスウィーニー・トッド(私は大好き)よりもライトな作品に仕上がっている。”BORN TO BE WILD”のBGMに合わせて野生動物の狩りとヴィンセントの狩りを対比するシーンもコミカルで好きだ。交尾のシーンも面白い笑
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肉屋を襲撃する過激なヴィーガンガチ勢もイメージ通りに描かれている。動物虐待には反対するのに人間を拘束することは厭わない。鼻持ちならない同業者夫婦がとにかくウザいのだが、特に違法なことをしている訳ではなく悪いのは完全にヴィンセントたちなので、勧善懲悪的なラストもしゃーなし。
アイディア一発勝負で話題作りをしたいだけの映画ではなく、ブラックコメディとして十分見応えのあるクオリティに仕上がっている。さすがです。食わず嫌いしている方は是非お試しあれ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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