のらねこ

読書記録やつぶやき。まずは1000回書いてみる。

のらねこ

読書記録やつぶやき。まずは1000回書いてみる。

マガジン

  • 本、読んだで。

    読んだ本の記録です。浅く軽く、書き残しております。

  • 20世紀末・北海道自転車1周記

    1990年代、自転車で北海道を1周しました。当時の記録を見ながら、今の記憶と合わせて、旅行のエピソードを書きます。

最近の記事

【820回】「人権宣言集」

マグナ・カルタ、権利章典、アメリカ独立宣言、フランス人権宣言そして世界人権宣言。社会科の教科書に出てくる定番を読む。 この本は、人権と人の歴史を語る資料集みたいなものだ。 教科書には載らない宣言を見る。それが面白い。 アメリカ独立宣言より前に登場したヴァージニアの権利章典。 社会権に触れたドイツのワイマール憲法。 この国は社会主義国家だ!と第一条で宣言するソ連の憲法。 もとから与えられた権利である人権が、隠されないようにしなければ。歴史から学ぶ。

    • 【819回】杉原泰雄「憲法読本 第4版」

      日本国憲法の誕生経緯と、日本国憲法に沿った政治がされていない現状について読み、ため息をつく。 日本国憲法がいかに権力者にとって邪魔にされてきたか。今の権力者は一刻も早く改憲したいのだ。自分たちの権力を押さえる憲法は目の上のたんこぶなのだ。 日本国憲法が、いかに国民から遠ざけられてきたか。国民が声を上げないようにしたい。知らないままでいてほしい。権力者にとって不都合だからだ。 この憲法を知り、憲法の内容を守らなければ、権力者にとって都合のよい政治が進む。 たとえ改正をする

      • 【818回】「あたらしい憲法のはなし」

        「あたらしい憲法のはなし」 1947年(昭和22年)から5年間、中学一年生社会科の教科書として使われてきた。 日本国憲法が登場した頃の中学生に、とにかくわかりやすく、日本国憲法の理念を伝えようとしている。 主義とは何か。 権利とは何か。 用語の説明を端的に示してくれる。今でも役に立つ。 意識しないといけないと思った箇所は、責任についての記載だろう。 国民全体で国を治めるのだから、投票の棄権は、国民の大事な務めを果たしていない。 棄権は国民の大事な権利を捨てること。 大事

        • 【817回】土井敏邦「ガザからの報告」

          ガザで生きている当事者の声を読む。 イスラエルに追い詰められたパレスチナ側。その抵抗運動としての、ハマスの攻撃。そのような捉え方は間違いだった。ハマスも、パレスチナを苦しめている。 しかし、ハマスそのものについて調べれば、違う姿も見られるかもしれない。 ハマス側を取材した本を発見した。 これも読めば、さらに現地のことがわかるのだろうか。

        【820回】「人権宣言集」

        マガジン

        • 本、読んだで。
          54本
        • 20世紀末・北海道自転車1周記
          7本

        記事

          【816回】灰谷健次郎「砂場の少年」

          灰谷健次郎「砂場の少年」を読んだ。 読むのは3回目かな。それにしても、ストーリーを覚えていないものだ。 中学生で、スマホ、SNSの世界を活用する時代で、1990年という平成初期の物語に触れる行為にどのような意味があるのか。 迷いながらも読み終えた今、共通項があったな。 昔も今も、一つの課題だ。 大人は、生徒を、同じ人間として見ているのだろうか。 大人は、生徒と同じ視線に立てるだろうか。 大人は、生徒の声に耳を傾けることができるだろうか。 教師も生徒も、家族さえも。 疲

          【816回】灰谷健次郎「砂場の少年」

          【815回】前田康裕「まんがで知るデジタルの学び3」

          本書では、教師が力を合わせる姿が描かれる。 その苦悩も、力を合わせた結果も。 何よりも、小中学校という異校種がチームになる物語がよい。 幼小でも、特別支援学校の学部内でも、異なる部署が協力できたら。 読んだあと、10年以上前の職員室に戻っている自分がいた。 その頃、Excelが苦手だ、仕事が進まないと訴えた同僚がいた。 何を言ってるの?という思いが湧き上がり、僕は大きな声で、言葉を吐いた。 「子どもに変化を求める大人が何を言っているのか。勉強してできるようになればいい」

          【815回】前田康裕「まんがで知るデジタルの学び3」

          【814回】人を利用価値のある物質のような言葉とは距離を置きたい

          人材という言葉。 人財という言葉。 人を利用価値のある物質のような言葉とは距離を置きたい。 僕は生物だ。 人だ。 なにかの得意と、多くの不得意を持つ。 僕という人なのだ。 材料として、消耗品のように扱われるのか。 たしかに、組織からすれば、単なる一兵卒。 僕の代わりはいるだろう。 でも、僕が歩んできてこれから歩む、僕という存在は、世界に一人しかいない。 世界に一人しかいない。みんなそれぞれ一人しかいない。 使える。使えない。仕事では、能力で人を判断してしまう傾向

          【814回】人を利用価値のある物質のような言葉とは距離を置きたい

          【813回】宮川ひろ、小泉るみ子「しっぱいにかんぱい!」

          リレーのアンカーを務めた姉に、突然の失敗が… チームの期待を背負って走ったのに。大きなミスが宣告される。みんなのがんばりを台無しにした… 落ち込み布団にこもる姉。 ところが、姉の祖父は失敗に乾杯するという。 失敗の回復には、語ることが薬になる。 語って、なにか心の変化が、わずかにも現れたら、それは回復への兆し。 それでも、高まったり落ち込んだり、気持ちの上下はあるかもしれない。 語り続ける。 語りはケアなんだなあと実感できる本だった。

