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「ePlugOne」的ワード解説(1)「ハイベロシティIT」

デジタル化やDXを適切に進めるための前提となる「ITサービスマネジメント(ITSM)」。その本質をよりよく理解するために、毎回1つのワードを取り上げ、「ePlugOne」的視点で解説する記事です。今回のテーマは「ハイベロシティIT」。

※そもそも「ePlugOne」って何? という方はこちらから

「ハイベロシティIT」とはずばり、デジタル時代に合った「ITサービスマネジメント」を実現する手法の1つです。

まずは「ハイベロシティ(high velocity)」という言葉から説明しましょう。これは「high(高い)」と「velocity(速さ)」が組み合わさった言葉で、「高速」という意味です。どんどん変わっていく状況に対して速やかに対応できる状態を実現するIT環境のことを「ハイベロシティIT」というのです。

ビジネス環境が目まぐるしく変化する状況が当たり前、それが現代の特質です。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4単語の頭文字を取って「VUCA」の時代とも呼ばれます。未来はますます予測困難になっていきます。新しい技術や新しいサービスが次々に世に出てきて、それに伴い新しいビジネスの可能性もどんどん広がっていきます。

ところが問題なのは、このような変化に対しては「準備」をしておかないとチャンスを逃すのです。「VUCA」の時代に必要な準備とは、変化に柔軟に対応し、ITサービスの迅速なリリースと、継続的な改善を行うことができる環境を持っておくことです。これを実現する環境が、「ハイベロシティIT」なのです。

いまや「ハイベロシティIT」の確立は、必要不可欠といっても過言でないかもしれません。

達成すべき「5つの目標」


では、どうすればいいのでしょうか。「ハイベロシティIT」を実現するための基本的なアプローチに、「リーン(lean)」「アジャイル(agile)」という考え方があります。

「リーン」は、「顧客への価値創出に対してムダをなくす」という考え方。検証と改善を繰り返しながら、顧客への付加価値を提供できる領域に資源を集中させていくということです。

「アジャイル」は、プロダクトに必要なものを細かく分割し、小さな単位で優先順位の高いものから反復的に開発を進める手法のこと。こちらも「リーン」同様、検証と改善を繰り返していくことがポイント。そうすることで開発工程の迅速化を図っていくわけです。

また「DevOps」 も、デジタル時代に求められるITSMを実現する上では効果的なアプローチの1つです。これは開発チームと運用チームの協働により、開発から運用までのスピードをさらに上げるやり方。技術的な課題だけでなく、マネジメントの考え方や組織文化を変革させなければ、成果を得られません。これは「アジャイル」においても同様です。

「ITIL® 4」では「ハイベロシティIT」を実現して、達成すべき目標が設定されています。

↓「ITIL®」に関する解説はこちらから

それは「価値ある投資」「迅速な開発」「レジリエントな運用」「価値共創」「保証された適合」の5つ。もう少し詳しく、1つずつ見ていきましょう。

1.価値ある投資……投資対効果の判断を迅速に行い、かつ継続的に評価することで、投資を最適化し続ける

2.迅速な開発……顧客のニーズにスピーディに対応するため、サービス設計からリリースまでの時間を短くする

3.レジリエントな運用……強固なITインフラの構築と同時に、障害が発生した際に迅速にサービスを復旧させる

4.価値共創……ステークホルダーとのコラボレーションを通じて価値を創造する

5.保証された適合……GRC(ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス)戦略に準拠する

「ハイベロシティIT」環境を継続的に運用し続けるのに必要なのは、これら5つの目標を全て達成すること(このうちの一部だけではハイベロシティITになりません!)。それが、デジタル時代に合致するITSMを実現するためには重要なのです。

どのようにこれらの5つの目標を達成するのかを学びたい方は、ぜひ以下のリンクから「ITIL® 4 ハイベロシティIT」にご参加ください。

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