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【782回】「家なき人のとなりで見る社会」その1

小林美穂子「家なき人のとなりで見る社会」とは、ホームレスや生活に行き詰まった人たちの生活困窮者支援を続けている小林さんの、怒りと願いを書き綴った本である。

一気に読んだあと、一息ついて、ふらっと近くのスーパーに買物に行った。
ほうれん草、レタス、トマト…あふれる野菜。
納豆、豆腐、ラーメン、キムチ…刺し身から豚バラ肉、ソーセージ、パン、醤油、味噌、ふりかけ、おかし、コーヒー、サラダ、ピザ、プリン、唐揚げ、カツ丼…書き出すときりがないほど食料にあふれている。まわりの人たちは、忙しそうに、思い思いの商品を手にとって、かごに入れていく。

僕は、空っぽのかごを持ったまま立ち尽くす。悲しみが襲ってきた。
僕も、手に取った商品は、値段を比べて、安いものを探しながらも、購入はできる。
ところが、これほどあふれるほど食料があるのに、入手が難しい人たちがいる。
お金がない、住むところもない。だから、福祉事業所へ行き、生活保護を申請する。それなのに、この書類ではダメだとか、用意された施設へ行けとか、法律を無視した言葉をぶつけられる。親族が養えるかどうか、扶養照会をすると言われる。

物があるのに、届かない。
生活保護という制度があるのに、生存権があるのに、届かない。
どういうことなのだろう、と立ち尽くす。

「家なき人のとなりで見る社会」には、生活保護申請時の行政側による悪質な水際作戦や、扶養照会による生活保護申請のハードルの高さ、生活保護打ち切りについて書かれている。北海道でも、似たようなことが起きているのか?と唇を噛む。



ありがとう。北海道にも届いています。

2月18日付の北海道新聞に、雨宮処凛さんの書評が掲載されていた。気になり書店で、残り1冊だったところを購入。本当に、出会えて良かった。

この本の感想はもう1つある。
声を上げる人や支援を受ける人に、辛辣な意見をぶつける人がいる。特にSNSなどネット上では匿名で、汚い激しい言葉を使う人がいる。小林さんも、言葉をぶつけられ炎上した経験をお持ちだ。ところが、そこから「あ、そうだな」と思ったことがある。
別記する。


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