          【813回】宮川ひろ、小泉るみ子「しっぱいにかんぱい!」

          【812回】加納朋子「カーテンコール!」

          発売直後に買ったのに、3年近くほったらかしいしていた本。 「私の気持ちなんかだれも判ってくれない」と顔を下げてしまう時ばかり。 でも、「私の気持ちは、最低、私にはわかるかもしれない。すなわち、私は、(腹立つし、失敗ばかりするし、いらんこと言うし、自分の存在を気持ち悪く思うこともあるけど)私は素晴らしい!」と、自分の存在は自分で確かめていい。 この物語の登場人物は、みんななにか傷を負ったり、失敗したりしている。 「失敗を引きずって暗い顔をして行動してほしいですか?それよりは

          【812回】加納朋子「カーテンコール!」

          【811回】岡田憲治「教室を生きのびる政治学」

          政治は手の届かない遠くにあるもの。 ずるく、誤りを認めず、自分の地位を保つために権力を駆使する大人たちが固まってコソコソと行うもの。 自分たちとは縁の遠いもの。 ではなかった。 政治とは、もう、僕たちは実践しているのだ。 中学生・高校生をターゲットにした、政治学入門。国会が、選挙が、と訴えるものではない。 今、教室を生き抜いている、まさに当事者たる生徒たちに向けて、政治がどう関係しているかを述べている。 立派な人間になる必要はあるのか? 友達は多いほうがいいのか

          【811回】岡田憲治「教室を生きのびる政治学」

          【810回】香山リカ「61歳で大学教授やめて、北海道で『へき地のお医者さん』はじめました」

          香山リカ。 90年代か、ファミコン通信(ファミ通)で、「尻に目薬 目に座薬」という連載をされていた。 子ども時代の自分には、「なぜ、ゲーム雑誌に、精神科医?」と首を傾げていた。 しかし、人形の名前を使ったペンネームの印象は強く、僕の脳の中にその存在はすぐインプットされ、残り続けていた。 著作多数。大学の先生。精神科医。自分の意見をきっちり述べる人。 都会で活躍されている方よねえ。 それなのに、北海道で働くという。しかも穂別にいらっしゃる。 「えっ」と口を開けて、「なんで?

          【810回】香山リカ「61歳で大学教授やめて、北海道で『へき地のお医者さん』はじめました」

          【809回】旅行記・高速ゆうばり号に乗ろう(でもなかなか乗らない) その1

          ちょっと出かけたい。 列車とバスに乗りたい。 占冠村営バス、南富良野、落合…。そういえば、昨年、夕張から新札幌までバスに乗ったなあ。夕鉄バスだ。路線バスで、のんびりと。 そして、廃線になってしまった。 そうだ。高速ゆうばり号ってあるよな。乗ってみようかな。 新夕張までJR。新夕張から夕張市街地へ夕鉄バス、そして夕張から札幌駅まで高速ゆうばり号。よし、これでいこう。 降りた。石勝線・追分駅。 新夕張まで乗る計画を、最初から守らない。 そもそも出発時刻さえ、守らない。 普通

          【809回】旅行記・高速ゆうばり号に乗ろう(でもなかなか乗らない) その1

          【808回】中村淳彦「パパ活女子」

          コロナパンデミックで収入が途絶えた女性。 学費を払うためにお金が必要が女性。 稼ぐための仕事として活動する女性。 20代だろうと、50代だろうと。 様々な、女性が、不特定多数の男性に出会い、デート、食事、そして場合によっては、セックスをする。 そのような、パパ活女子が登場する。 男性側の取材もされている。 どのような思いでパパ活をしているのか。 相手を意のままに操り、支配したいという男性ではない。 高収入で落ち着いた男性の語りが掲載されている。 パパ活が行われる理由は3つ

          【808回】中村淳彦「パパ活女子」

          【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

          例えば、「空気を読めない」「マルチタスクが難しい」「言葉をそのまま受け止める」「思いついたら考えるより動いてしまう」「考え込む結果、人の話を聞いていない」「覚えるのが苦手」などの様々な行動特性は発達障害がある人が有している特性として考えられる。 本書では、そのような生きにくさを抱えながらも、有名大学から社会に出た人たちのルポだ。すべからく、社会人になって苦労している。 本書は、当事者のルポ、発達障害当事者の横道誠准教授の話、精神科医の熊代享先生の解説、筑波大学での学生支援

          【807回】姫野桂「ルポ高学歴発達障害」

          【806回】阿部恭子「高学歴難民」

          「東大、京大、阪大、名大、北大、九州大…なんて頭いいんだろう」 20世紀末、高校生だった僕にとっては、手の届かない狭き門。 ああ、有名大学に進んだ人たちには、エリートコースが約束されているんだな。 僕には縁のない世界だな。 時は流れ、「高学歴」の人たちが社会の中で苦しむ本が登場した。 エリートだから、世の中を進みやすいはずでは?いや、そんなことはない。 勉強は得意でも、社会に出て、会社で働く生活が苦手な人。 高学歴にプライドを持ち、まわりを見下してしまう人。 阿部恭子「

          【806回】阿部恭子「高学歴難民」

          【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」

          例えば、相模原障害者施設殺傷事件のような大変な被害を及ぼした殺人事件の裁判報告は、報告されていると思う。 この本は、小さな小さな裁判の様子を丁寧に描写した本である。「覚醒剤、窃盗、詐欺」といった目立たない小さな事件の裁判傍聴記録が提示される。 というのが、この本の趣旨である。 第四章「社会福祉士が刑事裁判の支援する」とあるように、読み終えて、司法には福祉が関わってきていることを確認した。 犯罪者の高齢化、障害がある人の増加、生活困窮者の累犯者化という状況では、執行猶予にな

          【805回】藤原正範「罪を犯した人々を支える」