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好きな漫画のはなし! ~血と灰の女王編~



 えぽっくの若松です!
 もう3月後半…年度末の慌ただしい雰囲気がそろそろ漂っていますね(笑)。


 そんな慌ただしさを見ないようにしながら(笑)、今回は二度目の【好きな漫画のはなし】を書いてみようと思います!


 以前にも漫画についての記事を書いたことがありますが、僕は漫画が好きで日頃からよく読んでいます!漫画、ドラマ、映画などの娯楽は、ただ楽しいから観たり読んだりするものでもあると思いますが、やはり名台詞や名シーンなどに触れると自分と重ねて考えてみたり、学びになることも多々ありますよね。


 年度末の慌ただしさに負けないために(?笑)、最近マイブームの漫画【血と灰の女王】をご紹介しつつ、僕が感じていることを書いてみたいと思います!


 ※一部台詞などを引用していますので、気になる方はご注意ください!

■どっちが勝つのかわからない?【血と灰の女王】の面白さ



 現在、コミックスとアプリで連載されているバコハジメさんの漫画、【血と灰の女王】。

富士山が噴火して以来、日本の、そしてこの街の夜が一変した。
火山灰をかぶった一部の人間達は驚異的な力を誇る闘争型ヴァンパイアとなり血で血を洗う殺し合いを開始。トップに立った者は全世界を支配するルールの中で、主人公・ドミノが這い上がる!!
表現コードギリギリの筆致で描く閲覧注意のダークホラーバトル!

https://urasunday.com/title/243


 「ダークホラーバトル」と公式に書いてあるので、ストーリー的にも絵のタッチ的にも、万人受けは難しい漫画かなと思うのですが、2月まで投票受付をしていた、アニメ化してほしいマンガランキングにノミネートされるなど、注目されている漫画であることは間違いありません。


 僕が思うこの漫画の魅力は、まずキャラクター設定がとてもしっかりしているところです。残忍な行いをするキャラクターであっても、「なぜそうなったのか?」という背景や経緯が一人一人しっかりとストーリーになっています。メインのキャラクターから脇役まで、人間味を感じるところがさまざまな場面で共感を呼び起こし、時に考えさせられるのだろうと思います。


 さらに、王道バトル漫画ではあるあるだと思うのですが、どんなに強い敵が現れても、読者は「最後は主人公が勝つんでしょ?」というある種のセオリーに沿って、一定の予測範囲内で安心感を持ちながら無意識に読んでいますが、この漫画は、「どっちが勝つのかわからない…!」と予測できないところがあって、ハラハラと感情を揺さぶられるのも魅力的です。


 ヴァンパイアの王になるために、真祖しんそと呼ばれる王候補たちは仲間をつくりながら戦っているのですが、一方よりも力や能力が勝れば勝つ、という単純な構図ではなく、「持っている理想、信念の強さ」という目には見えない僅かな差が勝敗を決めています。別の表現をすると、王候補ではない並みレベルのヴァンパイアであっても、理想や信念が高ければ強く、逆に何も持っていないと圧倒的に弱い。


 たとえば、「飢えのない世界をつくる」という理想を掲げて邁進する中で飢餓が減ってきて(元の理想が少しずつ近づいてきて)、「自分がこのままこの理想を掲げ続けることに意味があるのか?」と少しでも疑った瞬間、この理想は揺らぎます。あるいは、「血筋や権力などに左右されず、誰もが等しく評価されるような公明正大な世界をつくる」と掲げていても、結局、自分の仲間に少しでも情けをかける心があると、この理想には陰りが生じます。


 このようにどんなに強くても、自分の理想、信念が揺らいだりすると、ギリギリのところで負ける。「どっちが勝つのかわからない…!」ところに魅了されている読者は、僕だけではないと思います(笑)。

■強さとは?リーダーとは?



 たとえば会社という組織を考えたとき、お金はある意味で武器になるので、「強さ」の指標とすることができるかもしれません。業務を続けるにも人を雇うのにも当然お金が必要ですが、お金という強さがあればどんな会社でも人がついていくかというと、そうではないですよね。


 主人公ドミノの仲間であるぜんという高校生は、かつて自分の命を救ってくれた先生(医師)を慕い、尊敬していましたが、先生は自身の子を亡くしてしまったことをきっかけに、人が変わってしまいます。真祖を倒し強くなるという目的のために手段を選ばない先生に対して、善がこんなことを言っています。

「ドミノが強いから、皆、協力している訳じゃない。
優しさや正しさ、善意を戦いの中で示し続けたから。
それに心を動かされて…真祖にだって立ち向かう。」


 この台詞で言っている「強い」とは、文脈から戦闘能力の高さのことを指していると思います。では、僕たちの現実世界では、何を持って「強さ」というのでしょうか?それは人によって違うかもしれません。お金かもしれませんし、権力や地位かもしれません。でも、お金や権力や地位が人より勝っていて、それが「強い」と定義されても、それだけで人はリーダーについていくわけではありません。


 この漫画のテーマである理想や信念に共感したり素晴らしいと思えばこそ、人はその人の話を聞きたくなったり、一緒に仕事をしたいと思ったりするのです。理想や信念もなく、ただ立場や権力を振りかざしていたって、誰もついていかなくなるよな、とこの台詞を読みながら思いました。


 もう一つ、「強さ」に関連する台詞があります。
 真祖の一人である日ノ元ひのもとが、「強いというだけで、好き勝手やってきたんだな」と責められ、返した言葉が印象的です。

「強ければ、望むがままに生きられるとでも?
強いということは、望まれるということだ。
(中略)
心身を削る決断の連続。
それが強者の人生だ。」


 一族を背負って戦い、傷だらけの手になった日ノ元ならではの台詞だと思います。強ければ、何でも自分の思い通りにいくわけではない。強くなればなるほど背負うものも大きく、それが理想や信念を貫く者となると、軽い覚悟では成し遂げることはできないでしょう。


 真祖たちにはそれぞれに右腕的存在がいます。真祖たちはそれぞれ全く異なるキャラクターでありながら、それぞれの右腕から、「お前はこういうところが甘い」などと同様の弱点を指摘されています。その弱点が、いわゆる情や優しさであり、作中の戦闘シーンで仇となってしまう場面も描かれています。


 戦闘がメインの漫画ですので「強さ」を追求していきますし、読者としても「強さ」について考えさせられたりしますが、実は僕はこの漫画の真のテーマは「優しさ」なのではないか、と思っています。


 連載中の漫画ですのでこの先どんな展開になるかわかりませんが、きっとヴァンパイアの王であるゴアと対決する際に、人間が本来持っている優しさが必要になってくるのではないか?と僕は個人的に予想していて、その辺りも楽しみに、この先も読み進めたいと思っています。


 …というわけで、いろいろと書きましたが、キャラクター設定がしっかりされているので深く入り込んで楽しめるのと、ヴァンパイアという設定が現実離れしているのに実はとても人間味を感じられる秀逸な作品だと思います。「もう少し有名になっても良いのに!」と思う漫画です!ぜひ読んでみてください!




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